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ワンセグウォークマンA910シリーズ vs iPod nano 3rd generation

高橋敦が徹底テスト! 「iPod nano」と「ワンセグウォークマン」の実力を比較する

AV&ホームシアターNews、高橋敦氏によるウォークマンA910シリーズiconiPod nano (3rd generation)の比較レビュー。A910はソニスタ限定モデル「NW-A919/BI」が使われています。iPod nanoはスルーして、A910に関する評価で個人的に注目した箇所を以下にピックアップ。

・インターフェースはトップメニューがアイコン、それ以降がリスト形式となっており、携帯電話のそれに近い印象。誰にとってもなじみ深い構造であり、とまどいなく使えるだろう
・液晶を縦に配置するか横に配置するかは、本体全体のスタイル、持ち心地にも影響する。一般的には縦型の方が持ちやすいだろう。実際、A919は縦で持つ限り持ちやすく使いやすい
・A919とSonicStageのコンビネーションが圧倒的に優れている点が「ATRAC Advanced Lossless」の存在。PC側ではCD品質でライブラリを構築しつつ、携帯プレーヤーには大量の曲を転送できる
・機能は他のワンセグ機器と比べても、非常に充実していると言えるレベル。ワンセグは日本ローカル規格なのでiPodシリーズに搭載される可能性は皆無と思われ、この点は今後ともウォークマンシリーズの強みであり続ける
・ワンセグ機能が必要かどうかが全てであり、不要ならこのシリーズである必要はない。ワンセグケータイ以上の性能がほしいなら、A910シリーズを選ぶ価値は十分にある

iconicon本来ならiPod nano対抗はコスト的な面でもS710であるべきだと思うのですが、あえてA910を比較対象としたのはワンセグという日本独自の規格を採用した点がiPodに対しての大きな差別化要素になると判断してのことなのかもしれません。ぶっちゃけワンセグ以外はS710シリーズiconと大差ないですもんね。

録画可能なワンセグケータイは多いですが、録画番組の早見再生までできるのは無いですし、PSPは今現在録画不可。スケジュール録画もニュースや語学番組で威力を発揮するとのことで、ワンセグをバリバリ楽しみたい人にはうってつけの一台になりそう。ワンセグ中心の利用なら容量の少ない安価なモデルを選択する手もありですもんね。

ウォークマンとiPodの比較という意味で非常にタイムリーなお便りをSSDさんからいただいています。(感謝です!)

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Sony Dealer Convention 2007 視察レポート(13)~その他もろもろ編

今までは、SDC2007の視察を実際にSPAがとった行動に則してご紹介してきたわけですが、今回は少々おもむきを変えて、ウォークマンS710シリーズiconに対しての個人的な感想とSDCのセミナー終了後に担当さんをとっつかまえて聞き出したヘッドホン新製品についてご報告します。「その他もろもろ」というタイトルが象徴しておりますが、いいかげん記憶も薄れてきたので、かなーり手抜きです。すいません!

なお、このレポートの最後に、今回の日本でのSシリーズ発表後にいただいた読者の方からのご意見を載せています。ソニーの関係者におかれましては、是非、そちらにも目を通してくださいと、ここでお願いしておきます。

ウォークマンSシリーズ新製品について

まずはウォークマンSですが、パーソナルオーディオ編で書いたとおり、コンベンション会場では撮影するだけでもう一杯一杯でしたので、今週頭の連休最終日に銀座ソニービルで改めて実機に触ってきました。なので写真が入り乱れてしまいますが、その点はご了承を。

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欧米での先行発表でのATRAC非対応宣言(?)は衝撃でしたが、SDC開催直前に日本で正式発表された新Sシリーズは、ATRACを捨てず、しかも付加価値としてノイキャン搭載やPCM対応してきたことは、当サイトをご覧の皆様であれば周知の事実でございます。本来ならば、Sシリーズの詳細よりも前に、なぜ、今回ソニーが日本市場向けの製品に限って、従来通りATRACを採用したのかを突っ込まなくてはならないところなのではありますが、何分にも時間が無く、その場では確認できませんでした。

ただ、人づてで聞いた話ですと、「ウォークマンは日本生まれの日本育ち。日本のユーザーを苦しめるようなことはできない」というようなことみたいです。いずれそのうち、大手メディアがSシリーズのレビューと絡めて開発者インタビューを載せるものと勝手に思ってますので、その段階で公式な見解が明らかになるのではないか思います(他力本願モード再び)。

ということで、まずは個人的な新Sシリーズの実物を見た&触った感想。先行発表されていましたし、欧米のオフィシャルサイトで外観や作りはすでに確認できていたわけですが、実際に手にしてみるとこれがまた随分と違いました。「小振りで意外に軽い」というのが第一印象。実際の重さはA800とあまりかわらないし、厚みはA800よりもあるんですが、縦が短いのと、Rがかったボディのせいなんでしょうね。持った感じもとてもしっくり来ました。

欧米モデルとの外観の違いは、ノイキャン搭載による本体のヘッドホンコネクタ部分。S710はA800よりも筐体に厚みがあるので、ノイキャンもなんなく収まったんだろうなあと思っていたのですが、実際はコネクタの部分が少し盛り上がっており、すんなりと収まったわけではないんだなと推測されます。とはいえ、ノイキャンのON/OFFスイッチが設けられただけでなく、5極対応の専用ヘッドホンのコネクタ部分が短くなったり、ヘッドホンコードのバランスが調整されたりと、旧Sシリーズでユーザーから指摘されていた点などが改善されているのには驚きました。(コードについてお知らせ感謝でした!>現さん)

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また、FMチューナー搭載や専用ケーブルによるダイレクト録音への対応などもあり、A800と比べてホームのメニュー構造にも変更が加えられています。画像をご覧いただければおわかりの通り、ホームに「FM」と「録音」メニューが追加されています。録音は、ATRACのビットレートを変更できるんですね。また、ノイキャンも効きを調整できる設定項目が追加されるなど、旧SシリーズのみならずA800をも超える使い勝手の良さを実現しているように思えます。細かいところですが、ホールドスイッチもA800より使いやすくなっていたような気がします。

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旧Sシリーズと比べて非常にレスポンスが良いです。チップ構成がA800と同じなんでしょうから当たり前ですね。十字キーや再生、オプション、バックなどのボタンのサイズや配置がA800とは違いますし、クリック感も異なるので最初は少々とまどいましたが、これも慣れが解決してくれるんでしょうね。同時発表の周辺グッズもバリエーション豊かですし、デザインにさえこだわらなければ、出先で使うには現段階で最強のウォークマンかもしれません。

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iconicon最初は自分もスルー気味だったのですが、実物を見てグラグラ来ています。ソニービルで実物を見た日の夜にメール登録までしちゃいました。でも、旧Sはグループ送りができたりと、新Sに無いメリットもあるんですよね。それ以前に他に欲しいものもたくさんあるしー、ということで実際に買うかどうかはわかりませんが、これからウォークマンを買おうという人にはコストパフォーマンスの面でも自信を持ってオススメできそうです。

(蛇足ですが、今回のS710Fシリーズは初期ロットオススメみたいな話を聞いています。理由はよくわかりません。またたくさんあるカラバリの中では特に赤いのが良いらしいです。3倍速くはないけど塗装はかなりこだわってるみたいです。)

Bluetoothヘッドホンの新製品について

パーソナルオーディオコーナーで完全スルーしてしまった、EX700を除くヘッドホンの新製品ですが、セミナー終了後にAVペリフェラルコーナーの前で担当者を捕まえるというゲリラ行為でお話を聞くことができました。コンベンション本会場の再入場はできませんが、こちらのコーナーはホテルのロビーと隣接していて部屋の前を自由に行き来できたのです。差し障りがあるといけないので、担当さんの名前は伏せますが、以前D777の開発者インタビューでお世話になった方ということだけ言っておきます(って、バレバレか)。

ゲームモードが用意されたWi-Fiヘッドホンや有線タイプのヘッドホン新製品についても説明していただいたのですが、モバイル向きではなかったので軽くスルーして、期待のBluetoothヘッドホンラインナップについて聞いてみたところ、少し前にネタとして取り上げたディスコンになったヘッドホンと据え置き型のアダプターが、SCMS-Tに対応して10月にリニューアル発売されるということでした。これにより、既発売のBT22を含め、ソニーのBluetoothヘッドホンは全てワンセグ音声に対応すると、そういうことでした。

また、これ以外にも、携帯電話の平型プラグに対応した新しいノイキャンヘッドホンが発売されるとのこと。ちなみに、先述のウォークマン同様、従来品で不満が多かったケーブルの長さなどが改善されているようです。てことは従来品のケーブルの長さも今は変わってるんですかね・・・確認し忘れましたのでわからないんですけど。さらに、新しいHDMIケーブルについても説明してくれそうになったのですが、正直興味がなかったので、丁寧にお断りしました。

話をお聞きした範囲だと、真の意味でのBluetooth対応新製品は無かったようですが、今後についてどうなんですか?とお尋ねしたところ、一言、「期待していてください!」と言われました。何やら意味深な発言ですが、それ以上のことは教えてもらえませんでした。気になるけど、こればかりは正式発表待つしかありません。とはいえ、AVペリフェラルではEX700のようなプレスリリースが出る商品は比較的まれなようなので、気がつくとe-Catalogだけに載ってる可能性もありますから、今後はそちらも注意深く見ていく必要がありそうですね。

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個人的にはBluetooth内蔵のウォークマンとそれに対応したノイキャンにも対応したBluetoothヘッドホン。そんな組み合わせに期待したいところなんですが、やっぱ一般受けしないんですかね。

ということで、ここまでがウォークマンSとヘッドホンに関する手抜きなレポートです。ひっぱった割に期待はずれでごめんなさい!。

それでは最後に、今回のウォークマン新Sシリーズの日本正式発表があった後に、とらいでんと+さんとSSDさんからいただいたソニーのオーディオ戦略に対するご意見を載せておきます。(ソニー関係者必読です!)

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Sony Dealer Convention 2007 視察レポート(6)~バイオ編

ということでバイオコーナーに突入。展示の数で言えばちょうど折り返し地点なんですねこの辺が。なのに残り35分なんだもの。手抜き感バリバリと予告したバイオコーナーレポですが、予告どおり手抜きです。先に言っておきます。

バイオコーナーで最初に目に飛び込んできたのは、展示そのものではなく、type Uのブログでお馴染み、担当者Tさんの晴れ姿でした。早速話を聞きに行こうと思ったのですが、他の人のアテンドをなさっていたので、後回しにして写真撮影を優先。

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昨年のSDCではバイオの実機展示は非常に少なく、コーナーも小さかったのですが、今年も昨年と同等の規模に見えました。展示機もノート型でtype A、type F[FZ]、type C程度。type Tやtype Sのいわゆるモバイル系の展示に至っては皆無。type Cは直近の新製品ということもあり、大きくスペースを取ってカラバリ展開をアピールしておりました。デスクトップはtype R masterとtype Lのみ。type Lは、米国で先行発表された新製品かと思いきや、現行モデルそのまんまでした。残念。

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で、あちこち撮影した後も、まだ担当者Tさんが接客中だったので、真向かいのデモコーナーに移動。この秋の新製品に付属する映像編集ソフト「VAIO Movie Story」を試してみることにしました。始めにコンパニオンさんがサイバーショットで自分を撮影。その画像をバイオに取り込んでからデモスタートということだったのですが、取り込みがうまくいかず、すでにバイオに取り込んである素材でデモをしていただいたのですが、まあ、良くできてますね、コレ。昔のバイオに付属していた「Movie Shaker」っぽいソフトで、さしたる苦労もなく、静止画と動画素材をミックスしたオリジナル動画を作成できちゃいます。

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sdw2007_33.jpgテンプレも色々と用意されており、様々なパターンを試すこともできます。あとで担当者Tさんに聞いたのですが、テンプレはソニーのデザインセンターが手がけているとか。あれ、コレって言って良かったんだっけ?まあいいか。ダメならつっこみが入るでしょう(ってココで言った時点でアウトという話も・・・)。それと、これもTさんに聞いた話なんですが、書き出せる動画のフォーマットも豊富で、MPEG-4 AVCのMainもBaselineもOKだそうです。いすれも書き出しにパワーは必要ですが、自作の動画をPSPや動画対応ウォークマンで手軽に持ち歩けるのは良いですね。

その後、担当者Tさんの接客が終わったのを見計らい急襲。ご挨拶もそこそこに、バイオ新製品に不属する、あの音楽ソフト「VAIO Music Box」についてお聞きしました。このソフト、左下の画像が基本画面で、ウインドウのサイズすら切り換えられないシンプルなソフトです。

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最初にに音楽ファイルが入っているフォルダを指定してあげる必要がありますが、その後は基本的にはソフトにお任せ。バックグラウンドでネットジュークでお馴染みの12音解析が行われ、自動的にリストアップされるとか。オフィシャルサイトに書いてあることなので詳細は省きますが、リストのデータを書き出し、SonicStageやiTunesに読み込ませることで、ウォークマンやiPodでもリストのデータが共有できるのが良いですね。

また、気になるATRAC対応の件についてだけ確認してみると。間髪入れず、クレジットを表示してくださり、対応していることをちゃんと見せてくれました。最初にアップされたWeb上の情報も今はATRACに対応するということになってますし、ひとまず、めでたしめでたしといったところ。

その他、このソフトの面白いところなども色々とたずねてみようと思っていたところ、後ろからなにやら強烈な視線を感じまして、振り返ってみるとシルベスタ・スタローン似のSMOJの御子柴課長さんが不安げな面持ちでこちらをうかがっていらっしゃいます。時間が無いんだと気がついた自分は、担当者Tさんにその旨をお伝えし、御子柴課長さんの後についてすごすごとその場を後にしました。

なんとこの時、タイムリミットまであと15分。これは急がなきゃということで、足早にホームオーディオコーナーへと移動しはじめるのですが、ここで御子柴課長さんからこの先に面白い展示があるので見逃さないでみたいなことと言われ、大人のコンポをすっ飛ばしてそのコーナーに足を踏み入れたのですが・・・これがまたすごかった。ということで、詳細は次回。

sdw2007_34.jpg(ちなみに、大人のコンポコーナーで小冊子が配布されていたのは見えたのですが、あとでどこかでもらえるだろう思ってスルーしてしまいました。実は、これに限らず、今回、カタログの類はそれぞれのコーナーでゲットしなくちゃいけなかったのですが、自分は結局後にも先にも会場視察中にひとつもカタログをゲットしてませんでした。完全にダメダメです、自分。)

ストリンガー氏主導の動画配信サービスと新DRMソフトの噂

[WSJ] ソニー、ビデオダウンロード市場でAppleに対抗

PS3とPSP、BRAVIAと組み合わせてテレビ番組や映画をダウンロードできる製品もしくはサービスの開発計画がストリンガー氏主導で行われているという噂が流れているそうです。サービスそのものはすでに存在するのですが、カギを握るのは「視聴者に対し、どこが最高のハイビジョン体験を提供できるか」であり、その観点からソニーがこの分野で支配的な地位を確立することは非常に重要としています。そして、ソニーが既にこの方向への移行を進めているとして、先だって欧米で発表されたウォークマンの新製品がWMPに対応したことや、先日日本でも発表されたBRAVIAの新製品がVODに対応していることなどを例にあげています。

また、ビデオダウンロード市場でソニーに有利となるであろうポイントとして、Appleの独占を警戒するコンテンツ提供会社が自分たちの気持ちを理解してくれる企業との提携を選ぶ可能性が高いとして、その矛先をソニーに向けているようなことが書いてあります。さらに、ソニーの本格的なビデオダウンロード市場への参入は、ストリンガー氏が自由闊達なソニーの企業文化をうまく管理できているかどうかのテストでもあるとして、事業部やグループの垣根を越えた非常に密接なチームワークが必要となるとしていました。

コネクト部門の閉鎖とサービスを段階的打ち切り、ウォークマンへのWindows Mediaソフトの採用もどうやらストリンガー氏主導のもとに行われているようで、詳しい情報筋によると、「一部幹部の反対をおして、あるデジタル著作権管理ソフトウェアの採用を自ら決定した」との噂もあるようです。さらに、このソフトがゆくゆくはソニーの全製品に採用されることになるとか。

ここで言うDRMソフトはどんなソフトなんでしょうね。元アップルの人が関わっている自社製なのか、それとも他社製なのか、はたまたMS社と組んだWindows Mediaソフトの発展系なのか・・・?

そういえば、先日発表されたバイオ秋モデルには、プレスリリースでアナウンスされた「VAIO Movie Story」以外に、「VAIO MusicBox」という新しい音楽ソフトがあるんですよね。これ、バイオに取りこんだ音楽ライブラリーを自動選曲し再生するソフトウェアで、ネットジュークに採用された「12音解析」 技術が使われていること以外に、「SonicStage」「iTunes」「Windows Media Player」などで録音した音楽ファイルの再生に対応していて、それぞれの音楽管理ソフトを起動しなくても楽曲にアクセスできるのが大きな特長となっています。

で、これはとある人から教えていただいたのですが、ソフトの紹介ページの一番下にある対応フォーマットを見て驚きました。MP3、AAC、WMA、WAVの4つで、なんと「ATRAC」が無いのです。SonicStageと連携してもATRACが再生できないとはこれいかに。

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今回バイオに付属するこれらの新しいソフトがストリンガー氏がすすめているAVのダウンロードサービスとなんらかのつながりがあるのかは全くわかりませんが、MusicBoxの仕様がこのままだとすれは、ソニーが日本でもATRACを捨てようとしていることだけは間違いないように思います。動画はともかく、音楽に関しては完全にリセットするつもりなのかもしれませんね。

にしても、このやり方はどうなんでしょうね。なんだかんだとATRACを支持してきた日本のファンへはむごい仕打ちですってば・・・。

【追記】その後、eyeVioが国内の動画共有サービスとして初めてDVDクラスの高画質化対応を果たすと発表がありました。形式はFLV ストリーミング。画面サイズは16:9(640×368)と4:3(480×360)、ビットレートは1.5Mbps>ソニーの映像ネットメディア”eyeVio:アイビオ”国内の動画共有サービスで初めてDVDクラスの高画質化を実現

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欧米向け新ウォークマンがATRACを捨てた理由を津田大介さんが考察

ウォークマンが”ATRAC”を捨てた理由

ASCII.jpの新連載、「時事ニュースを読み解く “津田大介に聞け!!”」で、ソニーが欧州向けに発表した新型ウォークマンがATRACを捨てた理由について津田さ大介さんが考察。

・(iTS以外の音楽配信サービスでは)音楽ファイルのフォーマットはWMAがスタンダード。「音楽配信サービスにATRACを食い込ませるのが難しい」「それならわざわざ音楽プレーヤーでも使うこともないよね」という話だと思う。
・(ATRACフォーマットを利用した音楽配信サービスは)ほとんど知られていない。それ以前に欧米では、(ATRAC採用の)MDも定着しなかった。MDがもう少し広まっていたら、話は違っていたかもしれない。
・もはやフォーマットでユーザーを囲い込む時代は終わった。アップルがAACの採用でそんな囲い込みを解放した。ソニーはそれに負けたというのが結論。
・(ソニーのWMA採用について)ソニーとしては、どちらかといえばアップルの対抗勢力に付いたほうがいいと考えているのではないだろうか。

といったところが津田さんの見解。また、携帯音楽プレイヤーの今後については、「バッテリーや音質、ガジェットとしての魅力で競争していくことになるだろう」とか。ウォークマンの日本市場戦略については、ATRACをすぐにやめられないため、「将来的にはATRAC、AAC、WMA、MP3などに対応した”全部入り”」プレーヤーが出てくるのではないだろうか」と予測なさってます。

まあ、アップルは採用するフォーマットがオープンでも別なカタチ(ソフト&サービス)でちゃんとユーザーを囲い込んでますもんね。One of themになったソニーはハードの魅力だけでどこまで勝負できるのか。欧米市場でのウォークマンはこれからが正念場なんでしょうね。

にしても気になるのが今後の日本向けの製品戦略。SonicStage絡みではバイオにも影響するし、ATRAC絡みではネットジュークへの影響もありますもんね。ATRAC/SonicStageを残しつつ、WMAのDRMにも対応なんてことになると、逆に面白いことになりそうです。これぞ真の全部入りですもんね。ウォークマンとNapster、意外に相性良かったりして~。

【追記】ウォークマンの戦略転換はもしかしたらDLNA絡みのことも影響しているのかもしれませんね・・・>ついにやってきたDLNA時代

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ウォークマンは日本でも「Goes Open」になるのか

先日発表された欧米での新型ウォークマンについて、とらいでんと+さんから以下のようなご意見をいただきましたのでご紹介します。(1年前からのご愛読含めまして感謝です!)

今回の欧米での新型ウォークマン発表について個人的に思うところがありまして、投稿させて頂きます。以下はあくまで一消費者としての見解ですので、軽く流して頂いても構いません。なお、私自身ネガティブな意見も持っていますが、ポジティブな視点で書きたいと思います。

今回「Goes OPEN」ということで発表されましたが、国内で行う可能性は高いと思います。それどころか既に一年前から計画していたのではないでしょうか。昨年NW-S700、S600が発表された際、今までになくPCレスをアピールしていたように感じます。ただPCレスが浸透しないのは、MDのような共通規格が存在しないからでしょう。現状は同一メーカーが原則ですので。ソニーはここに目をつけ、Windows Media Playerを母艦とするプレーヤーに対しMDのようなアプローチで囲い込もうとしていると予想します。

一方でこの一年間は実験と土台作りに主眼を置き、「ソニー=高音質」の浸透と「Goes OPEN」に向けてビデオや新GUI、Bluetooth、ノイズキャンセリング等の市場の反応を見ていた、と思います。その上で今回は使い勝手を優先するのでしょう。ソニーらしさは薄いものの、これからは「ソフトとウォークマン」ではなく「ウォークマン」だけに全力を注げるとも言えるので、来年の春頃のウォークマンに成果を出てくるのではないでしょうか。あくまでも勝手な予想ですが、ソニーさんがここまで考えてるのなら、アップルと戦えそうに思います。

規格そのものは優秀なのに、著作権保護うんぬんで施された諸々の制限が使い勝手を損ない、消費者から見ると悪の代名詞になってしまったATRAC。一度ついてしまった悪い印象はぬぐい去ることができないということで、ソニーが一大決心。自社フォーマットに見切りをつけ、あらゆるWindows PCに標準で付属するWMPを母艦ソフトに採用する(規格にWMAを採用する)ことで、これまでソフト開発にとられていたリソースを減らし、今まで以上にハードに注力するという戦略に転換するということになるのでしょうか。マクロな視点では、itunes vs. WMP、イコール、アップル vs. ソニーを含むその他大勢という新たな勢力図が生まれることにもなりますね。

実際のところ、ウォークマンで再生可能なフォーマットに関しては、2005年にはMP3とWMA、2006年にはAACに対応と、自社のATRACを含め、ポピュラーな規格は全てカバーしてきておりますし、SonicStageで任意の規格でリッピング(エンコード)することもできるようになりましたから、再生フォーマットに関してはこれ以上ないほどオープンな姿勢を取ってきたとも言えます。が、MP3 File Managerなど一部のソフトを除き、規格にかかわらずPCからウォークマンへの楽曲転送にはSonicStage(or 一部の機種ではコネプレ)を使う必要があったわけですよね。で、今回の新製品からはSonicStageすらつけないよと。もうWindows PCがあるならソフトのインストール無しに即使えるよと。WMPを使うも良し。他のリッピングソフトを使うも良し。それこそPCMファイルをD&Dでダイレクトに書き込むも良し。と、そういうことでしょうか。

そんなことを考えている最中、タイミング良くAV WatchがノンATRAC&ノンSonicStageなウォークマンの第一弾となったB100シリーズをレビューしてくれています。

SonicStage要らずの「ウォークマン」を試す ドラッグ&ドロップにも対応。ソニー 「NWD-B103F」

転送ソフトをSonicStage CPからWindows Media Playerに変更して、WM DRMもサポート。ソニーとMicrosoftがタッグを組むという奥の手的な戦略だが、ATRACには対応せず、業界で広く扱われているMP3やAAC、WMAへの対応を進めていくようだ。なお、欧米ではATRACの音楽配信サービス「CONNECT」の終了もアナウンスされているが、ソニーでは「各地域の特性を考慮した製品戦略の一貫。国内においては従来通りにビジネスを進めていく」としている。

欧米で発表された新製品の仕様変更についてこのように解説。B100シリーズは「ソニーの新戦略の橋頭堡」であるとしていました。プレイヤーそのものについては、「デザイン、音質、操作インターフェイスなどがしっかりと作り込まれており、ベーシックなオーディオプレーヤーとして完成度は高い」と高評価。ただ、内蔵のPCソフト「Auto Transfer」は、D&D含め、転送速度が遅いのがネックとしています。また、日本語の楽曲情報の表示もできるとの記述もありますね。

自分も以前からウォークマンはPC、ノンPC関係なく、曲の転送が遅いと感じていたので、ハードに注力するのであれば、まずはこの問題を最優先に解決して欲しいと思っております。と、そんな話はともかく、どうなるんですかね、日本向けの新製品は。

欧米で発表された新製品の日本市場投入は未定で、国内では従来どおりにビジネスをすすめるとのことですから、日本に限って言えばこの秋にはウォークマンの新製品は出ない可能性の方が高いのかもしれませんね。ただ、長い目で今後を考えると、欧米と日本で異なる戦略を取り続けていくのは、リソースやコスト面でも難しいような気もします。来春頃に国内でも大きな動きがあるのではないかという、とらいでんと+さんの読みは意外と正しいのかもしれません。

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以下、どうでもよい愚痴。

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