ソニーが全ての製品に一貫性があるネットワークサービスを展開する意味とは

アップルを意識するソニー:中期経営計画からビジネスモデルの相似を読む

先週の記事なんですが、ソニーの中間経営方針について、ソニー本の著書でお馴染みの大河原克行氏が分析してます。後ろ向きの「選択と集中」にスポットが当たっていた2005年当時の戦略に比べ、「今回の中期経営計画は成長戦略へと大きく舵を切っていることがわかる」とか。ただ、薄型テレビ事業とゲーム事業については財務面に不透明な点があり、いずれも早急な黒字化がテーマとのこと。

また、今回の中期計画において注目しておきたいもう一方のポイントに「2010年度までに製品カテゴリーの90%をネットワーク機能内蔵およびワイヤレス対応」をあげています。中鉢社長が語った「一貫性があるネットワークサービスを、ソニーのすべての製品に展開する」というビジネスモデルはアップルがiPodで実現したそれに酷似していると語る大河原氏。

魅力的なソフト(コンテンツ配信)でハードの売り上げ増加につなげるというスタンスは同じでも、ソニーの場合は製品カテゴリーの幅が違うと。さらに、90%の製品がネットワーク対応になればその影響力はさらに拡大すると。しかも、ソニーはグループ内に、音楽、映画、ゲームなどのコンテンツを持っていると。そして、今回のネットワーク戦略は、ソニー製品同士をつなげることになり、それがソニー製品による囲い込みにもつながるとか。

ハードのプロモに使うのはともかく、グループ所有のコンテンツだけで配信ビジネスが成立するとは思えません。アップルは自身でコンテンツを持たない第三者だからこそ、レーベルの垣根を越えた楽曲提供が可能とも言えるのではないでしょうか。あらゆるハードでワンソースマルチユース可能なコンテンツの総合デパート(ゲームソフトはちょっとニュアンス変わりますが…)。そんなものをソニーが作ってくれるなら話は別なんですけど。

最近はオープン化やマッシュアップというキーワードを目にすることも多くなりました。ネットワーク対応と自社製品による囲い込みもそれらがベースにあって機能するように思います。任天堂のWiiも「売り切るビジネスからつながるビジネスへの転換」を果たしたことが重要なポイントみたいです…>脱インダストリーのマーケティング:任天堂のWiiは袋小路から脱け出した商品――イノベーションの方法論

【追記】本日付で人事が発表されましたね。偉い人たちのことはともかく、フォトニックデバイス&モジュール事業本部、モバイルディスプレイ事業本部、メモリースティック事業センターが統合され、電子デバイス事業本部が新設されるそうですよ。真っ先に頭に浮かぶのはフォトスタンドですが、モバイルでメモステと来れば、MID的なものも期待してしまいます…>人事 機構改革(Sony Japan)


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