ジェイ・グレイドンの旧譜のような新譜(?)、「Past to Present – the 70s」がやっと届きました。いや~、デモトラックを集めたアルバムとはいえ、すんばらしい出来です。聞き慣れた数々の名曲の原型や日の目を見ることの無かった楽曲が現在のデジタル技術で蘇っているのです。しかも、ジェイ本人が最新のエンジニアリング技術(主にPro Tools)を駆使して…。
日本でここまでのことをするミュージシャンって達郎さんぐらいでしょうね。その達郎さんの奥さんになる前にまりやさんが「Miss.M」(LA Side最高!)で取り上げた「Secret Love」のデモトラックもあるんですが、ボーカルがなんとマーク・ジョーダンっすよ。2曲で参加しているタタ・ヴェガの歌いっぷりにも感動。最初はマリリン・スコットかと思いました。
細かいことを書くときりがないのですが、何が嬉しいってジェイ本人の楽曲解説がたっぷり3万字もあること。録音当時の思い出にとどまらず、使用機材についても思い出せる限りの詳細が記載されており、業界人にとっても必見の内容なんじゃないでしょうか。
ちなみに、70年代ということで機材もアナログなものばかり。ジェイ本人が画期的な機械だと思っていたというソニーの4トラ「854-4s」も何曲かで使われており、この機械の修理が例のソニーのジングルを作るきっかけとなったようなんです。同機の修理に2週間以上もかかったにもかかわらず不具合がなおっていなかったことに腹を立てたジェイが工場で一番優秀な技術者に修理を依頼したことが発端らしいのですが、様々なすれ違いがあったあげくお蔵入りしてしまったようです。
で、その「Sony Jingle」ですが、ジングルだけあって1分強の短い曲です。ジェイらしいハーモナイズギターは聞けないものの、シンセ・ストリングスはいかにもって感じでした。演奏はあまりにもシンプルなのでチープ感もバリバリですが、タタ・ヴェガのボーカルが入ると俄然曲の感じが一変。パンチのある歌声による多重録音によるハーモニーはとにかく素晴らしい。でもって歌詞がこれまた泣けるんです。短いから思い切って転記しちゃいますね。
Spending my time and dreams with Sony
Because they’ll never let you down
I know I’ve found a friend in Sony
I really love their sound
Spending my time and dreams with Sony
I wanna tell this whole wide world
The leaders in sound are Sony Sony Sony Sony
Sony Sony Sony Sony
(対訳)
時間と夢をソニーに使った
ソニーは僕を失望させないから
ソニーで友達を見つけた
あのサウンドは大好きだ
時間と夢をソニーに使った
世界中にそれを伝えたい
サウンドのリーダーはソニー ソニー ソニー
ソニー ソニー ソニー ソニー
ミュージシャン、エンジニア、オーディオメーカー、その誰もが良い音楽を制作できる環境作りに情熱を燃やしていた時代だったのでしょうね。70年代後半から80年代へ、時代はアナログからデジタルへ。そして気がつけばあれから30年…。いまも時間と夢をソニーに使っている人はまだまだたくさんいます。いつかまた、ソニーを「サウンドのリーダー」と呼べる日が来る日を願いながら…(なんちって)。
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