このレビューは「みんぽす」の無償イベントに参加して書かれています。(詳細は末尾で)
2009/10/4、モノフェローズセミナーとして開催されたソニーウォークマンNW-A840シリーズ体験会の内容をざっくりとメモ。
当日のスピーカーは、同モデルの製品開発プロジェクトリーダー(PL)で、A600以来数多くのウォークマンのPLを歴任した越田修氏と、S-Master/DNC(デジタルのイズキャンセリング)専用プロセッサLSIを開発担当した大栗一敦氏、商品企画セット担当の中井康介氏のお三方。
越田氏が担当したモデルは2005年発売の香水瓶タイプA600に始まり、06年のS600F/S700F、07年のS610F/S710F、08年のS630F/S730Fときて、09年のS640/S740にA840と小型で薄型なモデルのPL担当を歴任。過去にはCLIEも担当なさっていたとか。
A840の特徴は、ウォークマン最高レベルの音質、画質、大容量を、最薄ボディーに凝縮したこと。6つのデジタルクリアオーディオテクノロジー、2.8型有機ELディスプレイに加え、デジタルノイキャンやS-Masterデジタルアンプ、最大64GBのストレージを薄さ7.2mmに凝縮したことにある。
A840でソニーが目指したものは、「場所や時間を問わず、好きな音楽を良い音で楽しむ」ことで、これはウォークマン誕生時からソニーがこの30年間変わらずに目指してきたことでもある。
その哲学を実現する3つの要素が、「小型化」と「スタミナ」と「最高音質」とか。過酷な環境下でも最高の音を届けるという意味で、最高の音質技術を採用することが全ての基礎でありA840でもこれらの要素は変わらない。
A840の挑戦は、室外利用前提での最高音質。そのため、小型、高音質のキーデバイスとしてインテグレーテッドDNCプロセッサを採用。ここからは同プロセッサを開発した大栗一敦氏が解説。
ヘッドホンに最適化したフルデジタルアンプ「S-Master」をデジタルノイズキャンセリング(DNC)に必要な回路と1チップ化することで、収録した騒音成分を素早く(低遅延)で出力でき、高精度デジタルフィルタ処理により正確にキャンセル信号を生成し、音楽ソース、キャンセル信号をデジタルのまま加算し、S-Masterで忠実に再生。
このチップが採用されるのは先行して発売されたウォークマンXとデジタルノイキャンのインナーイヤー本NC300Dに続き3機種目。ウォークマンの小型化や高音質技術に繋がるこうしたプロセッサが開発できる背景には、当然ホームオーディオやヘッドホン開発における長年の経験や技術の蓄積があるということで、それを「ソニーだから出来る音がある」と表現。
ここから再び越田氏がスピーカー。小型化への挑戦は、高音質と両立した極限の実装密度と基盤設計にあり。本体の厚さを決める要素はウインドウを含むディスプレイ部とバッテリーの厚さの合計で決まるとか。
薄くするための課題は「強度」。持ち歩くことが大前提である以上譲れない要素。薄くなればなるほど発生する問題は内部構造と外筐材料の工夫で解決。また、薄ければ良いというわけでもなく、身につけたくなるデザイン性とクレードル装着時の実用性も追求。
筐体用のアルミ成形も通常は平板から金型で型押しして形状を作るが、A840が採用したSLASH(/)デザインだと角度が付いているため通常は金型が抜けない(アンダーカット)ことに。そこで、発想を変え、型押し・ヌキ方向は垂直にしたまま、金型に角度をつけることでSLASH(/)デザインを実現。
以降、中井康介氏にバトンタッチして、A840を含む今秋発表の新製品の特徴はオープンな機器連携。
手持ちのコンテンツや環境を変えることなく、ウォークマンの世界を体験してもらえるよう、PCを使わなくても、使い慣れたPCアプリからでも、様々な機器からも、多彩なフォーマットのコンテンツ(ファイル)が転送できるようになったのが大きな特徴。
パソコン接続では、Musicフォルダへのドラッグ&ドロップ(D&D)はもちろん、iTunesの管理画面からもD&Dにも対応。
PS3からの音楽ファイルの転送が可能になり、ウォークマン内のコンテンツをPS3でアップストリーム再生てきるように。
最新のソニー製のBDレコーダーとの組み合わせでは、ジャンル情報も転送やレジューム機能対応でお出かけ転送がさらに便利に。
アクティブスピーカーやコンポなど、連携可能なオーディオ機器の紹介もありましたがあくまでさらりと。
A840やS740/640搭載の歌詞表示機能を語学学習コンテンツ向けに応用する方法も紹介。一般的なLRCファイルを用意して、音声ファイルと一緒にMusicフォルダに格納すると同期表示が楽しめるとか。
デモではオバマ氏の大統領選挙勝利演説を使って音声とテキストが同期する様子を紹介。ノンリニア機器ならではのピッチ変更無しのスピード可変機能も語学学習向きとアピール。
プレゼンは以上で終了。以降、スピーカー付Sシリーズの新製品紹介やA840とPS3の連携デモなどを個別に紹介しつつ、質疑応答タイムがあって終了。途中から1人1台実機が配られたけど、触れる時間は少なかったかなあ…。
以下、個人的な雑感。A840は音も良い、薄い、軽い、ディスプレイも大きくて見やすい・・・のだけれども買い増すほどの魅力は感じられず。あ、でもビデオウォークマンを持ってない人で動画中心の運用を考えている人(特にお出かけ動画を使いたい人)にはオススメしたいかも。ディスプレイがでかいしきれいなので。あ、でもデザインの好みは別の話です。個人的にミッキーマウス似の3サークルのデザインがあまり好みじゃないというか…。
イベントでは越田さん自らバラシ実演してくださったけど、この手の機械の中身はブラックボックスで良いと思っている口だし、最小最薄最軽量はソニーのお家芸だと思っているので、正直ちょっと退屈だったかなあ。
ここ数年のウォークマンの進化はすさまじいし、ハードのクオリティに関しては誰もが信頼しているはず。Zappinのような新しい音楽の楽しみ方の提案が欲しいです。つーか、なんでZappin入れないの?
歌詞表示はあると便利なんだとうだけど、自分には必要のない機能かなあ。そもそも動画以外は「ながら」使いが多くなるし…。
機器連携に関しては出来て当たり前のところも多いけど、国内でのiTunes名指しD&Dサポート宣言は驚き。個人的にはPS3の音楽アプリがもう少し進化してくれると嬉しいのだけれど…。
ちなみに、イベントではx-アプリの紹介が無かったので質疑応答にて突っ込んだところ、イベント終了後に歌詞の購入方法などを少しデモしてもらうことが出来ました。見た目も使い勝手もSonicStageそのもの。Moraの広告が入るのも変わらず。ジャケ写はGracenote経由で取得可能。歌詞データは著作権的に1データにつき転送できるのはウォークマン1台だけ。みたいな話を聞けた。ぶっちゃけ、なんだかなあなソフトです。そうだ、もうダウンロードできるんだよね。どうしよっかな。
あと、質疑応答でMedia Goの存在について聞いたけど、うまく言葉を濁されておわっちまいました。ウォークマンそのものがグローバルでサポートするファイルが違うし(Media GoはATRACをサポートしない)、ソフト開発維持の金の出所も違うしってことで、事はそう簡単でないのはわかるのだけれど、紛らわしいことは確かなんですよね…。個人的にはMedia Goの方が好みなので、ゆくゆくは統合してくれると良いなあって思ってますけど。
外にも色々と書きたいことがあったように思うけど、5日からのドタバタで忘れちゃいました。すいません。
てなことで、好き勝手書きましたが、こうしたイベントを催してくださったソニー、ソニーマーケティング、そしてWllvii関係者各位にはひたすらに感謝感謝でございますです。
そうそう、A840付属のイヤホンはXシリーズでもちゃんとノイキャンが使えましたよ~。
このレビューはWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」から招待されたイベントに参加して書かれています。本イベントへの参加及びレビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)。本イベントに参加された他の方のレビューはこちらのみんぽすTBセンターでご覧になれます。(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)