iPod nanoレビュー(2)~Walkmanにはマネのできないシンプル操作

iPod特有の操作感ってあるじゃないですか。親指一本でほぼすべての操作が可能ってヤツ。それも、液晶の下にある円形のスクロール(旧機種はクリック)ホイールに集約されているからできることなんですが、第4世代以降のiPodってスイッチやボタンのたぐいが極端に少ないんですよね。これって、部品の点数を減らす事によるコスト削減や、ユーザーの想定外の使用方法による故障(力が強すぎてボタンが元に戻らなくなっちゃうとか)を防ぐ効果もあると思うんです。さらに、iPodでユーザーが操作するのって、このホイール以外にホールドスイッチしかないんです。誤動作を防ぐスイッチでこれだけは別になってるんですが、それ以外には何もない。動く部分がたった2つなんですよ。もうこれ以上無いほどシンプルな構成。そういう意味でiPodは第4世代でハードウェア的には一つの完成形を見たのかなと感じてます…。

ipodnano_125-125.gifで、iPod nano。サイズこそ違いますが、基本的なハードの構成要素って第4世代iPodと何一つ変わりません。なので、親指一本でほとんどの操作ができるんですが、個人的には第4世代iPodよりも使いやすいと感じてます。本体のサイズに合わせてスクロールホイールも小さくなったのが影響しているのですが、親指の動かす範囲が小さくてすむのです。実際のところ、カラー液晶対応ということもあるのか、ソフト的に多少操作時に引っかかるような動作をすることがまれにありますが、親指でくるくるやるだけで面白いように高速に動作します。(微細なタッチでも反応するので誤動作が心配なぐらい感度が良いです。)

nano_vs_nwe5.jpgで、ウォークマンスティック。「親指一本でほぼすべての作業が行える」という人もいたけど、実際はなかなかそうはいかないんですよね。親指と人差し指の組み合わせ、または両手でならって感じ。それも、やたらとスイッチやらボタンが多いせいなんですよね。数えてみたら操作に必要なスイッチが7個もある。もちろんあっても良いんです、使いやすければ…。でも実際は、米粒よりも小さいスイッチが押しにくいと感じたり、使っていくうちにボリュームスイッチがバカになってきたとか、色々と不満が出てきてるんですよね。背面のボタンが埋まったままになったみたいな声も聴きましたし…。要はデザイン的にいくら優れていても、操作性が伴ってなければ意味がないと思うんです。ましてや、スイッチ類の脆弱性はクレームのタネだし、必然的に修理対応だって増えるでしょう。ちなみに、筐体が全く同じ今度のAシリーズではスイッチ類の強度ももしかしたら改善されているかもしれませんが、基本操作には変更がないようなので親指一本で軽々操作というのはさすがにきびしいと思います。

HDD搭載ウォークマンもNW-HD5で操作系ががらっと変わりましたが、新製品のAシリーズでまたもや変わりますね。HD5で利き腕に関係なく使えるような操作系を確立したかと思ったら、Aシリーズは右腕で持つのがデフォルトみたいな作りになってる…。デザインは個人的な好みと言ってしまえばそれまでですが、本当に使う人の立場に立って作られているものなのか疑問に思うことが多いです。ソニーのモノづくりのスタイルがスクラップ&ビルドであり続けるならば何を言っても無駄ですが、本当にiPodから市場を奪い返したいのなら、ユニバーサルデザインとまではいかないけど操作性に重きを置いたスタンダードなデザインというものをじっくり腰を据えて考えた方がよいのではないかと思います。

結局、レビューとは名ばかりのソニー製品批判モードになっちゃいましたね…。iPod nanoについて書くことが無くなった時点で、自分のNW-E507/Nは修理に出すつもりっす。ボリュームスイッチがほとんど使えなくなってしまったので。ちなみに、iPodを修理に出したことは自分はまだ一度も無いです。この差がどこから来るのか、ソニーさんにはよく考えて欲しいっす。

けなすばかりではなんですので、次回は(どれほどあるのかわかりませんが)iPod nanoがウォークマンスティックに勝てない点を掘り起こしてみたいと思います。