Olasonic NANOCOMPO第3弾、ヘッドホンアンプ内蔵D/Aコンバーター『NANO-D1』を試す

パネル詳細

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前面パネルはいつも通りシンプル。操作につかうのは、電源とセレクタ(入力切替)のボタンとボリュームノブの2つだけ。セレクタの上には出力先を示すインジケーターが、ヘッドホン端子とボリューム間に、入力中のサンプリングレートを示すインジケーターがあります。ちなみに、電源は同社オリジナルのスーパーチャージドでは無いものの強力な電源を採用しているそうです。

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背面パネルはこれまたお馴染みのレッドが目をひきますね。左から、ヘッドホン・インピーダンスセレクター(HP IMP)スイッチ・コアキシャル(同軸)・光・USBの入力端子、電源、ラインアウト(R/L)となっています。ちなみに、ヘッドホン使用時でもラインアウトからも音は出ます。

ヘッドホン・インピーダンスセレクター(HP IMP)スイッチはLOW(100オーム以下)とHIGH(100オーム以上)があってヘッドホンに合わせて切り替えるそうです。ゲインを変えられ製品はあるけど、インピーダンスそのものを切り替えられ製品はあまりないのではと東和電子の川崎さんがおっしゃってました。そのすごさがよく分からない自分が情けない…。

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我が家にはたいした機器が無いもので、入力はVAIO ZとPS3を、出力はヘッドホンがソニー「MDR-CD900ST」、ラインアウト(RCA出力)はDigiFi付録のヘッドホンアンプ検証のために押し入れから引っ張り出してきたソニー「SMS-1P」で試します。

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ちなみに、MDR-CD900STのインピーダンスは63オーム、MDR-1RBTは記載が無いのですがMDR-1Rのインピーダンスが25オームなのでたぶん同じでしょう。ということで、ヘッドホン・インピーダンスセレクター(HP IMP)スイッチはLOW(100オーム以下)でOKみたい。

ドライバーのインストール

96kまでのハイレゾ音源を楽しむのであれば専用ドライバーは必要ありません。USBケーブルで本体をPCに接続するだけで自動的に標準ドライバーがインストールされます。インストール後は、取説に書かれているとオチにWin/MacともにサウンドコンパネでD1用のドライバーを選択すればOK。

96kよりも高音質のハイレゾ音源を楽しみたい場合は専用ドライバーのインストールが必要になります。製品版はオンライン経由でダウンロードするようですが、発売前のデモ機ということでドライバー収録のCDをお借りしました。

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インストーラの手順に従うだけなので難しくないですが、D1を接続してセレクタを「USB 192」に切り替えないとドライバーのインストールができないので注意。また、初回のみPCの再起動が必要ですでのそこも注意。

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「USB 192」のインジケーターが点灯した状態で、PC側からなんらかの音声を再生してみます。音楽プレイヤーでもRadioでも、Webブラウザ経由のyouTube、なんでも良いです。サンプリングレートインジケーターのいずれかが点灯し、ヘッドホンまたはライン経由で出音が確認できればドライバーが正常にインストールされ、機能しているということになります。

VAIO Z(PC)でハイレゾ音源を再生

96kHzの音源はUA1のレビューのために、Paris MatchやMike Porcaroの音源を購入していたのですが、192kHzの音源は当然ありません。ということで、今回もe-onkyoさんのお世話になることに。

手持ちの音源と比較できるということで、Eric Clapton(Derek & The Dominos名義)の「Layla(remastered – 40th Anniversary version – 2010)」のWAV版を単品(単曲?)購入しました。1曲400円もするんですが、先日e-onkyoさんのイベントに参加した時に1曲無料クーポンもらってたんで無料でゲットできました。

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値段はともかく、ファイル容量に驚き。プロパティで確認したら「467 MB (490,260,224 バイト)」とありました。7分強の曲とは言え、ここまで大きいとは。この程度の容量のCDアルバムもごろごろしてますからね。アルバム1枚分だと何GBになるのか…。ほんとはアルバム単位で買いたかったけど、今後聞ける環境が構築できる可能性も少ないので…(涙)。

ちなみに、e-onkyoさんは、昨日6/26に配信タイトルが増えたらしく、個人的に好きな高中正義の初期のタイトルが配信されていました。「TAKANAKA」から名曲「Ready To Fry」をこれまた単品購入。ストラトのハーフトーン、駆け上がるスケール練習フレーズ、多重録音がハイレゾでどんな風に聞こえるのか興味があったので96kHzだったにもかかわらずゲットしてしまいました。

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前置きはこの辺にして、VAIO Z(PC)から音源を再生してみます。再生には定番の「foober2000」を使います。fooberの設定については、NANO-UA1のレビューをご覧ください。

参考:
「NANO-UA1」を試す(2)
「NANO-UA1」を試す(3)

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192kHZで配信された「Layla」。まずは、手持ちのClapton Best「CROSSROSDS(1988年版)」収録の「Layla」をfoober2000で再生。出力はヘッドホン、ソニー「MDR-CD900ST」。

全然別物ですね…。ってそりゃそうだ。ハイレゾの方は40周年記念のリマスター版で、自分の持っているのは20数年前のCD音源だもの。ま、そうしたことを差し引いても、違いははっきり分かります。

お馴染みのギターリフに始まるイントロ。オーバーダブされたギターのメロディーが絡みありながら、Claptonのボーカルへとつながっていきますが、もうギターの音色がCDと全然違う。湿り気を帯びて、ふやけたというか、艶っぽくなったというか。オーバードライブの質感が全然違うんだもの。

ハイレゾならではのリバーブ(残響)感と豊かな音像も素晴らしい。CDでは引っ込み気味な、左右にパンされたギターのオーバーダブフレーズも聞き取りやすい。あと、ドラムスがとにかく良いです。CDはリズムを刻んでいるだけにしか聞こえないけど、ハイレゾ版はリズム隊のビートが曲全体を包み込んでいる感じがします。

注目はDuan Allmanのスライド。CDではClaptonのギターとかぶり気味で、随分と奥の方でがんばっているようなイメージでしたが、ハイレゾ版は左チャンネルのセンター寄りにDuanがいるのがはっきりわかるし、フレーズもはっきりと聞き取れます。

ハイレゾ恐るべし。もとい、NANO-D1恐るべしと言うべきか。

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次はTAKANAKAの「Ready To Fly」。ヤマハSGサウンド全開のスーパーライブバージョンの方が有名ですが、個人的にはストラトのハーフトーンが印象的なオリジナル版もお気に入りです。高中氏の初期のCD音源は持っていないので、通しでまともに聞くのはエアチェックマニアでギター少年だった学生時代以来かもしれません。ちなみに、ギター雑誌にオリジナル版のタブ譜が掲載されたことがあって、何度もコピーにチャレンジしたんですがこの曲は無理でした。

ボイスパーカッションからしてすげーですね。そのあとのベースフレーズが聞こえてきただけでテンション上がります。左、右、中央と順番に絡むオーバーダブのギターからそしてお馴染みのAメロへ。すでにここで昇天…。いいわあ。てか、楽器の数がものすごいんですけど…。これもハイレゾならではなんでしょうが、アコギのカッティングを含むギターパートの多さ、手数の多いラテンパーカッション、それらが実にクリアにバランス良く聞こえます。こんなことになっていたのか…。

パーカッションソロとサックスソロをはさみ、あのクライマックスのスケールソロ。きつめのコンプレッサー(オレンジスクイーザーでしたっけ?)がかかったストラトのハーフトーンが何ともたまりません。やっぱ、うまいっすね、高中さん。しかも、30年以上に渡ってこの曲をライブで演奏し続けているんだからスゴイ。

ハイレゾ音源で楽曲の素晴らしさと、ご本人を含む参加ミュージシャンの演奏能力の高さを再認識。400円払う価値は十分ありました。

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