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久夛良木CEOがSCE取締役を退任~これにてサイロ崩壊終了?

役員人事のお知らせ(SCE)※PDF

SCEI(以下SCE)及びソニーは、07/06/19付で、現在SCEの代表取締役会長兼グループCEOである久夛良木健氏が、任期満了を持って取締役を退任し、SCEの名誉会長に就任する人事を行うと発表。この人事に伴い、現SCE代表取締役社長兼グループCOOの平井一夫氏が代表取締役社長兼グループCEOに就任するそうです。なお、久夛良木氏は今後もソニーのトップマネジメントに対してシニア・テクノロジーアドバイザーとして技術的なサポートを行うそうです。以下は、久夛良木氏のコメント。

4つ目のプレイステーションプラットフォームを導入し終えた今、これらのプラットフォームにより最先端の技術と全世界のクリエイターの皆様の創造力を結び付けることによって、コンピュータエンタテインメントの新しい世界を加速できたことは私にとっても大変エキサイティングな経験でした。今後はこの経験を活かし、更なるチャレンジを、SCEを離れて更に広いネットワークで加速していきたいと思います。

また、ストリンガーCEOも今回の人事に関して以下のようなコメントを発表しています。

しっかりとした技術に基づくビジョナリーであり、また企業家でもある稀有な人、それが久夛良木健です。彼はソニーグループに数千億円規模のビジネスを創出しただけではなく、業界全体を新しい次元に導くことに成功しました。彼の類まれなビジョンと創造力、そして彼が育て上げたSCEという強力なチームからソニーが受けた恩恵は計り知れません。久夛良木氏は次なるチャレンジを続けてまいりますが、今後とも我々は彼の挑戦をサポートしてまいりたいと思います。また、新しくCEOに就任する平井氏は、北米での経験と手腕をもってSCEを更に発展させ新たな次元へと導いてくれるものと確信しています。

このニュースでは、「26日夕方に開いたSCEの取締役会で久多良木氏が退任を申し出、満場一致で承認された」とあります。これで“業界の織田信長”と言われた久夛良木氏のかかげる壮大なビジョンに振り回されることはなくなる、と思っている人がいたかどうかは定かでありませんが、色々な意味でお役目ご苦労様ってことなのでしょうね>SCE、久多良木会長が退任へ・プレステ生みの親

創業者の遺伝子を引き継いだ人がまた一人経営の最前線から退くことになりました。ある種のカリスマがまた一人いなくなったとも言えますね。時代を感じずにはいられませんが、これがある意味、サイロ破壊=新生ソニーへの布石となるのでしょうか…。自分もかつて、「もうソニーにはカリスマは入らない」なんてことを言ったことがありますが、いなければいないでこれまた寂しいモノですね。とにもかくにも、ソニーグループで一転お荷物になってしまったゲームビジネスの立て直しは急務。新体制で頑張って欲しいものです。

ちなみに、中の人に言わせると、久夛良木さんは実際に実力のある人で、皆に尊敬されているらしいです。性格もとっても温厚で、エッジの効いた物言いをする人でもないようです。まあ、そういわれても直接あってお話しを出来るわけでもなく、部外者には理解できないことも多いわけですが…。とはいえ、我々消費者もメディアのブラフに踊らされていることなく、その人となりを見極めなくちゃいけないのでしょうね。

【追記】本田雅一さんが久夛良木氏の退任がもたらすものと題したコラムをアップ。「ソニー本社が失ったものは、SCEと同じぐらいに大きい」と締めくくっています…>SCE久夛良木CEO退任がもたらすもの

また、ITmediaオルタナティブ・ブログの本田雅一さんのパースペクティブ・アイでも関連エントリーがあがってます。「久夛良木さんに対する印象は、報道などで言われているものとは全く違います」とのこと>SCE久夛良木さんがSCE役員を退任

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SCE経営者人事の背後にあるソニーの思惑

ソニー、聖域にようやくメス 異例の人事で“ポスト・久多良木”新体制へ

半導体事業にメスを入れるには、巨額投資をPS3という“モンスターマシン”で回収するハイリスクなビジョンを掲げてきた久多良木氏の影響力を抑えることが不可欠だ。今回の一連の人事は、ソニーの経営陣がPS3発売を機に遂に重い腰を上げ、懸案事項であるゲーム事業と半導体事業の課題を解決する抜本策に向けて、一歩踏み出したことを意味している

12/1に突然発表されたSCEの経営者人事の意味を探るコラム。社長兼COOに就任する平井氏と副会長に就任する佐藤氏の存在が今後のSCEの経営で大きな意味を持ってくるそうです。また、今回の人事の背後には、「ソニー本体が抱える根深い問題もある。実はソニー本体が実施した人事が、その深刻さを物語っている」として、ソニー中川氏の副社長と半導体事業本部長の兼務という、半導体事業への経営陣の関与が強化されたことに注目しています。投資回収できないCellビジネスはソニーにとって重荷でしかなく、PS3が思うように売れないのなら、デジタル家電にCell搭載する可能性も考えられるとしていますが、井原副社長は、「PS3用の半導体をデジタル家電に組み込んで投資回収の穴埋めをするというのは考えにくい」とコメントしたとか。

記事掲載のタイミングの問題もあるようですが、中鉢社長自らがCell搭載家電を来年末に出すと明言していますので、投資回収の穴埋めは動き出しているように見えますが、果たしてその真意は…>ソニー、「セル」搭載の家電07年末にも発売

欧州がソニー「PS3」を救う ユーロ、ポンドに対する円安が追い風

PS3の消費電力はPS2の8倍で、それに対応するため、台湾のデルタ電子が特別な装置を作った。同じように、PS3のCPU(中央処理装置)が生み出す大変な熱を放散するため、古河電工が独特のヒートパイプ・システムを開発している

重要市場とされながら、PS3の発売が延期された欧州ですが、円に対する記録的なユーロ高とポンド高がPS3を救い、4年連続の赤字と目されているソニーのゲーム事業を引き上げるかもしれないとの見方もあるようです。ただ、部品調達コストの問題から、「早期に製造コストを削減するのは無理ではないか」との声も上がっているとか。単に高性能な部品だけでなく、PS3向けに特化した部品の存在が大きいようです。

ところで、ひろさんからXbox360についてこんなご意見をいただきました。(感謝です)

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欧米かよ!

SCEIの社長交代がPS3に与える影響

様々な憶測を呼んでいるSCEの社長交代による各方面への影響について後藤弘茂さんが考察。今回の人事は、ソニーグループ内の政治的な力学だけではなく、ゲーム業界を取り巻く大きな流れがその背景に見えるとか。日経IT-PLUSの新清士氏のコラムでも語られていたように、市場と開発の中心が日本から欧米へシフトしていることが大きな流れであり、PS3=エンタメコンピュータという点についても日米で温度差があったとしていますね。さらに、PS3が発売されるまでのSCEの動きを振り返りつつ、今回の人事によってPS3の戦略がどう変わっていくかを予測しています。

また、ソニーの中鉢社長が産経新聞のインタビューに応じ、Cellを液晶テレビなど自社製品への搭載を積極的に進めていく方針を明らかにしたというニュースが掲載されています。テレビへのCell搭載で画像処理能力の向上や他の家電製品との連携が可能になり、他社との差別化にもつながるとか。また、早ければ来年中にも搭載テレビが登場するとみられるとの記述もあります>「PS3」の高性能半導体を液晶TVにも搭載

それはそうと、こんな動きがあったんですってね。もしも彼らに買収されていたら今頃どうなっていたんだろう、ブルブル…>ホリエモン、村上被告とソニー買収を計画

【追記】PS3絡みではこんなニュースも。

PS3にBlu-rayプレイヤー機能が搭載されていると知っている人も約半数とか…>次世代 DVD 規格の対応プレーヤー、「決着がつくまでどちらも購入しない」が約半数

射殺かよ!こんな国を重要視して良いのでしょうかね…>「PS3」強奪容疑の男射殺・米南部、品薄状態続く

日本ではこんな事件が発生。テレビでもNHKがニュースとして取り上げていました。(お知らせ感謝です!hiroyanさん)>茨城で「プレステ3」180台盗難、運送会社から通報

くねくねハニィさんという方のコラム。「日本のゲームソフト開発は、技術的にもビジネス的にも、もう海外に先行してはいない」んですって…>世界標準に後れを取る日本ゲーム市場なんて見たくない

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平井COO誕生、GTの製品戦略見直しで、どうなるソニーのPS3ビジネス

SCEI、久夛良木社長が会長に、後任には米国SCE責任者の平井氏

SCEは、久夛良木社長が会長に就任し、後任にSCEA社長兼CEOの平井氏が就く役員人事を発表。これにより、PS3発売以後のSCEは、長期的な戦略を担うCEOと事業オペレーションを担うCOOの分担体制で新たな局面に進むとか。

この人事の影響から、「ソニーがビデオゲームのハードウエア製造から撤退する前兆との見方も浮上」していると報道する海外メディアもあるようです…>英フィナンシャル・タイムズ紙ヘッドライン(1日付)

SCEJ、PS3「グランツーリスモ 5」を発表。「グランツーリスモHDコンセプト」の無料配信も実施

12月発売予定だったPS3の「グランツーリスモHD」ですが、製品戦略が見直されることになったそうです今後は、「グランツーリスモHDコンセプト」をオンラインで無料配信をしながら、「グランツーリスモ 5」の開発を行なうとか。

簡易版をタダで遊ばせておけば文句が出ないだろう、なんてことじゃないですよね…。こんな調子だと、「モーターストーム」以外にも発売延期になるソフトが増えてきるんじゃないでしょうか。

SCEJ、PS3「レミングス」12月1日夕からオンライン販売開始。“オンライン配信専用ゲームソフト”のスケジュールに若干の変更も

とか書いていたら、オンライン配信専用ゲームの発売も遅れるようです。定番ソフトの焼き直しでお茶を濁している場合じゃないのでは…。

PS3とXbox 360の「ネットワークAV家電」としての可能性

PS3のネットワーク戦略について、西田宗千佳さんは「いまだ道半ば」や「少々地味と言わざるを得ない」と評価。「映像ファイル作成などにPCの力が必要であるにもかかわらず、そのためのソフトやソリューション、情報がほとんど公開されないことに不満を感じる」とのコメントもあります。また、PS3もXboxも「最後のカギとなるのは、他のデジタル家電やPCとの連携を、どこまで大切にできるか」であるとしていました。

ゲーム機としてのネットワーク家電としてもまだまだ未熟なPS3。オーディオとBlu-rayが高評価なのが何とも皮肉ですね…。

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ソニーが久多良木氏を見放したのか、久多良木氏がソニーを見放したのか…

久夛良木氏を見放したソニーの迷走 PS3孤立無援に見るソニーグループの病巣の深さ

PS3をゲーム機として捉えると、SCEが収益を稼ぎ出すまでに、少なくともPS2よりも長い時間がかかるのはほぼ確実に思える。巨額の投資資金を調達するために発行した2500億円の転換社債の償還が2008年12月に迫っているソニーにとって、憂慮すべき事態のはずである。にもかかわらず、ソニーは当初の構想から離れ、「cell」と久夛良木氏をなかば見捨てて、彼らをゲームビジネスという狭い領域に封じ込めるような態度をとり続けている。その経営判断のツケは将来、ソニー自身が払うことになるかもしれない。

NBonline、日経ビジネスアソシエ編集部の降旗淳平副編集長の「ニュースを斬る」というコラム。SCE(久夛良木氏と)ソニー間の埋めがたい溝のせいで、PS3をエンタメコンピュータとして認識してもらうことにも失敗したとか、BRAVIAとPS3のセット売りこそが望ましかったなど、刺激的な内容が並びます。

また、ソニー社内ではデジタル家電製品にCellを搭載する動きがまるで感じられないどころか、関係者も「消費電力の高さが搭載のネックに」と語っており、PS3のスタートダッシュに失敗しただけでなくCell自体のの普及の前途が暗いまで言われてしまってます。

「SCEでは、ソニーマーケティング出身者を営業責任者に就けるなど、そのための布石を打っていたはず」というコメントもありますが、これってもしかして佐伯氏のことですかね。その佐伯氏へのPS3発売日のインタビューがCNETに載ってました>PS3発売に盛り上がる、ヨドバシカメラマルチメディアAkibaで、SCE佐伯雅司氏に聞く

新しいもの、イノベーションは、体感しないと理解してもらうのは難しい。店頭の「PLAYSTATION TV」などで、PS3の魅力を十分感じてもらえるはずだ。(中略)12月は、家電メーカー各社が薄型HDテレビの販売攻勢をかける。PS3は、そのすべてのHD-TVの魅力を引き出して対応することができる。このタイミングで、仕掛けを打ちたいと考えている。

とのこと。なお、PS3は「12月に入れば潤沢に供給できる」とのこと。まずは年末商戦でアーリーアダプターに行き渡るかどうかって感じですが、本当の勝負はその後なんでしょうね。

そういえば、日経BPのTech On!がまとめているPS3の特集記事で消費電力についての記述がありました>【PS3】消費電力を測ってみた

起動した状態で約180W、ゲームはディスクを回すモータが動き出したあたりで約200W、レースゲーム中は190W~205W程度、Blu-ray Discの映画タイトル再生で約195Wとか。380Wに迫ることはないにしてもそれなりに電力を消費するのは間違いなさそうです。

電気代についてどうこう言う以前に冷暖房や他のAV機器のとの兼ね合いをちゃんと考えないといけなくなりそうですね。我が家のリビングにPS3を置いても大丈夫なんだろうか…。

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ハンディカム、プレステ普及の立役者が語るソニー/SCE/PS3

ソニー/SCE/プレイステーション 3のこと -佐伯雅司

SCEのコーポレート・エグゼクティブとSCEJのエグゼクティブバイスプレジデントを兼任する佐伯雅司氏へのインタビュー。ソニー入社の経緯、ソニー宣伝部時代のハンディカムのプロモの思い出、SCEへの転属、プレステの一連のプロモーションやPS3について語っています。

ハンディカム「TR-55」のプロモで浅野温子を起用したのは同氏の提案だったのですね…。確かに、プレステローンチ時のCMは鮮烈でしたし、普及の原動力になったのも間違いないでしょう。PS3のCMもオンエアされ始めましたけど、球数がないことを知っている身にとっては見せられてもつらいだけです。むしろ、宣伝費がもったいないとまで感じる始末です。

時を経てプレステも飛躍的な進化をとげたのでしょうが、ネットやケータイの普及などにより、コミュニケーション手段も変わり、消費者の選択眼も養われたし、可処分時間の使い方も変わってきているように思います。マスメディアの情報に流されす、自らが情報発信する人たち。HDRでCMを飛ばして楽しむ人たち。そんな人たちにSCEはどうアプローチしていくのか。佐伯さんの戦いはまさにこれからなんでしょうね。

ゲーム機からエンタメコンピュータへ変貌を遂げようとしているかにみえる、ライバルの動向も気になります>MS、「Xbox Live」でテレビ番組や映画のダウンロード開始へ

PS3といえば、taroさんから以下のようなお便りを頂戴しました。

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