非連続の進化を遂げた究極のモバイル、VAIO Z2シリーズ(設計編)

VAIO Zシリーズ みんぽすモノフェローズイベントレポートの2回目は設計編。薄さの戦いは熱との戦い。それがよくわかるプレゼンでした。


■NEW Zシリーズの進化ポイント

<パフォーマンス>
・CPU:第2世代インテルCoreプロセッサーを採用
・SSD:標準仕様で「第2世代SSD RAID」、VOMで「第3世代SSD RAID」を採用
・起動:「Quick Boot」による高速起動

(金森氏)最先端のプロセッサーとSSDのおかげで、実際の操作感も速いが起動時間も早い。

<モビリティー>
・筐体:最軽量時約1.15kg、薄さ約16.65mm
・バッテリー:内蔵で約9時間、シートバッテリー装着時で約17.5時間

(金森氏)かばんに入れる時に一番厚いところが引っかかるところで、最薄部が薄いだけでは意味が無い。フルフラットでカバンにスムーズに出し入れできるところがこだわったポイント。シートバッテリー装着時は薄さ25mm、重さ約1.7kgと充分モバイル可能なサイズでバッテリーライフも17.5時間と圧倒的に長い。

■パフォーマンスとモビリティー両立の苦労


<薄さとの戦い>
→高密度片面実装の実現(過去Xシリーズで培った技術の発展)
→専用薄型メモリー/両面実装SSDを採用した理由もここに

(金森氏)メイン基板上にスタンダードボルテージのプロセッサーとメモリーなどが搭載されているが、後者は小型で薄い専用メモリーモジュールを採用。片面実装と合わせて薄さを実現するポイントになっている。片面実装の実現には過去Xシリーズで培った技術を使い、バッテリー以外のフットプリントも最大限に有効活用した。

(林氏)メモリーモジュールをオンボードにしたほうが薄いのだが、どうしてもZ2は8GBまでの拡張性を持たせたかったので専用モジュールを起こすことに決めた。

→コネクターやジャック類の薄型化

(斎藤氏)薄い筐体のため、従来品では入りきらないモノもあったので、DCジャックについては新規におこしている。イーサのコネクタやVGAもXでおこしたモノと同じモノを使用した。

(金森氏)これだけ薄くなってくるとコネクタ自体がネックになってくるので、多彩なポートをこの薄い中で対応するために、新規でコネクタをおこすことで薄くて汎用性の高い筐体を実現できた。

(林氏)薄いノートPCはポートを減らしてしまうことが多いけれど、前にも言ったとおりこれは自分の能力を拡大してくれるツールだと思っているので、出先でポートが足りなくてメールが取れませんとか、プレゼンしようと思ったけどVGAが無くて変換アダプター探してつけなきゃいけないみたいなことにはしたくない。そうしたところをVAIOとしてはこだわってやってきているので、そこは今回も譲ってないつもり。

(金森氏)いきなりZ2で片面実装を実現しようとしたら相当ハードルは高かったと設計陣から聞いている。Xでやった経験を生かして、スタンダードボルテージでようやくやれたと聞いている。ひとつひとつの積み重ねでこのように実現できたのだと思う。


<熱との戦い>
→本体のデュアルファンによる冷却性能と、静粛性実現の秘話

(金森氏)本体の中にファンが2つ入っている。ボトムの穴が吸気口になっており、今回のデザインコンセプトである6角形になっている。なぜファンを2つ入れたかというと、スタンダードボルテージの非常にハイパフォーマンスなプロセッサーが入っているので、それをこの薄さの中で充分に冷やすためには2つ必要だった。

→吸気のルートについてのこだわり(底面/キーボード面)

(金森氏)デザイン性と実用性の両立にこだわった。

(林氏)今回設計の中で先行して検討しなければならなかったのが冷却系だった。かなり初期の段階からこの薄さで本当にできるかどうかをやってもらっていた。我々SV(スタンダードボルテージ)をコンパクトに作るということにかけては今までの実績やノウハウもあるということですごくこだわって設計しているところ。

→「Power Media Dock」にも儲けた第3の冷却ファン

(金森氏)熱源である外付グラフィックスも入るということで、本体で培った技術を応用してDockそのものもコンパクトサイズに仕上げた。また、使うシチュエーションによって縦置き、横置き好きなスタイルを選択してもらえるようにした。

(林氏)Dockの厚みはZ2本体の厚みと同じ16.5mm。最初は揃ってなかったが森澤氏が絶対に同じ厚みで作らなければいけないというリクエストが入った。自分も新しい提案をする時に新しく見える外観をまとったものを作りたいと思っていた。

(金森氏)ファンが1つだったZ1と比べ、Z2はトータルでファンが3つになっている。熱源をそれぞれ離れたところで効果的に冷やすことが出来るのもメリット。


■デュアルファン静粛性へのこだわり


(斎藤氏)サーマルユニットの厚さはZ1と比べて-4.5mm、放熱部体積で-27%。新規ヒートパイプは通常2.5mmだったものが1.5mm。薄くすることでファンを2枚入れているが、うなり音が発生しやすくなるので、羽根の枚数をそれぞれ変えた。さらに枚数を素数に設定することで共鳴する回数を減らしている。いかに冷やすか。今回のセットの厚みは熱に対すしてのクリアランスで決まっていた。上面吸気、ファン直下の吸気、キーボードからの吸気など、システムフローを改善することにより、風量を25%アップした。


■強度との戦い

→カーボン素材、アルミ素材の採用/加工による剛性
→デザインとの連携、六角形の「Hexa-shell」構造

(森澤氏)見た目だけではなく、設計の構造から来るデザインをしっかりやりたいと思った。カーボンとアルミの材料の箱組みで、がっちりした筐体を作る。曲げた板を2枚重ねることでで強度も増す。

(林氏)セットの剛性だけは、Xの時にそれなりにちゃんとできたので、13インチに拡大した時に、あの剛性をキープしたまま大きくするだけでは、絶対(剛性が)足りないと思っていたので、具体的な商品設計に入る前から、ボディだけはガチガチに作れ=ガチガチボディだけは絶対やれ、とお願いしていた。結果的に片手でも持てるように仕上がった。

(金森氏)薄いのにガチガチを生み出すための結果としてのデザインが「Hexa-shell」。

→8つのねじで固定され、自らが構造体となる内蔵バッテリー

(金森氏)取り外し可能な内蔵バッテリーは8カ所のビスで固定。拡張用のシートバッテリーはこれまでのLバッテリーと使い勝手が違って、本体を起動したままシートバッテリーを取り出せるため、内蔵バッテリーを取り外す機会は非常に少ない。そのため、バッテリーも1つの構造物としてサポートすることで薄くてガチガチな筐体を生み出している。


→Power Media Dockの接続について

(金森氏)インテルと初期の段階から綿密な検討を進めてきた。細く小さな内蔵の光ケーブルで非常に重いデータも高速にやりとりできる。良く聞かれるが、MacBook Pro採用のThunderboltとはポートのカタチを含めて規格が異なる。あくまで、Z2のドッキングテーションを実現するための採用。公開中のコンセプトビデオは、Power Media Dockが新しいソリューションなので、しっかりとお客様に使い方をわかっていただきたいという思いを込めて作った。

設計編はここまで。次回はデザイン編です。

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