DENON「AH-W150」のレビュー第2弾は、本体の作り込みについて、ソニー「DR-BT160AS」との比較を交えながら掘り下げていきたいと思います。ま、基本的には製品リリースに4年以上の差はあるので後発の方が良くて当たり前なんですが、比較することで設計を含むデザインや使用方法などの違いが浮き彫りになってくるのが面白いです。
ちなみに、初回のレビューはこちらです>DENONのスポーツ向け防滴抗菌Bluetoothヘッドホン「AH-W150」を試す(1)
■ソニー「DR-BT160AS」との外観比較
DENONのAH-W150もソニーのDR-BT160ASも、スポーツ向けBluetoothヘッドホンとして開発されており、激しい動きの運動やスポーツでの利用に耐えうるスペックは非常に似通っています。
しかしながら、スポーツ向けヘッドホンのデザイン自体は、両社に限らず、実に千差万別。バッテリーやアンテナをどこに内蔵させるか、操作系のスイッチやボタンをどう配置するか。防滴などの特殊仕様を満たしつつ、装着性につながる肌に触れるパーツの素材の吟味、独自の技術など、そうした要素を検討しながら最終的な製品に仕上がっているわけですから…。
実際、「AH-W150」と「DR-BT160AS」を見比べると面白いです。DENONはイヤーフックにバッテリーや回路を内蔵し、ソニーは回路やバッテリーを内蔵したプラスチックパーツをハンガーとドッキングさせる手法。バッテリーの小型大容量化も進んだのか、後発のAH-W150の方が10g近く軽量で全体的にも小ぶりに仕上がっています。ただ、体感的な重さはあまり変わらないかもしれません。
AH-W150の左右のハウジングを繋ぐコードは非常に柔軟でコンパクトにまとめられるのが大きな特長です。くしゃっと丸めてポケットに放り込んで気軽に持ち歩けるところが気に入っています。DR-BT160ASは耳への負担を軽減するエラストマーハンガーとネックバンドの併用がポイントであり、本体の重さを分散させる働きもになっているようです。
どちらが使いやすいかは条件によって変わるでしょうね。DR-BT160ASは見た目の形のままでしか持ち歩けない(変形が出来ない)ので普段使いはなにかと不便だったりします。フード付きの衣服など、着る衣服によってはハンガーが干渉します。また、満員電車などで使う場合は後頭部に注意。座席後部の壁にハンガーが干渉するおそれもありです。その点、AH-W150はコードが柔らかいので干渉の度合いはかなり軽減されます。この辺の違いはスポーツジムのマシントレーニングなどで生きてきます。
AH-W150は肌に当たるハウジング部裏にラバークッション処理を施しています。指で押すとちゃんとプニュっとへこみます。このクッションがあると無いとでは大違い。肌に当たる面が少なくなるのはもちろん、ボタン操作時の頭部への負担が大きく軽減されるからです。
DR-BT160ASはハウジングのプラスチックパーツが直で肌に当たります。しかもこのパーツには金属製のビスが使われており、汗と経年経過でついにさびついてしまいました。赤さびが目立つので気になる人は気になるでしょうね。AH-W150は表になっている部分には金属パーツが一切露出していないのでそうした心配は不要です。
カナル型イヤホン部の調整に関しても微妙な違いが。AH-W150はパイプダクト部がスライドするようになっており、ここで上下左右に動かせるようになっています。DR-BT160ASはカナルイヤホンを含むシルバーの縦型パーツ自体が上下にスライドするのみですが、耳の真上にかかるゴムコードがかなり柔軟で左右に関してはかなりフレキシブルに曲がるようになっています。
電源の入れ方や各種操作ボタンも違いがあって面白いです。AH-W150は初回のレビューで説明したとおり、音楽再生系は右耳、電話を受ける時は左耳とはっきりしています。DR-BT160ASは右耳のパーツに大半のボタンやスイッチが集中しており、何をするにも右手操作がデフォルト。再生関連とボリュームを十字キー一つにまとめ上げているのはソニーらしいですが、キーのど真ん中のプッシュが難しく、たびたび曲送りしてしまうこともありました。AH-W150は再生系とボリューム用ボタンの位置が離れているので、押し間違えるようなことはまず無いです。
また、DR-BT160ASは左耳のパーツにバッテリーが内蔵されているので充電端子も左耳にあるのですが、AH-W150はmicroUSB端子が右耳にあるのでバッテリーも右なのかなあ。注意書きに記載があったんですが、アンテナも右みたいなんですよね。となると左耳には何が入ってるんだろ。ちょっと謎。どうでもいい話だけど、教えてください>DENONさん(って見てないかこんなサイト)。
■慣れるまでが大変なAH-W150の装着方法
AH-W150は正直慣れるまで大変。DENONのオフィシャルブログに装着方法の解説があるんだけど、始めにイヤホン部をめいっぱいスライドさせて、イヤーピースを耳に装着してから、自分の耳をぐにゅっと変形させてイヤーフックに通すようなイメージなんですが、これがなかなかに難しい。
(DENONオフィシャルブログより)
自分の場合は、イヤホン部をスライドしたら、イヤホンとイヤーピース部を少しこじ開けるようにして上からスライドさせるようにして装着してます。両耳の装着が出来たら、音楽を再生しながら微調整して音の抜けが無い位置を探すみたいな感じ。
AmazonのAH-W150のレビューに、カナルイヤホン部の破損(故障?)らしき記述がありますが、おそらくは装着時の力のいれ加減からくる事故なのではと分析。自分も当初は適当に装着してからパイプダクトを調整しようして、グリグリいじりましたが、力が垂直方向にかかってしまうことが多いんですよね。何度も繰り返しているうちに、パイプの根っこの接着が取れちゃったとか、そんな感じじゃないかなきっと。
ただ、AH-W150はしっかりと装着ができてしまえば、滅多なことでは外れないし、驚くほど安定して使えます。実際、ジョギングやジムでのマシントレーニング時に使ってますが、一度たりとも外れたことはありません。ということで、AH-W150をこれから購入するという人は、とにもかくにも装着テクニックを磨いてください。そこを乗り越えれば快適なスポーツヘッドホンライフがあなたを待っています(どんなライフやねん)。
ちなみに、AH-W150とDR-BT160AS、どちらが装着簡単かと聞かれたら確実にDR-BT160ASでしょう。エストラマーハンガーのおかげでヘッドホンが常に一定の形状で保たれているのでものの数秒で装着できます。ただ、上の比較でも書いた通り、利用シーンによってはハンガーがアダになるケースが多いので、実使用ではAH-W150に軍配を上げます。
(こちらのモデルは同居人。おっさんの画像は見るに堪えないので…)
■付属キャリングケースについて
装着方法のあとは実使用の感想と行きたいところですが、これまた長くなりそうなので次回に。その前に、付属のキャリングケースについて、初回レビューで掘り下げるのを忘れていたので改めて紹介。
AH-W150は先日発表されたピンクを含め4色のカラバリがありますが、キャリングケースも本体色と同色のものを用意するという力の入れよう。素材はクッションの入ったメッシュナイロンベースで、作り自体もそこそこしっかりしています。
本体を収納した時の画像がどこにもないので正確な方法がわからないんですが、個人的にいちばんしっくりきたのが、シンメトリー収納(勝手に命名)。左右をクロスさせてケーブルを折り返すとケースと同じぐらいのフットプリントになったので…。ちなみに、内部には小さなポケットもあるので、短めのUSBケーブルや換えのイヤーピースなどの収納に使えるかも。
発売当初が14,800円ぐらいでしたが、1万を切る価格で入手できるようになったという意味では、こうしたケースはCPの高さにも繋がり、自ずと評価を高めますね。逆に14,800円でゲットしてたらもっとクオリティの高いものを付けろと文句を言ってたかも(<勝手なヤツだ)。
ということで、まだまだ続きますが、今回はこの辺で。
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