このレビューは「みんぽす」の無償イベントに参加して書かれています。(詳細は末尾で)
10/8の夜、銀座ソニービルOPUSにて開催された、モノフェローズ対象のVAIO Xシリーズ先行体験会に参加してきましたのでその模様をスライド写真を元に思い出しながらメモ。(ズタボロな状態で参加したので聞き落とし等多数アリ)
国内MK担当のSMOJ岩井さんの司会で会は進行。開発責任者である林薫さんをメインスピーカーに、商品企画担当の星亜香里さんとデザイナーの森澤有人さんという助っ人2名が加わり、お三方のトークセッションという体でXシリーズの開発秘話が披露されました。
■コンセプト誕生
VAIO Xの開発は、ソニーのモバイルPC開発の顔であるお三方、ぱやさん、すずいちさん、すずまささん、3人の議論からスタート。(type P開発より少し後だったみたい)
今のVAIOノートは突き抜けた商品なのか、本当に持ち歩けて実用性の高いPCなのか、という疑問。何かが足りない。昔のようなわくわく感がないといったことが共通認識としてあり、作りたいモノを再定義してみた。
作りたいモノは明確。これまでのVAIOノート開発でも挑戦し続けてきたがいまだ完成形に達してない「持ち歩けて実用性の高い紙のノートのようなPC」がそれ。とはいえ、ただ薄く軽く作ればいいというわけでもない。このPCを持ち歩いて使うユーザーに幸せになってもらうために妥協してはいけない要素があると。それが
・部分的ではなくフルフラットで薄くする
・ディスプレイは11.1インチでビジネスユースに耐えること
・バッテリーは9~10時間クラス
・出先で使うユーザーが困る機能の省略はしない
ということ。開発を取り巻く環境では、Atom Zシリーズの登場、長年にわたり続けてきた外部メーカーとのパーツ等の共同開発、カーボン素材などの新外装技術や新薄型高画質LCD開発への目処、円熟した設計と国内工場の製造技術等々の蓄積により、いよいよ夢のモバイルを作れるチャンスが到来したとの判断。
■勝手プロジェクト始動
欲しいものは自分で創るのがソニーの文化。林さんを中心として、PC開発に賛同した有志のメンバーが集り、ケンケンガクガク議論しつつモックアップを製作。
ある日突然、呼び出された商品企画担当の星さんと国内マーケ担当の岩井さん。こんなの出来ちゃったんだけど?ってことで、色んな意味で驚く両者。VAIOのロードマップやラインナップに存在しないものをむりくり追加しないといけないわけですからね…。
ちなみに岩井さんは初代505から始まったVAIOノート好きが高じてソニーに入社した口。個人的には「ついに来た!」と思ったそうです。
■オールチームのチームワークの結晶
開発の意志を固めたチームが動き出し、できあがったモックアップをもってトップマネジメントにプレゼン。ホントにできるのかというツッコミに対し林さんができると名言し、見事(?)商品化権をゲット。
できると言った以上は止められない。いかんせん検討していたのは、本当のボトルネックの部分(規格値が決まっていたりデバイスの限界が見えている部分)のみ。それ以外は、根性で入れ込むつもりで、設計チームへの信頼と工場の底力にかけるしかないという状況。
時にくじけそうになって企画とデザイナーに相談するも、男に二言はないですよね、とあしらわれることも…。苦し紛れに「魔法を使え!」と言うこともあったけど、絶対に入らないと言われた端子も最終的に入ってしまった。
それもこれも、VAIOのALLチーム、電気、メカ、ソフト、製造、QAが一体になってお互いのマージンをギリギリまで削ってはじめて最適化が実現できたから。
紙のノートに近づくことにより新しい使われ方に耐えうるかの検証も必要。品質保証部門、設計、工場が一丸となって開発からテストまでの過程で品質を作り込んでいく。
■限界を超える
設計検討が進む中、肝心のデザインに関しても大きな悩みにぶち当たったとか。ここから森澤氏が度々カットイン。
悩みは薄さが伝わらないこと。フルフラットのモックでは感じないが、ほぼ同サイズの雑誌を手にするとそれほど薄いと感じないという不思議。
ソニーとして(俺たちには)絶対に譲れないものがある。そこから開発スケジュールをひとまず無視してあるべき姿を模索することに。模索の過程で理想形のヒントとなる造形が生み出されたが、それはメカ担当には決してみせられない禁じ手的なデザイン。
トップへの最終プレゼン。内部でコンセンサスがとれているデザインモックを森澤さんが偉い人に見せた時の反応が「ピンと来ないなあ」。そこで、こんな案もありますと森澤氏が取り出したのが禁じ手とされていた造形のモック。それを見たお偉いさんは「これだよ!これ!これでいこう!」の二つ返事。
諸事情を説明する森澤さん。それを理解した上で、妥協するのは嫌だからすぐに出来なくてもこのデザインで行こうというのが最終的なトップの判断。ちなみに、森澤さんの隠し球は実は各方面に連絡して実現可能についてなどに密かに裏を取っていたみたいなお話だったような(…うろ覚え)。
■発表・発売を迎えて
正式発表後は製品を実際に手に取ってみた人の反応が嬉しい。本物ですか?モックアップじゃないよね?バッテリー付いてるの?など、まず軽さにびっくりして、その後に必ずにこりとほほえむのだとか。
VAIO Xを通じて感じて欲しいのは、PCを持ち歩く時の心理的障壁が無くなったこと、持ち歩く用途なりのPCの進化。
そして、最後の最後に出た言葉が「VAIOってまだ進化します!」。
この程度で十分とかこれ以上はいらないなんて思わないで欲しい。Xシリーズについてもガンガンダメ出しや要望を出して欲しいとのこと。
プレゼンはおおむねこんな感じで終了。その後、二手に分かれて林さんと森澤さんへの質問タイムと、モックアップや基盤などの撮影大会に突入。個人的には、質問タイムで出た「type P」と「type X」の違いは?という問いに対する林さんの回答がわかりやすかったっす。
・今までのPCで実現できなかったことができるのがPの形
・今までにやらなければいけなかったことがちゃんとできるのがX
ちなみに、なんでもできるのがZとか。なるへそー。
長いのでと個人的な感想などは別立てで。
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