ウォークマンA820シリーズのインプレ9回目は録音機能編。まあ、よくもこれだけ続けてきましたが、それもこれもA829がことのほか気に入ったから。どうか最後までおつきあいください。
さてさて、ウォークマン本体でCDやMDなどのポータブルオーディオプレーヤーやコンポなどから音楽を直接録音できる「ダイレクトエンコーディング」機能搭載は2006年10月に発売されたスティックタイプのS700/600シリーズ(以後A700と呼びます)が元祖。クレードル(+オーディオケーブル)や専用録音用ケーブル「WMC-NWR1」に接続することで同機能が利用可能でした。A700は「WMC-NWR1」を接続した時のみ録音メニューが現れるのに対して、A820はケーブルが未接続でも録音メニューにアクセス可能な点が違いでしょうか。些細な違いこそありますが、A820の録音機能そのものはA700のそれとほとんど同じみたいです。
何はともあれ、実際に録音してみようということで色々と試してみました。なお、録音前にビットレートの設定をしておきます。設定はHomeの「録音」メニューからでなく、Homeの「各種設定」メニューにある「録音設定」で行います。選択できるビットレートはATRACの256/128/64kbpsとPCM(1411kbps)の4種。最終的にCD化するならPCMを選択したいところです。録音の手順は実に簡単。シンクロ録音の場合は、
- コピー元となる機器とA820をNWR1で接続
- 録音メニューからシンクロ録音を選択
- 録音開始ボタンを押すと録音待機状態に
- コピー元の機器から再生開始
- コピー元の音声信号を検知し、自動的に録音がスタート
マニュアル録音は言葉通り、手動でダビングするモードってことですね。シンクロ、マニュアル共に注意すべきは録音レベル。A820側にはピークメーターの類はありません。なので、自分の耳でコピー元の音量を調整する必要があります。シンクロ、マニュアル録音ともに、そのモードにするとA820のヘッドホン端子からNWR1で接続したコピー元がモニターできます。
音割れがしない程度まにコピー元の機器のボリューム調節をするという感じですが、先日購入したVestaxのレコードプレイヤーやカセットウォークマンでは再生音に様々なノイズが含まれるためか、無音を検知して曲を区切る機能が効かない場合がほとんどでした。取説には無音は4.8mV以下の入力レベルと記載されています。結局、レコードプレイヤーやカセットウォークマンでは、自分好みのレベルで録音しようとすると曲区切りの機能が働かず、いわゆるA面で1ファイル、B面で1ファイルで録音されてしまうことになりました。
なお、録音されたファイルは録音を開始した日時がファイル名になります。A820の内蔵時計が常に正確であれば、録音ファイルは常にユニークになるためファイル名が重複することは無いです。シンプルな考え方ですね。また、録音データはSonicStageで転送した音楽ファイルとは別に管理され、内蔵メモリーの「\MUSIC\NWWM_REC」フォルダ内に拡張子「.OMA」(OpenMG Audio)で格納されます。また、再生はHomeの「録音」メニューにある「録音した曲」から行います。
先述の通り、A820には波形解析やファイル分割機能はありませんので細かい編集は基本的にはPCアプリ「SonicStage」で行うことになります。SonicStageがインストールされているPCに、録音ファイルがあるA820を接続すると、転送されている音楽ファイルのリストの下に「取り込み」ボタンが表示されるようになります。このボタンを押すと、Atrac Audio Device、つまりA820で直接録音したデータをSonicStage、つまりはPCに取り込めるわけです。
SonicStageへはA820で録音した時点で自動的に設定されたフォルダ名がアルバム名に、ファイル名が曲名として取り込まれます。SonicStageで使われているCDDBで楽曲名を取得することも出来るのですが、上記のようにA面全曲が1ファイルで録音されているデータでは取得も不可能ということで分割編集を先に行います(細かい手順は割愛します)。
分割後に改めてCDDBにアクセス。録音データの波形がデータベースと一致すれば、ソースがレコードでもカセットでもCDアルバムの情報が取得できるということなんですが、自分の場合はほんの数曲マッチングしただけでほとんどがNGでした。やはりノイズを含んだ波形だとマッチングが難しいのでしょう。
結局、あきらめてアルバム情報はほとんど全て手打ちしました。そんなこんなで、SonicStage上で編集後は、A820に通常通り転送が可能になるほか、CDへの書き込みも可能になります。ちなみに、SonicStage Mastering Studioでの編集・CD化も可能です。同ソフトバンドルのバイオユーザーやPCMレコーダーユーザーなら、さらに高度な編集が可能です。
リアルタイムなので録音には実時間が必要ですが、曲単位なら短時間ですみますね。例えば、iTunesで購入した楽曲が入ったiPodと繋いで、AACのFairplayファイルをウォークマンで録音できちゃいます。音源はデジ>アナ>デジ変換されてますが、外で普通に聞いている分には違いはわかりません。また、ソースがデジタルだと波形が正しく認識できるらしく、SonicStage経由のCDDBからの正しい曲データの取得も確率が高かったです。
ということで、意外に重宝するウォークマンのダイレクトエンコーディング機能。1,200円ちょっとのケーブル一本でここまでできるとは驚きでした。アナログ音源のデジタル化だけでなく、デジ>アナ>デジ変換でも重宝するのが驚きでした。録音機能、便利です!
(個人的に心配なのが昨今話題の私的録音録画補償金問題。ケーブルこそ必要ですがウォークマン単体で録音機能を実現できているだけに、iPodとは違った観点で語らないとまずそうな…。あと、ビデオレコーディングクレードルが到着。後日インプレをお届けしたいと思います。)