4/23のNHKスペシャル「日本の群像・再起への20年」の第1回「トップの決断」を見ました。興味深かったのが、コロンビア映画(現ソニー・ピクチャーズ)の買収にまつわるエピソードが中心になっていることでした。元社員が書いた「ソニー本社六階」でもこのことは「大借金会社への転落」のきっかけとなったとしてスキャンダラスに語られていましたからね。ソニーアメリカ社長だったのミッキー・シュルホフ氏やソニー・ピクチャーズ幹部らの暴露本「ヒット&ラン」の話もでてくるあたり、「ソニー本社六階」の影響もあるのかなと勘ぐってしまうところがありますが、どちらにせよ、現在のソニーが直面している様々な問題の根底にあるのは、バブル崩壊前の大賀社長時代に行われたコロンビア映画(現ソニー・ピクチャーズ)の買収に端を発しているのだろうなということをこの番組を見て実感しました。
最終的には出井さんが陣頭指揮を執り、映画事業を継続した結果、スパイダーマンがソニーを救うとまでいわれるほどにソニー・ピクチャーズが成長をとげたということになってますし、同じ轍は踏まないという意味でMGMの買収もリスクの少ない手法で行われたみたいですが、買収した真価が問われるまでにはまだまだ時間がかかりそうな雰囲気です。
結局、出井さんって、ITとAVの融合とかハードとソフトの融合みたいなことを目指してきたのが表側とすれば、社長就任後ほどなくしてから今までの間、前の経営陣が生み出した莫大な負債処理のしりぬぐいを裏側でずーっとさせられてきたんだなあみたいな印象が強くなりました。特に番組の最後で見せたクルマの後部座席での遠くを見るような目がそれを物語っているような気がしてなりません。あと、出井さんがクルマででNYのオフィスに向かう途中、右に見えたアップル「iPod」の屋外広告が何かを象徴しているようで印象的でした。