(C)ANOHANA PROJECT
このレビューはWillVii株式会社の企画に参加し、掲載しています。なおこの記事の掲載によるブロガーへの金銭報酬は一切なく、本文章の掲載以外に記事への関与も受けていません。
今月某日、WillViiの塚崎社長から“オトナのアニメ鑑賞会 「あの花の名前を僕らはまだ知らない」BD最終巻発売記念イベント”のお誘いをいただきました。家電関連じゃなくアニメ関連イベントに何故に自分を?という気持ちもあったんですが、その謎が解けるのはもう少し後のこと。
元々ノイタミナ枠のアニメは見るようにしていて、「あの花」もコンプリートしていたのですが、イベント参加の最大の理由は実は同居人が希望したから。ブロガーなら同伴OKとのことでこんなイベントがあるよって教えたら食いついてきたと。声優の櫻井氏(ゆきあつ役)ファンでもあるのでゲスト登場をほのかに期待していたのかもしれません。
実は「あの花」オンエアの数ヶ月前、今年の1月末の結婚記念日に秩父の温泉に行ったんですよ。子供の頃に行った遠足以来だったんですが、自然や街並みに自分の子供の頃の原風景的なところを感じるところが多く、断片的にそういった風景が頭の中に残っていたのでしょうね。さらに閑散期で人が少なかったことも幸いしてより印象が鮮明だったのかもしれません。でもって、「あの花」1話目にして「あ、ここは秩父だ!」とわかり、より親近感が沸いたと…。
実際、アニメでは背景のリアルさが尋常じゃなく、それが物語のファンタジー要素を強調する事になっていたのは後述する特別ゲストの皆様の発言からも明らか。まあ、かといって、再び秩父を訪れる(聖地巡礼?)ほどのめり込んだわけでもありませんけど…。
「あの花」自体、中身は青臭さ満載の青春アニメなんですが、新しさと古さ、リアルとファンタジーが同居するなんとも不思議な感覚の作品で、次はどうなるんだと夫婦して引き込まれて行ったのを記憶しています。これから先、何度見返しても古さを感じない普遍性のある設定になっているところはスゴイと思いました。
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ちなみに、オンエア時は毎週HDDレコーダーで録画していたのですが、同居人は基本的に見たら消す派なのでディスク保存はしてなかったです。あ、でもフジテレビが深夜に連夜放送した再放送番組は録画して一応BD-RE化してあります。セルBDは1枚も買ってません。いやもう、そんな奴らがこんなイベントに参加してホントにごめんなさい>あの花関係者の皆様。
さて、そのイベントですが、当日はWillVii塚崎社長の司会進行の元、特別ゲストへのインタビュー前編、最終話BD鑑賞、インタビュー後編という流れで進行。特別ゲストは、監督(演出)の長井龍雪氏、キャラクターデザイン・総作画監督の田中将賀氏、撮影・CG監督の那須信司というそうそうたる方々で、コアなファンにはたまらない人選だったのではないかと思われます。そのインタビューで印象に残った内容を箇条書きで。
- 幽霊が出てくるという大きな嘘を一つついているので、それ以外のところではなるべく(嘘は)つかないように、なるべく気にならないで物語に集中してもらえるようにリアルっぽい芝居をしてもらった。
- 舞台のモデルになった秩父、実物の食べ物なども、登場人物になじんでもらったり、物語に集中してもらえるように、引っかかりがないように意識した結果の演出。ラーメンやお菓子などは、シナリオに登場した時点でアニプレックスが各社に(掲載許諾などの認可を)依頼。
- 秩父が舞台の背景がリアルなので、キャラクターも変にアニメアニメしたような外した絵にするのではなく、背景になじむようなカタチに持って行った結果、芝居に対しても丁寧にやらざるを得ないということろで、結果そう見えたのかも。
- 秘密基地撮影が各話でバラバラにならないように細かく調整した。撮影と監督が一番密接に関わって作れた作品。撮影が一番最後の段階でお客さんの目に直接触れる映像を作る場所なのでそこときちんと押さえておけばというところは考えて作った。
- アニメは記号の集まりなので、アニメのキャラクターの記号の一部として、それを補強するものとしてうまく使えたらいいなと思っている。今回うまくいったなあと思える小物はマグカップや髪留め。
- マグカップは色々集めてもらった参考資料の中にあったもので、「これ(Amazonで売ってる)っぽいヤツ」で進めるつもりが、デザインが良いからこのまま使った方が良いんじゃね、みたいなことでそのまま使うことに。リアル追求と言うよりはデザインが良かったから。ぶっちゃけ1からデザインを起こすのも大変。ちなみにメーカーにはなんの了解も取ってなかった。
- 実のところ花の意味はネットなどでいろいろな方が書いているのを見て理解した。「わすれな草」は特に考えずに採用。デザイナーのロゴに花びらが5枚。それがあまりに美しかったので、そこから膨らましていった。結果的に今はそれ以上の意味を持つようになった。
など、裏話的なトピックも多かったですが、偶然や視聴者の反応がうまいこと絡み合って作品に大きなうねりのようなものを与えたのではないかと思いました。
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また、インタビューにはアニメは1秒間に24コマ、テレビは1秒間に60コマなのでアニメは必然的に画がカタカタしやすい傾向があるとして、ソニーのモーションフローを紹介するくだりがうまくはめ込まれておりました。ソニー独自のあのコマ補完技術ですな。本来は無い映像を想像して増やすという。実際、BDの最終話はモーションフロー4倍速対応で視聴させられたんですが、個人的にはぬるぬる動くキャラクターに逆に違和感を感じることも…。BD鑑賞会の前と後に何度も繰り返しプレゼンを入れるあたり、今回のイベントはチームの強力な協賛があったと思われますが、ちょっとしつこかったかなあというのが正直な感想。ま、実際のところはわからないので何とも言えませんけどね。日本国民皆買うならそれに合わせた画作りも必要になるかもしれませんが。世の中そうはいかないですし…。ちなみに、自分が誘われたのはこのくだりがあったからなんでしょう。
ということで、ちょっとソニー臭の強いアニメイベントではありましたが、作品そのものは素晴らしいと思いましたし、このようなアニメを生み出す当事者の方の作品に対する思いや裏話が聞けて楽しかったです。
最後の最後に、今回このような機会を設けて下さり、さらに同居人の同伴を許してくださったWillViiとあの花制作関係者の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
【関連リンク】
・あの花オフィシャルサイト
・あの花Blu-ray(Amazon)