日経BP社ITproによるSCEの川西泉氏へのインタビュー。PSビジネスを立ち上げた頃から久多良木さんの頭の中にあった構想がPS3でやっと立ち上がるのだという印象。もちろん、ブロードバンドなどインフラの普及も後押ししているわけですが…。で、毎度の事ながらポイントの抜粋。
・PSP上でPS1のエミュレーション(オリジナル技術)を内部的に検証しているが結構ちゃんと動いている(アナログスティックが1つというユーザー・インタフェースの制約はある)
・ネットワーク配信するのはPS3、PSP、PS1ソフトだが、コンテンツはゲームに限定するつもりはない
・UMD Videoがどれくらい売れているかは把握できないが、世の中はネットで映像を配信する方向に向かっているのは間違いない。UMDはその端境期にはまってしまっている気がする
・eディストリビューションはPS3を買った日から使えるようにするつもり。ダウンロード方法は、PS3経由、PC経由、PSPの無線LANの三つ
・携帯電話の上でエミュレータを動かすことも将来は不可能ではなくる。“バーチャル・プラットフォーム”的なプレステも可能性としてはアリ(ネットワーク上にハードウエアとは一線を画したバーチャルな環境ができあがる可能性がある)
・(Cell)サーバー側でコンテンツを生成できる環境を作り上げれば現在のブラウジング中心のインターネットとはぜんぜん異なった世界ができるのではないか。極論すればクライアント端末はテレビそのもの。端末での演算処理はまったく必要ない
・PS3からPSPへの映像配信もあり得る。PS3でレンダリングした映像を無線LANでPSPに送る。PS3がホーム・サーバーだとするとPSPは紐付いている情報端末。PSPが“バーチャルPS3”になる。その先のネットワーク越しにあるものがCellサーバー
・(PSPがバーチャルPS3になるのであれば,PSP自体の強化はもう必要ないのではという問いに対し)そんなことはない。技術者には少しでも良くしたいという追求心がある
・(PSPが“情報端末”になることはあるかという問いに対し)いわゆるPDA的な使い方はユーザーの要望次第。すでに搭載したWebブラウザの流れでスケジュール管理やメーラーが登場するかもしれない。PSPは中長期的に見れば携帯型のネットワーク・デバイスであるべきだという考えはある。そのときに情報端末的な需要があればそういった方向性はあり得る。ただコンセプトがぼけないことが大事。SCEとしては軸足をエンターテインメントに置く
・一番大事なのはゲームの世界が継続的に変化していく、更新されていくこと。リアルタイムの情報を取り入れることも重要。実際の世の中で起こっていることをリアルタイムの情報として付加することで全然違ったものになるかもしれない。リアルとバーチャルの融合で生まれる新コンテンツは狙いたい
パッケージメディアからの脱却を計りオンラインで勝負を挑もうとするSCEに注目です。PS3投入が落ち着けばPSPの強化もありそうですね。その時、UMDが削られるのどうかもポイント。CellサーバーとしてのPS3にはPSP以外の携帯端末だって繋がるはず。エンタメ指向のPSPが遊んでいるように見えると言われるなら、myloやかつてのクリエのようなビジネスよりの新端末をソニーが投入したって良いわけですしね。あとは、「サーバー・セントリック」などの難しそうな言葉を使わずに、SCEが考えている壮大な構想を一般消費者に理解させ、夢をどう具体的にカタチにしていくのか、といったところでしょうか。
対して、Wiiの発売に関していまだ沈黙を守っている任天堂の動きも気になります。難しそうでとっつきにくいPS3の世界に対して、わかりやすくとっつきやすいWiiの世界をアピールしてきそうです。MSのXboxとZuneの連携も大いに気になるところ。いずれにしても大きな動きが始まるのはTGS以降になりそうですね…。