ソニーCSL オープンハウス2007 一般公開日のプチレポ

sonycsl_oh07.jpg昨日、ソニーCSLで開催されたオープンハウス2007のデモンストレーションに足を運んできました。自分は15:00からの部に参加したのですが、30分遅れで会場入りしたらすでに大勢の人でにぎわっていました。ちなみに、プレス関係者以外は撮影禁止ということで、研究所の入口の写真ぐらいしか撮影できませんでした。すいません…。(プレスとして登録してもらえば良かったのかなあ…)

同研究所の2フロアが会場として使用されていました。研究テーマごとにブースが設けられ、その研究に携わった研究員の方々が直接ブースに常駐するスタイル。3Fでは基礎研究室の展示が、2Fではインタラクションラボラトリーとパリの同研究所ラボの展示が行われました。

3Fは基礎研究ということでソニープロダクツにすぐに結びつくような内容では無いので個人的にはスルーしてしまいました。ちなみに、あの茂木健一郎さんのブースはものすごい人だかりでした。先のシンポでも熱弁していましたが、氏の語る「偶有性」(英語でContingencyって言うそうです)という考え方(定義・概念?)はとても面白いので興味がある人は同氏の著作をお読みください。<…ってそれだけか!

個人的にはやはり2Fのインタラクションラボラトリーの展示の方が断然面白かったっす。2Fの展示はハード、ソフト問わず、カタチになっているものが多いので自分のようなパンピーでもわかりやすいということもあるんでしょうね。具体的な展示内容については、自分がくどくど説明するよりも以下のメディアのレビューなどをご覧いただくほうが早いかと。(週末開催で記事の編集が間に合わないところもあるはずなんで、来週早々にレポートを公開してくるメディアもあると思われます。)

最新テクノロジーが応用されたゲームも登場 Sony CSL“オープンハウス2007”会場レポート
【ソニーCSL公開】ネットワーク家電でコンテンツを直感的に操作する新UI「Triplet UI」を披露
【ソニーCSL公開】楽曲のリミックスを容易にする技術を開発,コード進行やテンポなど時系列のメタデータを基に
【ソニーCSL公開】ブログの文章から漫画を自動生成,絵文字や登録キーワードを基に
ソニーコンピュータサイエンス研究所公開:“漫画ブログ”から“未来のXMB”まで――今回も色々ありました
フォトレポート:ソニー研究開発の最先端、ソニーCSLが活動成果を一挙公開
<岩井喬のSony CSLレポート>未来のAV機器にも活かされる!? 幅広い技術研究を体験
ソニーコンピュータサイエンス研究所オープンハウスレポート

上記レポートをお読みいただければおわかりの通り、2Fだけとっても実に様々な研究成果がデモンストレーションされてまして、2~3時間ではとても全てのブースを回りきれないという感じでした。そんなこんなで、自分の興味がある研究だけに的を絞ってデモを見てきたので、こぼれ話的なことだけ書きますね。

pe_sticker.jpgまずはなにはなくとも「PlaceEngine」。先日のシンポジウムで暦本氏が取り上げていた「PlaceEngineユニット」も展示されてましたが、それよりも驚いたのがサイバーショットG1へのPlaceEngine搭載デモ。撮影時にPlaceEngine(位置)データを記録するだけなんですが、すでに先行して発売しているGPSユニットが屋外でしか使えないのに対してこちらだと屋内でも使えることになりますよね。G1のファームアップデートの予定があるか聞いてみましたが、そちらについてはソニーのサイバーショット開発チームの動向いかんとのこと。他のWi-Fiを搭載機器でも応用可能みたいですので今後の展開に大いに期待したいです。以上のことは、ITmediaのソニーCSLインタビューに登場した末吉さんから直にうかがったものです。また、おみやげとしてPlaceEngineのステッカーを頂戴しました。この場を借りまして、末吉さんに感謝!

2次元フラクタルコードを応用したPS3のゲームソフト「The Eye of Judgment」のデモもなかなか見応えがありましたです。カードをマットの上に置くだけでキャラクター(モンスター?)が出現、カードを動かしてもキャラがちゃんとそれに追従するんです。キャラに手でちょっかいだすと反応したりします。リアルとバーチャルの融合とでも言いましょうか。なんとも不思議な感覚でした。ただ、専用カメラの解像度がVGAらしく、キャラと背景のクオリティのギャップに少々違和感がありますね。ちなみに、製品版はゲームを開始後はコントローラーを一切使わずにゲームをすすめられるんだそうです。カードを集める楽しみを含め、非常に新しい感覚のゲームになりそうです。

今回のオープンハウスにお招きくださった宮島さんの音楽リミックスソフトのデモもとても楽しかったっす。市販の楽曲に独自のメタデータを付加。そのデータからコード進行が似ている箇所(フレーズや小節)をコンピュータが解析してリミックスの対象となる楽曲を選んでくれるみたいな感じのシステム。Acidのような楽器ごとのサンプリングデータを組み合わせて作曲していくようなものではなく、普段聞き慣れている楽曲をベースにリミックスを楽しめるところがポイントです。これが結構意外な発見に繋がるようで、リミックスを実際に聞かされて驚いた組み合わせが、マイケル・ジャクソンの「ビリージーン」と吉田兄弟の「じょんがら節」のリミックス。ジャンルの全く異なる2曲のコード進行が似ているなんて誰が気がつくでしょう(宮島さんはリミックスされた曲をして、「ビリーじょんがら」って言ってたような…うろ覚えです。【追記】その後宮島さんご自身からツッコミをいただきました。「じょんがら・ジーン(Jongara Jean)」、通称JJだそうです…笑)。著作権的な問題についても質問が飛び交っていましたが、原曲データをシェアするのでなくリミックスデータのみ配布可能にすることで回避できるそうです。つまりはリミックス用のデータだけあっても再生できないので、原曲(データ)は自分で用意しないといけないということです。これって実はとても健全でかつCD販売の促進にも繋がることにもなりますね。Acidのようなソフトも音楽制作に革命を起こしましたが、本格的な作曲をするには多少なりとも音楽的な知識や素養が必要です。今回のシステムはそういった知識を一切必要としない点が素晴らしいと思いましたです。たぶん一番大変なのはメタデータそのものの制作でしょうね。先述のAcidも数年前にソニーが買収して自社製品化していますし、もしかしたらソニーの次期オーディオソフトに宮島さんの提案するシステムが取り込まれる可能性も考えられますね。音楽好きの人は色々な意味で注目ですよ。

あと、大量のデジカメデータを分類できてネットワーク経由でシェアができるみたいなシステムのデモも非常に良かったです。似たような写真をひとまとめにしてくれたり、特定のグループの写真をソフトウェアからWeb上にダイレクトにアップロードしたり、メールで人に送ったりもできるようです。GUIも現行のPicture Motion Browserライクで、すぐにでも実現できそうなクオリティでした。ちなみに、ファイルのやりとりに関しては専用のプロトコルを使うのがポイントみたいでした。

他にも色々あったんですけど、時間が無くてじっくりと説明を聞くことが出来ませんでした。他力本願ですが、その辺はメディアのレポートに期待したいです。もしも機会があるならまたソニーのショールームなどで公開して欲しいと思いましたです。あと、こういうイベントって本当にワクワクするんですよね。子供のように目がきらきらしているひとの多かったこと。茂木さんじゃないですけど、思いもよらない体験がきっと脳を刺激するんでしょうね。次回もまた行きたいな…。ということで、非日常的な空間に数時間ながら浸ることができて大満足なSPAでございました。今回、招待してくださった宮島さんにこの場を借りて改めまして御礼申し上げます!