ウォークマン スティック「NW-E507」レビュー(5)

本体への音楽転送について

ウォークマンスティックを使うには楽曲を本体メモリに転送(コピー)する必要があります。従来のネットワークウォークマンですと、主にパソコンを使う方法と、NetJukeなどの対応コンポを使う方法のふたつがありますが、普及の度合いからしてもパソコンを利用するスタイルが圧倒的多数と思われます。ちなみに、後者の場合、いわゆるメモリ内蔵タイプのウォークマンには対応していないようです(そのことに対するツッコミはここでは控えます)。ということで、ここではパソコンと付属の専用ソフト「SonicStage」を使ってみた感想などを思いつくままに書いてみたいと思います。

ちなみに、NW-Eシリーズに付属するSonicStageのバージョンは3.0ですが、現在はMP3のリッピングにも対応した最新版となるバージョン3.1が公開されています。また、SonicStageに統合されている音楽配信サイト「Mora」でも無償で配布されています。

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SonicStageをNW-E507との組み合わせで使ってみて感じたこと

自分は、NW-E507の発売日前にすでにSonicStage 3.1へアップグレードしていましたので、付属のインストールCDを使用せずにそのままNW-E507をパソコンに接続してしまいましたが、なんの問題もなく認識され、曲転送も問題なくできました。これはSonicStageのアップデートプログラムにNW-Eシリーズ用のドライバも含まれているからなのか、ネットワークウォークマン用のドライバが汎用性のあるものなのかよくわかりませんけど、問題なく使えているのでよしとしました。ちなみに後日、3.1バージョンが入っているパソコンに3.0収録のインストールCDを使用して上書きしてみましたが、バージョンは3.1のままで何も変化はありませんでした。

パソコンとNW-E507はUSBケーブルで接続しますが、クリエやNW-HD1でクレードル文化に慣れきってしまった自分にとってはこれが結構わずらわしいというか、面倒なんですよね。ちなみに自分は付属のケーブルは使わずに手持ちのショートケーブルを使っています。製造元がどこだか失念しましたけど、20cm程度の長さなので取り回しがしやすく、持ち歩きも苦にならないから気に入っています。

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そして、もう一つ気に入らないのがNW-E507本体のUSB端子カバー。他の作りが高級感にあふれるものなのにここだけがやけにプラスチッキー。色もダークグレーで地味な上に、キャップがはめにくいという点が不満です。そういった不満を抑えつつ、ケーブルを使ってパソコンと接続すれば、SonicStageが勝手に立ち上がって楽曲を転送できるモードになります。

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SonicStageの使い勝手についてここでとやかく掘り下げるつもりはありませんが、ウォークマンスティックを使いこなすという側面から見たときに気になってくることがありました。SonicStage自体はソニー製の各種ポータブルオーディオやメモステベースの音楽再生機能を有するデバイス(クリエやPSPなど)にも対応する必要があるためか、仕様自体が非常に最大公約数的であると感じでいます。そのため、複数のデバイスを1台のパソコンを母艦にして使うスタイルの場合に使い勝手に差が出てきてしまうのです。

たとえば、自分は初代HDDウォークマンを持っていますが、こちらの場合はどちらかというと、パソコン上にある楽曲をすべて持ち歩く使い方がメインなので、新たに録音した楽曲は本体の接続時に自動的に転送する設定にしています。この辺の動作は同じく初代から何台も買っているiPod&iTunesのシンクロ機能に近いものがありますが、元来ずぼらな性格の自分にはとても楽ができる機能というか好きな設定なわけです。

ところが、こういった環境の中で新たにNW-E507のようなメモリ容量が少ないデバイスを一緒に使おうとするとこの自動転送機能が使えなくなるわけです。そりゃそうです、パソコン上のファイルが1GB以上あれば全部の楽曲を転送できるわけにはいきません。NW-E507はそういうコンセプトの製品じゃないといえばそれまでなんですが、初回の接続時にSonicStage側で自動転送機能が勝手に立ち上がって「転送しますか~」みたいなことを聞いてくるもんだからややこしいんです。

それならばということで、自分の聞きたいと思うアルバムを複数選択してまとめて放り込んでやるかと妥協をしてみるものの、転送画面では選択したアルバムのデータ容量の合計すら表示されないもんだからいくつ選択して良いものかがまったくわかりません。適当に選択して、えいやで転送ボタンを押すと、アラートで入りきらない曲を表示してくれはしますが、実際に転送されるアルバムもアルファベット順のようで、選択肢を全く与えてくれないんです。

そういう意味では、iPod suffleとiTunesの関係はホントによく考えられていると思う訳ですよ。iTunesのアルバムもプレイリストもひとつだろうが複数だろうが常に合計容量を表示してくれるし、繋がれたデバイスのメモリ容量を把握して容量にあった曲をアトランダムに選曲してくれる「オートフィル」機能も手間いらずで便利。ユーザー側はキャップはずしてPCに挿してマウスでワンクリック、転送終了後に本体を抜いて終わり。パソコン上の操作はほんのワンクリックです。

ソニーにとっては耳タコな話でしょうけど、ハードの出来だけじゃなくてソフトの使い勝手みたいな話が多いのはこういうことなんじゃないのかなあって思うわけです。ウォークマンのハード開発チームがいくら頑張って良いものを出しても、こういうところでユーザーが使いにくいと感じたり、つまずいちゃうようなことがあると、二度と使いたくなくなっちゃうと思うわけです。だからこそ、SonicStageの開発チーム(またはConnectチームになるのかな)には、もう少しこういったちょっとしたことだけど使い勝手の向上を目指して欲しいなと思います。

最後に、パソコンから本体への転送スピードですが予想以上に遅いと感じましたです。まあ、この辺はiPod shuffleも同じようなものですが、shuffleは「オートフィル」機能が使える分、クリック1回でほったらかしにできる点が勝っているかなあと思います。