「携帯AVプレイヤー」カテゴリーアーカイブ

iPhone – Phone = iPod touch ?

アップルがiPodの新製品を発表。タッチスクリーンにWi-FiとiPhoneから電話機能を取ったかのようなiPod touch。カバーフローと動画再生に対応し、筐体デザインが大きく変わったiPod nano。これぞiPodというオリジナルデザインを踏襲したHDDタイプもカバーフローに対応してiPod classicへと改名されました。

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すでに大手メディアでも報道合戦が繰り広げられておりますし、当サイトをご覧いただいているような方であれば、とっくにアップルのサイトで製品のスペックを確認していると思われますので、その辺はバッサリ割愛して個人的に感じたことをさらっと。

iPod touch
Wi-Fi対応はこういうことだったんですね。iPhoneが発表された段階で電話機能無しで出して欲しいなんて声が多かったですし、ある意味順当な製品戦略なのかもしれません。悪く言えば短絡的かなあと思ったのですが、これを出しておけば日本にiPhoneが入って来ても誰もが違和感なく使いこなせるみたいな読みもあるのでしょうか。ただ、まあiPhone – Phone(電話)は、音楽プレイヤー機能を別に考えれば、ぶっちゃけクリエやPalmがいままでPDAの世界でやってきたことの延長戦でしか無いとも言えるわけで。クリエが今も存続していて、音楽プレイヤーとしての機能を順当に強化していけば、ベクトルこそ違いますがこういう商品もひとつの到達点だったのではないかとも思えなくもないです。ネット系のアプリによる機能拡張の面でも色々な可能性を感じる商品でありますが、AVプレイヤーとして見た時にはサイズやメモリ容量などの点で果たして正当な評価が得られるかどうか。金に余裕があれば使ってみたいけど、今すぐ欲しいかといわれると正直微妙。

iPod nano
いやー、随分とずんぐりむっくりしちゃいましたね。機能的にはウォークマンA800シリーズに追いつきましたけど、果たしてこのデザインで良かったのでしょうか。Mac&iPod好きな同居人もこのデザインはイマイチと言ってました。まあ、値段は魅力的ですし、コイツが一番売れるんでしょうね。

iPod classic
初代iPodからの流れを組むHDDタイプのiPod。やっぱりこれが無ければ始まりません。最大容量はついに100GBオーバー、倍々ゲームの160GBですよ。それだけのライブラリーをMacやPCで作るだけでも大変ですが、自分が持ってる音楽ライブラリを全部持ち歩かないと気が済まないという人にとっては絶対にはずせないラインナップです。自分のPC&Mac環境を考えたら80GBで十分。自分の今の音楽スタイルなら今回の新製品の中ではだぶんこいつが実用度ナンバーワンになると思われます。

shuffleはレッドの追加だけなのでスルーの方向で。touch以外は順当な進化で、もしもtouchの発表がなかったら逆に落胆の声が聞こえてきたかもしれないのではないかと思える今回のiPod新製品。ソニーファンの皆さんはどんな感想をお持ちになりましたか?

ちなみに、スークさんから新iPodについて「結局クリエで出来ていたことに近づいてきただけのような気がするのは私だけでしょうか?復活してくれませんかねぇ・・・クリエ。」とのお便りをいただいております。思えば、クリエTH55は2004年2月に発売されています。あれから3年半かあ。それだけの時間があったら今頃はきっと究極のクリエを使っていたことでしょうね・・・。

一方で、Palmが「Foleo」の開発を中止したというニュースが各所で飛び交ってますね。こういう時期で開発をストップするというのはかなり勇気もいることでしょうね。今後はスマホに注力するようですが、その戦略がアップルと対照的ですね~。にしても、日本人にとってはすっかり縁遠い企業になっちゃいましたね、米Palmって・・・>米パーム、簡易型パソコン事業中止・携帯電話に集中

残るはRolly。プロモのやり方はどうかと思うけど、内容によってはiPodよりも世間にインパクトを与えられるかもしれないので、良い意味で期待してます。

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ストリンガー氏主導の動画配信サービスと新DRMソフトの噂

[WSJ] ソニー、ビデオダウンロード市場でAppleに対抗

PS3とPSP、BRAVIAと組み合わせてテレビ番組や映画をダウンロードできる製品もしくはサービスの開発計画がストリンガー氏主導で行われているという噂が流れているそうです。サービスそのものはすでに存在するのですが、カギを握るのは「視聴者に対し、どこが最高のハイビジョン体験を提供できるか」であり、その観点からソニーがこの分野で支配的な地位を確立することは非常に重要としています。そして、ソニーが既にこの方向への移行を進めているとして、先だって欧米で発表されたウォークマンの新製品がWMPに対応したことや、先日日本でも発表されたBRAVIAの新製品がVODに対応していることなどを例にあげています。

また、ビデオダウンロード市場でソニーに有利となるであろうポイントとして、Appleの独占を警戒するコンテンツ提供会社が自分たちの気持ちを理解してくれる企業との提携を選ぶ可能性が高いとして、その矛先をソニーに向けているようなことが書いてあります。さらに、ソニーの本格的なビデオダウンロード市場への参入は、ストリンガー氏が自由闊達なソニーの企業文化をうまく管理できているかどうかのテストでもあるとして、事業部やグループの垣根を越えた非常に密接なチームワークが必要となるとしていました。

コネクト部門の閉鎖とサービスを段階的打ち切り、ウォークマンへのWindows Mediaソフトの採用もどうやらストリンガー氏主導のもとに行われているようで、詳しい情報筋によると、「一部幹部の反対をおして、あるデジタル著作権管理ソフトウェアの採用を自ら決定した」との噂もあるようです。さらに、このソフトがゆくゆくはソニーの全製品に採用されることになるとか。

ここで言うDRMソフトはどんなソフトなんでしょうね。元アップルの人が関わっている自社製なのか、それとも他社製なのか、はたまたMS社と組んだWindows Mediaソフトの発展系なのか・・・?

そういえば、先日発表されたバイオ秋モデルには、プレスリリースでアナウンスされた「VAIO Movie Story」以外に、「VAIO MusicBox」という新しい音楽ソフトがあるんですよね。これ、バイオに取りこんだ音楽ライブラリーを自動選曲し再生するソフトウェアで、ネットジュークに採用された「12音解析」 技術が使われていること以外に、「SonicStage」「iTunes」「Windows Media Player」などで録音した音楽ファイルの再生に対応していて、それぞれの音楽管理ソフトを起動しなくても楽曲にアクセスできるのが大きな特長となっています。

で、これはとある人から教えていただいたのですが、ソフトの紹介ページの一番下にある対応フォーマットを見て驚きました。MP3、AAC、WMA、WAVの4つで、なんと「ATRAC」が無いのです。SonicStageと連携してもATRACが再生できないとはこれいかに。

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今回バイオに付属するこれらの新しいソフトがストリンガー氏がすすめているAVのダウンロードサービスとなんらかのつながりがあるのかは全くわかりませんが、MusicBoxの仕様がこのままだとすれは、ソニーが日本でもATRACを捨てようとしていることだけは間違いないように思います。動画はともかく、音楽に関しては完全にリセットするつもりなのかもしれませんね。

にしても、このやり方はどうなんでしょうね。なんだかんだとATRACを支持してきた日本のファンへはむごい仕打ちですってば・・・。

【追記】その後、eyeVioが国内の動画共有サービスとして初めてDVDクラスの高画質化対応を果たすと発表がありました。形式はFLV ストリーミング。画面サイズは16:9(640×368)と4:3(480×360)、ビットレートは1.5Mbps>ソニーの映像ネットメディア”eyeVio:アイビオ”国内の動画共有サービスで初めてDVDクラスの高画質化を実現

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欧米向け新ウォークマンがATRACを捨てた理由を津田大介さんが考察

ウォークマンが”ATRAC”を捨てた理由

ASCII.jpの新連載、「時事ニュースを読み解く “津田大介に聞け!!”」で、ソニーが欧州向けに発表した新型ウォークマンがATRACを捨てた理由について津田さ大介さんが考察。

・(iTS以外の音楽配信サービスでは)音楽ファイルのフォーマットはWMAがスタンダード。「音楽配信サービスにATRACを食い込ませるのが難しい」「それならわざわざ音楽プレーヤーでも使うこともないよね」という話だと思う。
・(ATRACフォーマットを利用した音楽配信サービスは)ほとんど知られていない。それ以前に欧米では、(ATRAC採用の)MDも定着しなかった。MDがもう少し広まっていたら、話は違っていたかもしれない。
・もはやフォーマットでユーザーを囲い込む時代は終わった。アップルがAACの採用でそんな囲い込みを解放した。ソニーはそれに負けたというのが結論。
・(ソニーのWMA採用について)ソニーとしては、どちらかといえばアップルの対抗勢力に付いたほうがいいと考えているのではないだろうか。

といったところが津田さんの見解。また、携帯音楽プレイヤーの今後については、「バッテリーや音質、ガジェットとしての魅力で競争していくことになるだろう」とか。ウォークマンの日本市場戦略については、ATRACをすぐにやめられないため、「将来的にはATRAC、AAC、WMA、MP3などに対応した”全部入り”」プレーヤーが出てくるのではないだろうか」と予測なさってます。

まあ、アップルは採用するフォーマットがオープンでも別なカタチ(ソフト&サービス)でちゃんとユーザーを囲い込んでますもんね。One of themになったソニーはハードの魅力だけでどこまで勝負できるのか。欧米市場でのウォークマンはこれからが正念場なんでしょうね。

にしても気になるのが今後の日本向けの製品戦略。SonicStage絡みではバイオにも影響するし、ATRAC絡みではネットジュークへの影響もありますもんね。ATRAC/SonicStageを残しつつ、WMAのDRMにも対応なんてことになると、逆に面白いことになりそうです。これぞ真の全部入りですもんね。ウォークマンとNapster、意外に相性良かったりして~。

【追記】ウォークマンの戦略転換はもしかしたらDLNA絡みのことも影響しているのかもしれませんね・・・>ついにやってきたDLNA時代

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携帯オーディオプレイヤー新製品のトレンドはワイヤレスか

東芝、クリエイティブ松下に引き続き、Samsungも携帯オーディオの新製品を発表したんですね。

IFA 2007【Samsung編】BD/HD DVDプレーヤーや102型PDP-Bluetooth対応メディアプレーヤー/H.264ビデオカメラも

記事のメインがBD/HD DVD両対応プレーヤーとテレビですが、中盤にBluetooth対応メディアプレーヤーの記述があります。3型ワイド/480×272ドットのタッチパネル液晶搭載で、MPEG-4/WMV動画や、MP3/WMAの音楽再生に対応するほか、Bluetooth 2.0もサポート。同社製ヘッドセットを使用することで、3台まで音声を伝送できるとか。連続再生は音楽が35時間、動画が5時間。サイズが100×52×9.9mmで重量が85g。タッチパネル&Blueotoothが新しいですね。

欧米のソニーが発表した新ウォークマンは対応コーデックと転送ソフトの変更という大きな戦略転換が話題になりましたが、プレイヤー自体の仕様は過去のモデルと比較して目新しいところがありません。オプションでBluetoothに対応するという点でも過去のモデルと同じ。仮に日本向けモデルがATRAC対応になったとしても、他社の製品ほど話題になることはないかもしれません。

次期iPodとiPod nano、どんなのが出る?

そんな中、CNET Japanオンラインパネルディスカッションでは明日発表される新iPodのスペック予想が繰り広げられています。カバーフローそっちのけでWi-Fi and/or Bluetoothの内蔵を予想(希望)する著名人が後を絶ちません。それほど、ワイヤレスiPodを期待する人が多いってことですね。

東芝のWi-Fi、松下のノイキャン&Bluetooth、クリエイティブの16GBフラッシュメモリー、Samsungのタッチパネル&Bluetoothときて、iPodがカバーフロー&ワイヤレスに加え、大容量メモリーとタッチパネルなんぞを実現してきた日には、もう大変なことになりそうな気がしますが、さすがにそれは無いかな・・・。

ということで、この秋の日本向けウォークマン新製品にははなっから期待しないほうが吉かも。ちなみに、Rollyはワイヤレスという観点では期待できそうなところが色々とありそうですが、詳細がいまだに不明なんですよね・・・。

それはそうと、小寺さんが紹介しているヘッドホンアンプ「DR.DAC2」が気になります。ハンディといっても持ち歩けるようなモノではないのですが、高級オーディオにはとうてい手が出せない自分にとっては興味津々なアイテムっす。4万オーバーとそれなりですが、安価なコストで改造も楽しめるようで、なんか楽しそう・・・>ハンディ&ハイエンド、「DR.DAC2」の素敵

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ウォークマンは日本でも「Goes Open」になるのか

先日発表された欧米での新型ウォークマンについて、とらいでんと+さんから以下のようなご意見をいただきましたのでご紹介します。(1年前からのご愛読含めまして感謝です!)

今回の欧米での新型ウォークマン発表について個人的に思うところがありまして、投稿させて頂きます。以下はあくまで一消費者としての見解ですので、軽く流して頂いても構いません。なお、私自身ネガティブな意見も持っていますが、ポジティブな視点で書きたいと思います。

今回「Goes OPEN」ということで発表されましたが、国内で行う可能性は高いと思います。それどころか既に一年前から計画していたのではないでしょうか。昨年NW-S700、S600が発表された際、今までになくPCレスをアピールしていたように感じます。ただPCレスが浸透しないのは、MDのような共通規格が存在しないからでしょう。現状は同一メーカーが原則ですので。ソニーはここに目をつけ、Windows Media Playerを母艦とするプレーヤーに対しMDのようなアプローチで囲い込もうとしていると予想します。

一方でこの一年間は実験と土台作りに主眼を置き、「ソニー=高音質」の浸透と「Goes OPEN」に向けてビデオや新GUI、Bluetooth、ノイズキャンセリング等の市場の反応を見ていた、と思います。その上で今回は使い勝手を優先するのでしょう。ソニーらしさは薄いものの、これからは「ソフトとウォークマン」ではなく「ウォークマン」だけに全力を注げるとも言えるので、来年の春頃のウォークマンに成果を出てくるのではないでしょうか。あくまでも勝手な予想ですが、ソニーさんがここまで考えてるのなら、アップルと戦えそうに思います。

規格そのものは優秀なのに、著作権保護うんぬんで施された諸々の制限が使い勝手を損ない、消費者から見ると悪の代名詞になってしまったATRAC。一度ついてしまった悪い印象はぬぐい去ることができないということで、ソニーが一大決心。自社フォーマットに見切りをつけ、あらゆるWindows PCに標準で付属するWMPを母艦ソフトに採用する(規格にWMAを採用する)ことで、これまでソフト開発にとられていたリソースを減らし、今まで以上にハードに注力するという戦略に転換するということになるのでしょうか。マクロな視点では、itunes vs. WMP、イコール、アップル vs. ソニーを含むその他大勢という新たな勢力図が生まれることにもなりますね。

実際のところ、ウォークマンで再生可能なフォーマットに関しては、2005年にはMP3とWMA、2006年にはAACに対応と、自社のATRACを含め、ポピュラーな規格は全てカバーしてきておりますし、SonicStageで任意の規格でリッピング(エンコード)することもできるようになりましたから、再生フォーマットに関してはこれ以上ないほどオープンな姿勢を取ってきたとも言えます。が、MP3 File Managerなど一部のソフトを除き、規格にかかわらずPCからウォークマンへの楽曲転送にはSonicStage(or 一部の機種ではコネプレ)を使う必要があったわけですよね。で、今回の新製品からはSonicStageすらつけないよと。もうWindows PCがあるならソフトのインストール無しに即使えるよと。WMPを使うも良し。他のリッピングソフトを使うも良し。それこそPCMファイルをD&Dでダイレクトに書き込むも良し。と、そういうことでしょうか。

そんなことを考えている最中、タイミング良くAV WatchがノンATRAC&ノンSonicStageなウォークマンの第一弾となったB100シリーズをレビューしてくれています。

SonicStage要らずの「ウォークマン」を試す ドラッグ&ドロップにも対応。ソニー 「NWD-B103F」

転送ソフトをSonicStage CPからWindows Media Playerに変更して、WM DRMもサポート。ソニーとMicrosoftがタッグを組むという奥の手的な戦略だが、ATRACには対応せず、業界で広く扱われているMP3やAAC、WMAへの対応を進めていくようだ。なお、欧米ではATRACの音楽配信サービス「CONNECT」の終了もアナウンスされているが、ソニーでは「各地域の特性を考慮した製品戦略の一貫。国内においては従来通りにビジネスを進めていく」としている。

欧米で発表された新製品の仕様変更についてこのように解説。B100シリーズは「ソニーの新戦略の橋頭堡」であるとしていました。プレイヤーそのものについては、「デザイン、音質、操作インターフェイスなどがしっかりと作り込まれており、ベーシックなオーディオプレーヤーとして完成度は高い」と高評価。ただ、内蔵のPCソフト「Auto Transfer」は、D&D含め、転送速度が遅いのがネックとしています。また、日本語の楽曲情報の表示もできるとの記述もありますね。

自分も以前からウォークマンはPC、ノンPC関係なく、曲の転送が遅いと感じていたので、ハードに注力するのであれば、まずはこの問題を最優先に解決して欲しいと思っております。と、そんな話はともかく、どうなるんですかね、日本向けの新製品は。

欧米で発表された新製品の日本市場投入は未定で、国内では従来どおりにビジネスをすすめるとのことですから、日本に限って言えばこの秋にはウォークマンの新製品は出ない可能性の方が高いのかもしれませんね。ただ、長い目で今後を考えると、欧米と日本で異なる戦略を取り続けていくのは、リソースやコスト面でも難しいような気もします。来春頃に国内でも大きな動きがあるのではないかという、とらいでんと+さんの読みは意外と正しいのかもしれません。

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以下、どうでもよい愚痴。

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米欧ソニーが新ウォークマンを発表~ATRACとSonicStageを捨てWindows Mediaをサポート

SONY UNVEILS FIRST U.S. WALKMAN VIDEO PLAYERS(米ソニー)
SONY LAUNCHES NEXT GENERATION WALKMAN® DIGITAL MEDIA PLAYERS(欧ソニー)

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米欧ソニーが揃ってウォークマン新製品を発表。A800のデザインそのままに一部機能をバージョンアップしたA810シリーズと、A8xxシリーズ同様の動画再生機能とFMチューナーを搭載したSシリーズの新製品S610シリーズの2機種。注目すべきはATRACを捨てWMAに全面的に対応するという、ソニーのポータブルオーディオ事業における戦略の大方向転換。

ソニー、CONNECT MusicとATRACを切り捨てたウォークマンを米市場で投入
米Sony、H.264ビデオやWM DRM対応の新ウォークマン-楽曲管理ソフトはWMP11。ATRAC非対応に

上記のニュースに記載されていますが、今回の新製品で使用する音楽ソフトはMicrosoft Windows Media Player 11となり、ソニーは今後Windows Media対応のデジタル音楽環境をサポートしていくことを明らかにしたそうです。また、これに伴い、北米と欧州で提供してきた、ATRAC形式による「CONNECT Music Services」を2008年3月以降に終了する予定であることも発表されたとか。

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いやー、これは衝撃です。ソニーが独自に提供してきたフォーマットやソフト、サービスを全否定しちゃったんですもんね。自らリセットボタンを押したと・・・。逆にリセットしてしまうことで、Napster対応やPS3との連携といった、今までできなかったことができるようになったってことなんですかね。

欧米と日本の市場の違いも要素としては大きいとは思うのですが、にしてもこの思い切りの良さはなんなのでしょう。というか、あきらめちゃったんですかね。これからはソフトだサービスだみたいな話をしておいて、Windows Mediaですもの。別にWindows Mediaが悪いとかそういうことじゃないんですけど、なんかなあ…。略称のWMもWindows Media搭載のウォークマンというダブルミーニングかと。

以前、ウォークマンビジネスを統括する吉岡氏はインタビューで自らこんなことをおっしゃってました。

着任当時、大手家電量販店のフロアマネージャークラスの方々にヒヤリングした時、次のようなことを言われたんです。『SonicStageでいいんです。余計なことをしないでください』と。 (動画ソフトを)統合するというのは大変なことです。品質を重視すると、拙速なことはしたくない

当然、これは国内市場においての話ですし、言ってることとやってることが違うじゃないかとは言えません。ただ、欧米という巨大市場でこれだけの戦略転換をしたのに、日本だけは今後も今までどおりってなことになりますでしょうかね。特に日本のウォークマンユーザーは良かれ悪しかれ、SonicStageに慣れ親しんで来ましたし、ATRACフォーマットでライブラリを構築している人がたぶん圧倒的でしょう。なので、日本向けに今回の新製品が投入されるとすれば、何らかの救済措置を講じる必要があるのではないかと思います。

日本向けのハードというか石(チップ)は、今までどおりATRACにも対応しつつ、DRM付きのWMAにも対応するであるとか。そうなれば、 転送ソフトはWMP11も使えるけど今までどおり、SonicStageも使えるってことになるでしょうしね。そうした上で、ソニーのウォークマンビジネスが今後どう変わるのか、そしてその変化にユーザーはどう対応するべきかを、ちゃんと説明してもらえるのなら良いのですが・・・。

とここで、今回の欧米での新製品発表を受け、いくつかお便りを頂戴しておりますのでまとめてご紹介。

ヨーロッパで発表したみたいですが、ドラッグアンドドロップ対応、Windows Media DRM対応のWMA、ATRACを廃止などかなり衝撃的な内容です。これは日本でも出るかは不明ですが正直がっかりです。Sシリーズはジョグタイプであってほしかったしなんか他のメーカーで見たことあるようなデザインでソニーのデザインって感じがしません。ただ、ウォークマンはソニー製品で唯一日本がメインなので日本専用のもっと魅力的な製品が出ることを期待しています。(from テツローさん)

今回新たに発表されたS610ですが、どことなくソニエリのケータイっぽい雰囲気もありますね。液晶が1.8インチで表面積的にはA810よりもコンパクトみたいです。ボタンやヘッドホンのコネクタ位置が変わり、相変わらず一貫性のないことしてますけど、実際に操作しやすいのなら文句も出ないことでしょう。

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ノイキャンもワイヤレスも無しなのは寂しい限りですが、欧米での足固めを考えると価格が最優先だからしかたがないのかな…。とりあえず、PS3との連携、Napster対応というエポックメイキングがあるので、自分は日本でも出るなら是非ゲットしてみたいと思っています。

ATRAC非対応なのは残念なことですが、MP4/AVC H.264に対応したのは素晴らしいことですね。自分はA800買ったばかりにこんな発表があるとは思いませんでした。AVC動画はPSPのために大量に所持しているのですが、ATRACの音質も捨てがたい。A810の方はデザインが変わっていないみたいなのでハードのスペックも変わっていないのかな?だとしたら、ファームのアップデートでA800でも対応しないかなと妄想が止まりません。(from EternalHarvestさん)

SシリーズのH.264対応への評価ってことでよろしいでしょうか。A800のファームアップデート、期待したいですがどうなりますでしょうかね。とりあえず、A800が今のままでNapsterに対応してくれるなら、新製品を買う理由がなくなるという話もあったり…。

にしても、今後、ウォークマンどうなっちゃうんでしょうね。
来週発表されるであろう新型iPodの内容含め、期待と不安がないまぜな今日この頃です。

【追記】AV Watchに欧州での発表会のレポートが掲載されました。、「欧州では、9割のユーザーがATRACを使用しない」のだそうです。ゆえに「Goes OPEN」が売りになるわけですね~>IFA 2007【ソニー編】新ウォークマンは「Goes OPEN」-欧州向けに発売。899/599ユーロのBDプレーヤーも

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