日経ビジネス オンラインに転載されたFINANCIAL TIMESのコラム。2年半に及ぶ構造改革を経て、失いかけていた独創性をいくらか取り戻し、自信を持ち始めているというソニーの今を解説。いまだにサイロが壊れないのが日本だというツッコミはさておいて、世界各国に散らばるグループ社員を団結させようとするスローガン「Sony United」の成否を占う試金石になるのが「PSネットワーク」なんだそうです。その「PS Network」の立案者が元アップルで今ソニーでソフトウエア開発の陣頭指揮を執るティム・シャーフ氏とか。PS Networkによって、「ソニーがエンジニアリング重視の企業から消費者サービス及びソフト開発に注力する企業に変われるかどうかが試される」とはアナリストの弁。ソフト開発への注力・集中が功を奏するかどうかは分からないが「同社が再びイノベーションを強化していることをソニーファンは喜んでいる」とのコメントもあります。また、最後に引用されたストリンガー氏の「東京にいて、日本市場を見れば世界市場の趨勢が分かると考えるのは非常に危険だ。これはもう正しくない」というコメントは、いまだにサイロが壊れないソニージャパンへのプレッシャーなんでしょうか…。
ソニーといえば、昨日こんな本(→)をゲットしました。経営コンサルタントの横田宏信氏が執筆した『ソニーをダメにした「普通病」という病』。ソニーで働いた13年間と経営コンサルタントとしてソニーにも関わってきた12年間を通じて、ソニー凋落の原因をひもとくという内容なのですが、あまりに面白くて一気読みしていしまいました。中からも外からもソニーを見てきた方だけに説得力がハンパじゃないです。タイトルからして暴露本的側面が多いように感じるかもしれませんが、実際は問題点の指摘のみにとどまらず、しっかりと改善策を提示しつつ、最終的にはソニーにエールを送っていました。個人的に印象に残ったのがRollyを引き合いに出したこのコメント。
Rollyに、本来ソニーが持っていた遊び心を感じる人は多いはずである。AIBOやQRIOの影を映し見る人も多いだろう。他の商品へのプラスの波及効果は、間違いなくある。Rolly自体が売れなくても構わない。「Sony United」として伸びていければ、それでよい。
上のコラムでは「Sony United」の成否を占う試金石は「PS Network」とされてますが、横田氏はRollyを旗印にすればよいとおっしゃっているんですね。いやー、面白いっす。ちなみに、有機ELテレビについても、「採算性はあまり考慮していない」とした井原氏の発言を引き合いに出して、「大変ソニーらしい」とおっしゃってました。
自分もRollyと有機ELテレビを実購入し大絶賛している口ですが、内から外から長年ソニーを見続けてきた方と同じ視点でソニーを見つめてこれたのかなあと思うとなんだかちょっぴりうれしいです。久々に何度も読み返したいと思った素晴らしいビジネス書でした。
てなことで、関係者はもちろんファンにも超おすすめ。是非読んでみてくださいませー!
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