その他、「HNT-BT1」でできないこと、できたこと
ハギワラシスコム社の製品情報によると、HNT-BT1は、Bluetooth Specification Ver1.2に対応しており、Generic Access (GAP)、Service Discovery Application (SDAP)、Serial Port (SPP)、Dial-Up Network (DUN)のプロファイルが実装されていますが、同一プロファイルを搭載する他のデバイスとの接続を保証するものではないという記載があります。また、付属するクリエ用ユーティリティー「BT Ada Utl」では、Serial Port (SPP)、Dial-Up Network (DUN)の切り替えしかできない仕様になっているようです。
このことからも、HNT-BT1は、SPPではルプラン、DUNではBluetooth内蔵ケータイまたはモデムの接続のみ動作保証するということになり、それ以外の機器との接続は動作保証の対象外となり、サポートの範疇からもはずれることになります。以下に記載する内容もハギワラシスコム社が動作保証していない内容ですのでくれぐれもご注意ください。(といってもたいした内容ではありませんが…)
<できなかったこと>
※Bluetooth経由でのPCとのワイヤレスHotSyncは不可
SPP対応ということで、Bluetooth経由のHotSyncが期待されましたが、ハギワラシスコム社の製品情報に記載されているとおり、Bluetoothを使用したワイヤレスHotsyncはできません。自分も色々試してみましたが、できませんでした。
※Bluetooth内蔵キーボードの利用は不可
読者の岡野さんから、StowawayまたはDELL製のキーボードでの動作はどうですか?というお問い合わせを頂きましたが、あいにく両製品とも所有しておらず、動作確認はできませんでした。そこで、知人の協力でBluetooth内蔵キーボード(Smart Keyboardという製品です)の利用ができるかどうかを試してみました。キーボード側に付属するユーティリティーでペアリングを行うのですが、ユーティリティー側からHNT-BT1が見つからず接続できませんでした。知人曰く、StowawayやDELL製のキーボードも基本的な作りは同じだと思うので結果も同じなのではないかということです。30日の発売後は、該当製品を所有するユーザーの方が動作確認をしてくださるのではないかと思われますので、もしかしたらということもあるかもしれません。
<できたこと>
※Bluetooth内蔵(または専用アダプタ)のPC+MochaPPPでネットワーク接続可能
前回の最後に書いたとおり、「Mocha W32 PPP」を使ってBluetooth経由でワイヤレスのネットワーク接続ができました。Mocha W32 PPPは、本来、クレードルやHotSyncケーブル等でWindowsPC経由でネットワークに接続可能なソフトですが、かねてからBluetooth経由での接続例もあり期待していた方も多いのではないかと思います。自分で試したところ、Bluetooth内蔵のバイオTR2/P(WinXP SP1)と、ハギワラシスコムさんが先月末にリリースしたばかりのBluetooth USBスティック「HNT-UB03」とデスクトップバイオ(Win2000)の組み合わせなどで動作確認できました。
接続方法はここでは詳しく書きませんが、クリクラ時代の過去ログ「log(5/12-5/18)」の5/12~13あたりを参考にしていただければと思います。なお、Bluetooth USBスティック「HNT-UB03」での接続に関しては、自分のPCの固有な環境の影響もあると思うのですが、認証作業を自動に設定すると繋がらなくないという現象が起きました。Bluetooth USBスティックは色々なメーカーから発売されていますし、ユーティリティーも異なることがありますので、利用するに当たっては何らかのコツが必要なものも出てくるかもしれませんので、その点はご承知おきください。
また、専用ユーティリティー「BT Ada Utl」ですが、先にご紹介したBluetooth搭載携帯電話とのペアリングを行ったあとに、上記のPCとのペアリングを行うと、先に設定していた携帯電話とのペアリング情報が消えてしまうようです。その場合は、「BT Ada Utl」で再度携帯電話側とのペアリングを行い、表示されるデバイス名を携帯電話のそれにする必要があるようです。ちなみに、ルプランは再設定の必要が無く、「BT Ada Utl」で最後にペアリングした機器に関係なく使うことができました。
その他、気がついたこと
数日間使っていてその他に感じたことは、意外にバッテリーを消費するということでしょうか。通信をしているときはいうまでもありませんが、アダプターを取り付けたままですと通信以外のアプリを操作していてもバッテリーを消費しているようなので、使わないときは取り外しておくというクセをつけた方が良いみたいです。
まとめのようなもの
HNT-BT1は、対応するプロファイルが少ないながらも、ルプランサービスの利用やBluetooth内蔵ケータイでのワイヤレスによるインターネット接続を可能にするソリューションをBluetooth非搭載のクリエユーザーに提供する現状で唯一の製品ということになります。
パワーユーザーの中には欧州版のTH55を購入して同様のことを実現している方もいらっしゃいますが、なによりクリエ本体の価格や輸入コスト、日本語化などのハードルがあることも事実です。約1万円という追加投資は必要ですが、使い慣れた日本版クリエでBluetoothの恩恵が受けられるのは大きいのではないかと思います。
なんとなくプラスチッキーな本体の質感、ロック機構が無い点など、個人的にはもう一歩踏み込んで作っていただきたかったと感じるところもありますが、それ故の軽量化や手軽さも存在することも事実です。値段もMSB1と比較すれば約半分の値段ですしね。すべてのクリエユーザーに必須のアイテムではありませんが、機能として欲しいと思っていた人にとっては絶対に買いのアイテムだと思います。
ソニーが7月にはクリエの生産を終了してしまうことがわかっていながらも、この製品を市場に投入しようとしたハギワラシスコムさんには本当にありがとうといいたいです。なお、同アダプターはこのタイミングでの投入になるため生産数も限られているような話も噂で聞いています。欲しいと思ったときが買い時ととらえたほうが何かと幸せになれるようです。
以上、4回に渡ってお届けしてきたHNT-BT1のレビューを終わります。今後も何か気がついたことがあれば随時ご紹介するつもりですが、アダプター購入予定の方で発売後に何か気がついたことがあれば、本エントリーにコメントをお寄せいただければ幸いに思います。
また、最後になりますが同製品の試作品をご提供くださったハギワラシスコムさんに改めまして感謝いたします。ありがとうございました!
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