ソニー、『復活』から『利益を伴った成長』へ

ソニー、定時株主総会を開催。「利益を伴う成長へ」-「ソニータイマーという言葉は認識している」中鉢社長

6/21に都内のホテルで開催されたソニーの第90回定時株主総会のレポート。レポーターはソニー本の執筆でもお馴染み、大河原克行さん。

総会ではストリンガー会長兼CEOと中鉢社長が共同で議長を務め、中鉢氏が2006年度の事業報告を、ストリンガー氏が今年度の事業方針について説明したそうです。以下はストリンガー氏の説明で注目したいコメント。

・2007年度は中期経営計画の最終年度で極めて重要な1年。エレキ、ゲーム、エンタメの3つのコア事業の拡大を図るとともに、『復活』から『利益を伴った成長』へと転換していく
・コンスーマ製品では、個々の商品の競争力に加えて、商品を『群』として、魅力を伝えていく。「商品『群』がつながる」をコンセプトに、機器間接続、ホームネットワーキング、インターネット接続の手法によって、ソニーが持つ「群」として強みを訴える
・製品を使ってもらうためのエンタメコンテンツとの組み合わせによって、新時代の消費者に対して感動を届ける。革新的な製品やサービスを創出し、他社にはない強みを提供していく
・事業と事業、人と人、ハードウェアとコンテンツなどによるSony Unitedを徹底する

また、質疑応答では様々な議論が交わされたようで、ウォークマン事業の低迷、ゲーム事業の赤字計に対する責任問題、有機ELテレビの取り組み、次世代DVD規格のみならず、「ソニーらしさ」や「ソニー・スピリット」に対する認識についての質問もあったとか。以下はその質疑応答での注目コメント。

【ウォークマン事業の低迷について】
・著作権の問題と製品投入とのバランスで遅れをとったのが弱くなった理由。春には高音質、ビデオ再生機能を盛り込んだ製品を投入した。結果として国内シェアは倍増。だんだん元気になっている(オーディオ事業本部長吉岡氏)
・ソニエリのウォークマンケータイは大成功している。出荷台数はiPodに匹敵しそれを超すものになっている。ソニーは、同じ間違いを繰り返すことはない(ストリンガー氏)

【ゲーム事業の赤字計上責任問題について】(全てストリンガー氏)
・当初はハード面での損失はあるが、ソフトの販売促進、ハードの製造コストを削減することで回収していく
・PS3は、Blu-ray戦略にとっても鍵となる製品。ソニーの将来にとって重要であり必ず成功させる
・(久夛良木氏について)退任は彼が考えていたことだが、会社との関係をすべて絶って離れていくわけではない。経営陣に対してアドバイスをしてくれることになっている。彼自身も今後数年で輝かしい発明をするであろうと期待している

【「ソニーらしさ」や、「ソニー・スピリット」に対する認識について】
・ソニーは、ソニー・スピリットに対してコミットしている。ソニーは、グローバルカンパニーであり、ソニースピリットが全体を結びつけ、Sony Unitedを実現している。偉大な商品を出すという点で、ソニースピリットのもとに団結している。ソニーは、イノベーション、熱意、多様性に彩られた会社。ソニーのスピリットは、イノベーションのスピリットであり、多くの方が信じてきた偉大な会社として、これからもこの強みを推し進めていく。この精神は国籍を問わず、グローバルに息づいている(ストリンガー氏)
・ソニーらしさとはなにか、という議論の結論は、ソニーらしさという枠にはめた時点で、ソニーらしくはなくなるということ。自分なりに考えているのは、ソニーらしさとは、社会から尊敬されなくてはならないということ。商品、サービスが他社に比べて良質であること。最先端の技術を開発し製品に盛り込むこと。従業員が全員がいきいきしていること。社会貢献ができる企業であること(中鉢氏)

【エレキだけに事業を集中しない理由について】(全てストリンガー氏)
・ソニーの強み、あるいはブランドの強さは、事業に多様性、幅を持っているところにある。アナログの時代からデジタル時代に変化し、競争相手はコンスーマ向けエレクトニクスメーカーでなく、アップル、マイクロソフト、インテル、中国メーカーなどとも対峙しなくてはならない
・ソニーが誇る、エレクトニクス、ゲーム、エンタメといった事業を統合的に提供するとともに、ソフトの力でシームレスにつなぎ、総合力を発揮することが、ソニーが将来に向けて圧倒的な力を持つ最善の方法

【今後のPSP事業について】(SCE平井氏)
・ゲームを楽しむだけでなく、デジタルカメラとして利用したり、GPS信号を受信して利用するポータブルデバイスとして発展する。野外に持ち出して楽しめるソフトやアクセサリーを継続的に開発する
・PSPをネットでつなぎ、PS3のコンテンツにアクセスして、野外から楽しんでもらうという使い方も提案する

【「ソニータイマー」と呼ばれるようなソニー製品の信頼性について】(全て中鉢氏)
・ソニータイマーという言葉があることは認識している
・社内にホットラインを設置し、お客様の声や不満などを製品設計にフィードバックする体制を強化した
・全社をあげて、商品の最終品質の向上に取り組んでいる

たくさん引用してしまいましたが、ちゃんと記憶にとどめておきたかったのです。お許しください>AV Watch様。


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