守るべき技術と、採用すべきオープンな技術

昨日発表されたソニーの2004年度第3四半期決算に関するニュースが多くのIT系メディアで取り上げられていました。

ソニー、2004年度第3四半期決算。PSPは51万台出荷<-「音楽コーディックには戦略的な誤りがあった」”というAV Watchのニュースでは、

守るべき技術と、採用すべきオープンな技術をどう選択するかという点で混乱があった。パソコンの世界ではMP3が多くのユーザーが利用しているのにも関わらず、なぜ、ソニーはこれを採用しないのか、というのはユーザーの視点からみれば当然の問題提起だが、これをやっていなかった反省がある。結果として、ビジネスにネガティブなインパクトを与えた。もっとユーザーの目線に立ち、採用すべきオープンな技術と、守るべき独自の技術を見極めることが必要だ

という井原副社長のコメントが掲載されていました。事実上のATRAC3敗北宣言ですかね…。内部的には敗北は認めたくない人もいるのでしょうけど、規格をどうこう言う前にウォークマンの成功体験にいつまでもおごりつづけ、新しい音楽体験をユーザーに提示できなかったことが一番の敗因だと個人的には思います。


ネットワークウォークマンにしてもPSPにしても、まだまだ再生に対応したというだけのこと。クリエなんてMP3対応になったのは2001年ですよ。当時の企画担当者さんがどれだけ苦労して周りの圧力をかいくぐっきたのかと、今さらながらに感動を覚えます。それ故に、クリエのオーディオプレイヤー機能がそこまでで進化をストップしてしまったことが残念に思えてなりません。

また、メモリースティック絡みではカテゴリーの異なる機種間で音楽ファイルを管理するフォルダの構造にばらつきがあるなど、新たな混乱も起こっています。メモリースティック自体も、PRO版登場後のわかりにくいラインナップやMagicGate絡みの諸問題など、解決すべき問題が山積しているように思います。本来はソニーのカテゴリーの異なる製品をつなげる役割を持ったメモリースティックが混乱の引き金になっていることもソニーにとっては大きい問題なのではないでしょうか。そういう意味で、コネクトカンパニーが担う役割はユーザーから見ても大きいし大いに期待したいところです。今年こそ、これぞソニーと言われる新しい音楽体験を私たちユーザーに届けていただきたいと思います。

ちなみに、TOTOですら新しい音楽体験を提供していますよ、ソニーさん!>TOTO、MP3再生に対応した便器を発売-SDカードスロットを備え、任意の楽曲も再生可能

【関連ニュース】
ソニー、2004年度第3四半期連結業績を発表。PSPを51万台出荷するも、ゲーム分野は前年同期比で減少
スパイダーマンの足を引っ張るAV――苦戦続くソニー
ソニーの第3四半期決算は、バイオ、ブラウン管テレビ不振で減益