VAIO type P専用、純正本革キャリングカバーを試す

type P専用の純正キャリングカバー「VGP-CVP1icon」。標準小売価格9,980円の高級品。ブックカバー調のシボ入りの本革製で、カバーを装着したまま全ての機能が使えるのが売り文句。type Pと同時に発表され、ソニービルで現物を見て即スルーを決め込んだものの、その後に訳ありで購入。しばらく使ってみた印象をまとめておくことにする。

パッケージは紙製で、カバー本体と、交換用粘着ゲルシート、黒い面ファスナー(いわゆるマジックテープ)が付属。説明書では、カバーの固定にtype P本体底面に面ファスナー(4カ所)と、液晶面を粘着ゲルシート(5カ所)で行うよう指示。順序は、本体底面に付属の面ファスナーを貼り、この面ファスナーをカバーに固定し、液晶側のカバーをかぶせるようにしてゲルシートに接着。剥がす時はその逆。

装着作業はさほど難しくない。ゲルシートの接着面が小さく、心許なく感じるが、ゲルシートの接着力が異常に高いので全く問題なし。ただ、貼ったり剥がしたりを繰り返せば次第に粘着力は落ちる。そのために換えが付属しているようだ。

いかんせん、カバーを使わない時にも本体に面ファスナーを貼ったままにしなくてはならない点が気になる。なにより、面ファスナーが黒一色なのがどうにも気にくわない。ソニスタ限定モデル以外の本体カラーとのマッチングはソニー的にはアウトオブ眼中のようだ。

ちなみに、自分は手持ちの白い面ファスナーをビザビ謹製の本体保護シートの上に貼った。複数の周辺機器を使い分けたいのと、なにより、本体に直接面ファスナーを付けっぱなしにしたくなかったので。本体保護シートの粘着力が意外に強力で、簡単には剥がれなかった。粘着力が落ちたら洗って貼り直せばOK。

カバー装着により、type Pのガジェット的な風合いがトーンダウン。上面のVAIOロゴも控えめだが、人に見られることはしっかり意識していると思う。パッと見は大きめの手帳で、一気にビジネス色が強くなる感じ。良くも悪くもデザインは男性的。

type P使用時つまり液晶を開く時に、カバーが本体に干渉しないよう、ヒンジに近い部分の中敷きが省かれ、曲がりやすくなっている。この仕様を実現するためなのか、革のつぎはぎが底面に見て取れる。このカバーのキモはここかも。ゲルシートの粘着力と面ファスナーの両方からかかる力を、このヒンジに近い部分が吸収している。液晶を開いている時には変な出っ張りもなくスマートでカバーを付けていないが如く使える。さらにカバーによって底面のフットプリントが増加し安定するのと、先の力の働きに よって微妙に本体が浮いて使いやすくなる(キーが打ちやすくなる)。

(ロングバッテリーが非対応なのは、このヒンジ部のバランスが崩れて安定感が維持できないからかも。ただ、実際は使えなくはない。底面が斜めになるため面ファスナーの固定が弱くなるのとサイズ的にかなりギリギリだが何とか使えた。)

キャリングカバーで保護されるのは上面と底面だけなので、側面と前面は完全にアクセスフリーで非常に使いやすい。ゆえに側面に関しての保護性能はさほど期待できないが、カバーの作り自体はよく考えられていると思う。のだが、

いかんせん、キャリングカバー自体の150gという重さにより、type Pのコンパクトさや軽さが少なからずスポイルされてしまうように感じる。実際、手に持ってみるとかなりズシリと来る。ちなみに、type P本体は標準スペックで約600g。ロングバッテリー装着時(約720g)よりも重くなる。また、革の分厚みも増すので専用キャリングケースの類や吉田カバンとのコラボバッグへの収納も厳しくなる。

ゲルシートも何度も貼ったり剥がしたりを繰り返すうちに粘着力が弱まって、気がつくと外れていることが良くある。粘着力が無くなったら基本的に交換しかない。そして換えは1組だけしか付属しない。ちなみに、ウェットティッシュで丹念に汚れを拭き取ったら粘着力はある程度復活したが限界はあるようだ。
iconiconその他、細かいところでは、カバー装着時にメモリーカードにアクセスしにくい、(一ヶ月たっても)革の匂いがきつい、などの点が個人的に気になった。あとは価格。総じて良くできていると思うがこの仕様で9,980円は高いかなあというのが正直なところ。

固定方法も超アナログなので、ケースやカバーを頻繁に取り替えたい自分のような輩には向かない。じゃあ、なんで買ったのか。全ては自分好みのtype P周辺グッズ開発のための研究調査や比較対象としてが理由。それもようやくカタチになってたので、これからボチボチ紹介予定。

ちなみに、3rdパーティー製で手帳タイプはPDAirブランドが有名。こちらは粘着テープや面ファスナーを一切使わないが、使用時に液晶面のカバーが落ち着かないところが気になる。人に見られることを意識しなければ良さそうだが、個人的には重要な部分>使い込むほどに味が出るVAIO type P用の牛革ケース