SWITCH vol.23(2005年2月号)の特集記事「スラムダンク、あれから10日後–」を読んだ。
連載が終了した8年前の衝撃のラストから10日後が、井上雄彦氏によって描かれたというのだ。
スラムダンクの単行本が一億部を突破したことを受けて、昨年夏に井上氏個人が行った新聞の15段広告の6誌同時掲載は記憶に新しいが、それをうけて期間限定のWebサイトを立ち上げていたのだとか。
そして、このサイト企画の締めくくりとして、昨年12月に神奈川の廃校使い、「スラムダンク」最終話のその後10日間を井上氏自らが23ある教室の黒板に描くというイベントが行われたようなのだ。そして、その作品は3日間公開されたあと、本人の手によって何事もなかったかのように綺麗に消されたという。
知らなかった…。くそう…。
でも、この特集には23枚の黒板に描かれたストーリーの断片が写真として納められていた。
ゴリが、木暮が、流川が、三井が、リョータが、花道が、そして物語に華を添えた湘北高校関係者やライバル達がそこに描かれていた。
最後の最後で、リハビリ中の花道がたたずむ海岸線で担当女医が、
知ってる?桜木君 日本人初のNBA選手が生まれたって ほとんどの人が日本人にはムリって思ってたらしいわ だけど…
とつぶやく。そして海を無言で見つめる花道の背中。
涙が出た…。
日本人初のNBA選手はもちろん田臥のことだけど、8年前の10日後に現在がシンクロした瞬間だった。
井上氏はインタビューで、このイベント自体が彼自身のリハビリになったと語る。
彼を取り巻く「スラムダンク」の諸々の呪縛から解き放たれたのだそうだ。
それゆえ、誰もが期待してやまない続編は絶対にないだろう。
いや、むしろこれ以上書かないで欲しい。
最後の黒板に書かれた花道の背中に、これ以上ないほどの夢が満ちあふれているのだから…。