「CONTENT’S FUTURE」はジャムセッションアルバムだ

CONTENT’S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ

この夏、1冊の素晴らしい本に出会いました。あの、小寺良信さんと津田大介さんのお二人に業界のキーマンを交えた、コンテンツの未来がテーマのトークセッションが一冊の本になったのです。当サイトをご覧いただいているソニーファン並びにソニー関係者ならお二人の名前を知らない人はいないですよね。本の概要と出版の経緯については、お二人のサイト(ブログ)の以下のエントリーをご参照ください。

対談Live敢行! (コデラノブログ 3)
新刊『CONTENT’S FUTURE』が発売されます&トークショーやります(音楽配信メモ)

ユーザー目線の活動でお馴染みの両氏の対談集だけに内容は折り紙付きだと思っていたし、ソニーでロケフリを担当している西谷清氏との対談もあるとのことで、これは絶対にゲットせねばと思っていたところ、出版元の翔泳社さんから津田さんがソニ☆モバの中の人に献本したいと言ってるとの連絡がありまして、ありがたくそのお申し出を受けた次第です。小寺さんとはSDCで一度名刺交換した程度ですし、津田さんにいたってはいまだ直接の面識もないにもかかわらずでございますですよ、本当にありがたいことです。この場を借りましてお二人と翔泳社のご担当者様に御礼申し上げます。

で、本についての感想なんですが、一言で言うと「とにかく面白い」です。って、ボキャブラリーの無さを思い切り露呈しておりますが…。中身がとにかく濃い。注釈がこれまた濃い。ゲストの面々もすごい。お二人の守備範囲の広さに感服いたしました。自分だったらこんな人たちを前にしたら物怖じして何もしゃべれなくなってしまうでしょう。ぶっちゃけ、一度読んだぐらいでは内容を把握しきれません。何度も何度も読み返したい。それぐらい、日本のコンテンツビジネスの今後を占う上で、たくさんの重要なキーワードやヒントが詰まっていると思います。

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なんというか、この本は音楽でいうと一枚のオムニバスアルバムなんですよ。小寺、津田というミュージシャンとゲストミュージシャンが繰り広げるインプロビゼーションを楽しむとでもいいましょうか。と、わからない人には全くわからないたとえですが…。なんというか、ゲストの邪魔にならないよう、ツボを押さえながらも、時々テンションコードやトリッキーなフレーズ(フィル)を入れてくるみたいな…。二人の有能なミュージシャンがゲストを交えて、互いに触発されながら、素晴らしいインプロビゼーションを繰り広げているようなイメージ。各章(曲?)のエンディングがこれまた面白い(翔泳社さんの編集マジックなのかな)。

あと、この本は津田さんの強い希望でクリエイティブ・コモンズライセンスを付けて発売しているそうです。商業出版物では結構珍しいのだとか。なお、ライセンスは「表示-非営利-改変禁止」とのこと。ライセンスの話はともかく、自分はこの対談集はちゃんと本で読みたいなと思いました。

ということで、ダメな読書感想文の見本になってしまいましたが、この本にはソニーの今後を占う意味でも重要なテーマがてんこ盛りであることだけは確か。誰よりも先にソニーグループの全社員に読んで欲しいです。もちろん、ソニーファンにもオススメ!次回作にも大いに期待しています!>小寺さん、津田さん。


蛇足ですが、個人的には椎名和夫さんとの対談が非常に興味深かったです。始めは同姓同名かと思ったのですが、達郎さんのアルバムでも素晴らしいギターソロを披露してきたあの椎名さんだったんですね。