ニューズウィーク日本版編集部ブログで、最新号に掲載されている特集「ソニーと日本人」の企画背景や記事化への厳しい道のりなどが掲載されてます。
1年半のソニーウォッチングを通じて、“時に過剰に、時にゆがんだ日本人の「ソニー愛」がかえってこの会社をダメにしているのではないか”、と感じるようにもなったそうで、一例として、VAIO Z2とMacBookを引き合いに、ハイスペックを掘り下げるしかなくなったソニーが「あくなきハイスペック追求企業」に映るというファンの勘違いを指摘。
その勘違いの原因は、ファンをも通り越した日本人の国民性にあり、ソニー自身も勘違いしているのだとか。特集のタイトルが「ソニーと日本人」になったのもそういうわけ。
昔ほどではないにしても、とりあえずそれなりのファンだし、そこまで言われると悔しいぞ、ってことで買いました、「Newsweek 2012年 5/30号」。
買ったのは電子版です。Reader StoreでSony Tablet用に配信されてるけど、tablet持ってないのでiOSのマガストアアプリ経由で購入。色々書いてあるけどすでにあちこちで言われていることの繰り返しが大半。要点だけピックアップすると以下のような感じ。
・今のソニーは、革新的な製品を生み出すよりも業績回復に追われる「普通」の一流企業。
・今のソニーにとっての「ソニーらしさ」は、高性能・高機能だけを意味する。
・言い方を変えれば日本の「モノづくり神話」の呪縛にとらわれている。
・ソニーが「ソニーらしさ」を失った原因は、大企業病とデジタル化。
・ソニーが他社と同じ土俵で戦わないためには、従来の価値観を破壊する創造性が必要。
・皮肉なのが、かつてはソニー自身が「感動体験」を売り、新市場を開拓する企業の先駆者だったこと。
・ソニーが復活するには、アップルのような「究極の選択」に踏み切らなければならない。
・「ソニーの敵はソニー自身」という考えに立ち返り、他人が思いつかない新しい発想というソニー本来の「強み」に集中する。
・潜在的需要を開拓したウォークマンこそ、ソニーが目指すべき製品の格好の例。
・「ソニーらしさ」の答えはソニーの中にある。
現行のソニー製品全てが“ソニーらしくない”というわけではないとも思う。供給が追いつかないHMDや発売2ヶ月前から予約がいっぱいのnasne等、「らしさ」を彷彿とさせる製品もある。ただ、あまりに巨大化しすぎて、それらがヒットしたぐらいでは会社を支えられない…。
VAIO Zもユーザーオリエンテッドをとことん突き詰めた結果であり、性能とモビリティを両立させたパフォーマンス重視のPC環境を必要とするユーザーへのソニーなりの解でもあるわけだから、それだけを取り上げて比較するのはおかしい。それこそ、VAIOにはMacBookよりも安価なモデルがZ以外でたくさんあるわけだから…。
とはいえ、おおむね言われていることは正しいかも。「ソニーの敵はソニー自身」とか、“「ソニーらしさ」の答えはソニーの中にある”という考え方には、かつてのソニーを知っている人ほど共感できるかもしれない。もはや、外野がどうこう言っても変わらない。自らが変わるしかないってことなんでしょね。
さておき、ソニーの株価が心理的節目の1,000円に迫っているそう。厳しいなあ。4~6月期となるとこれという商材はないけど、好調なスマホとカメラでしのぎたいといったところか…>電機株、低迷脱却の兆しみえず ソニーは年初来安値 海外勢が換金売りか (日経・会員向け)
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