2011/07/27の夜、ソニー本社にてVAIO Zシリーズ新製品のみんぽすモノフェローズイベントが開催されました。ソニーのVAIO系イベント参加は「Giga Pocket Digital」体感イベント以来およそ1年ぶり。ハードに限定すれば、2009年のVAIO X先行体験会以来のご無沙汰状態。
当日はソニーから設計担当の林氏と斎藤氏、デザイナーの森澤氏、商品企画担当の金森氏がスピーカーとして参加。イベント自体はプレゼンと実機のタッチ&トライで構成。金森氏がメインのプレゼンターで要所要所で3名の皆さんの補足が入る感じでした。
ということで、今回は企画編のレポートになります。Z系が実現すべき価値を熱く語る林氏のコメントに注目してくらはい。ちなみに、後でも出てきますが、2008年7月発売の初代が「Zシリーズ」で、2010年3月発売のZが「Z1シリーズ」、2011年の新モデルが「Z2シリーズ」ってことになるようです、念のため。
<NEW Zシリーズ ~企画編~>
10年以上にわたりモバイルPCを続けてきた。“薄型軽量化”技術の実績と経験の積み重ねがVAIOの歴史。
そんな薄型軽量を突き詰めてきた中で、安曇野工場で代表的な商品を設計生産してきたという歴史がある。今回のZ2も安曇野において設計・製造されている。初期段階から関係メンバーが集まって話し合って作り込んでいくからこそ、よりハードルの高いモノづくりが実現できるのが安曇野上流設計のメリット。
■究極のモバイルの追求
Zシリーズ(2008年7月~):パフォーマンスとモビリティー、相反する2つの特徴を高次元で融合してそれぞれを追求
Xシリーズ(2009年10月~):「まるで紙のノート」という究極のモバイル
Z1シリーズ(2010年3月~):パフォーマンスとモビリティーをさらに高次元で融合。「持ち歩ける書斎」の領域
■フラッグシップモバイルの系譜
VAIOフラッグシップモバイルの歴史は、「パフォーマンス」と「モビリティー」の両立、融合の歴史でもある。妥協無きモバイルPCを打ち出した完成形とも呼べるZ1シリーズを凌駕し、さらなる進化を探求するために、非連続な進化をとげたのがZ2シリーズ。限界を超えたオールマイティモバイルのソリューション提案が「Z2」シリーズ。
VAIO史上最強のパフォーマンスと、妥協なきモビリティーを薄い筐体に詰め込んだ「Beyond the ultimate. VAIO Z Series」
■商品コンセプト
使うシーンに合わせて選べる(=カスタマイズできる)「no compromise(妥協の無い)」なPCソリューションの提供が今回の商品のキモ。
オフィスや自宅ではPower Media Dockと組み合わせて性能面・拡張面で最高のパフォーマンスを提供。外に持ち出す時は、Dockを取り外し、必要な機能だけを薄型軽量ボディ単体で携帯、申し分ないモビリティー性能を提供。
■コンセプトの徹底的な深掘
パフォーマンスとモビリティーの高次元の融合を追求してきたZ。非連続の進化(を遂げたZ2)は果たしてユーザーが求めているコトなのか?についてはしっかり確認しなければならない。それについては内部で深く検討し合った。
■原点に立ち返って、
・VAIOのモバイルPCが実現すべき価値は?
オーナーが最大限のアウトプットを出せるよう補助できる究極の道具そのものがソニーの提供すべきモバイルPCであり、今回のソリューションはそれに合致している。
(設計林氏の補足)Z系が実現すべき価値は、やらなきゃいけないことや、やるべきことを持っている、積極的に何かをしたいと思っているお客様に対して、その人の持ってる能力を1.2倍とか1.3倍にひろげてあげるようなツールを作ってあげたい、ということを思っていて、そのためのパフォーマンスだと思っています。道具として良いのは、CPUが速い、SSDの転送速度が速い、パフォーマンスベンチとって速い、ということが目的ではなくて、レスポンスだと思っています。思っていることを思った瞬間にすぐやってくれたり、重いファイルを開いた時に5秒待たされていたのが1秒で開くようになっただけで、その人のクリエイティビティのみたいなものが、ストレスが減る分、上がるんじゃないかと考えていて、そういうものすごく気持ちよく動く道具を作るのがZのひとつの、金森も言っていた「すごく良い道具ってなんでしょうか?」って言う、問いへのひとつの切り口だと思っていました。究極の道具、その人が発揮できる力を、他のPCを使っている時以上に発揮できるようにしてあげる道具というのがZの価値観だと思っていて、そこを譲らずにZを作ってきているつもりです。
・VAIOユーザー様が満足していた点、不満に感じていた点は?
ZやXユーザーにアンケート調査。満足していた点は、「薄さ」や「軽さ」の面で、不満点は「パフォーマンス」、場合によっては「光ドライブ」など。Zは性能的にはno compromiseだが、「薄さ」「軽さ」「バッテリーライフ」に不満を感じているユーザーが多い。満足していた点をさらに伸ばし、不満点を改善するためのソリューション提案がZ2。
・お客様のニーズを満たすため業界の最先端技術を惜しみなく投入するのがVAIO
(設計林氏の補足)no compromiseとも繋がるんですけど、普通に考えると実現できないことを僕らやパートナーベンダー開発した新しい技術で、今までだったら出来なかったことを実現してあげるために最先端技術を使いたいと思っていて、今まではトレードオフになってしまって、これをとるならこれをあきらめるみたいなものが、技術の進化で両方出来ちゃいます、もしくは新しいソリューションをそこに作り上げることが出来ますというのが、僕らが思う最先端技術の使い道だと思っているので、そうやっていくのZのラインの使命だと思っていました。
・“兄弟”との協力
Sシリーズと合わせて、ユーザーのニーズに応えていく。
(設計林氏の補足)Zという商品はすごく良いと思っていて、気に入ってるし、お客様に喜んでもらっていると思っているんですけど、やっぱり値段が高すぎて、ごく限られた人に向けた商品になってしまっていたのがすごい悔しかったので、それを今年はSのラインにZで培った技術を広げてあげたいと思っていて、そういう意味では、割とaffordable(手頃)なZというイメージでSをうまく作り直すことができたので、より多くの人にZで培ってるパフォーマンスの魅力みたいなものを提供できるようになったと思っています。だからこそ、SじゃなくてZができる新しいことをキチンと実現しないとSでいいじゃんという話にもなりかねないと思っていて、たとえば2年経った時に2年後のSに対してZで開発した新しいコンセプトや技術が降りてくるみたいなイメージを作り上げるためにも新しいZが必要になると思っていて、それが今回Zが目指していたことになると思っています。
企画編は以上。次回は設計編をお届けします。