コンベンション会場を後にしたSPAが向かった先は客室棟に用意されたセミナー会場。プロローグ編でお伝えしたように、自分が希望したセミナーは、14:30からのロケフリ、15:30からのフィールドスピーカー&ヘッドホン、16:30からのRollyの3つ。ということで、ここからはセミナーの模様を個別にレポートしていきます。まずは、ロケフリ編の後編としてロケフリセミナーの模様をレポートします。
セミナーは、今回発表されたハイビジョン対応ロケフリの商品説明、開発秘話的な内容を含む実機を使ったデモ、質疑応答という流れで行われました。会場前方にはプレゼン用のテレビとロケフリの受信機が接続されたデモ用のテレビが、後方に送信機とソース元のBlu-layディスクレコーダーなどが準備されていました。
冒頭の商品説明では、6本のセクターアンテナを搭載することでいかに安定したハイビジョン映像の伝送が可能かをパワポで解説。従来のベースステーションでは、2つの無線用アンテナを搭載しているそうなんですが、アンテナの指向性が広いため、希望波(クライアント機器とつながる電波ってことでしょう)と共に妨害波も受信してしまうことがあったそうなんです。今回の新製品はセクターアンテナ方式を採用。しかも6本という従来の3倍のアンテナを搭載することで、それぞれの指向性が狭くなり、妨害波の影響を受けにくくなることで希望波を安定伝送できるんだそうです。
以上のような前振りがあって実機デモに突入。受信機を接続したテレビに、Blu-layディスクレコーダーと接続した送信機の映像(007カジノロワイヤル)が映し出されたのですが、画を見る限りはワイヤレスで伝送されてきていることを意識させない十分なクオリティ。その辺はコンベンション会場でみたものとなんら変わりません。と、ここで解説が入り、今見ている映像は後方にあるBlu-layディスクレコーダーからの画ではなく、別室にもう1セット送信機器を用意していて、そこから伝送しているとのことでした。
自分が前編で確認できなかった、壁などの障害物があった場合でも安定伝送が可能なのかどうか、ということをこの場で証明してくれたことになりました。ホテルの客室の壁がどれぐらい厚いのかわかりませんが、他の部屋でも無線機器が多数使われていることを考えても十分な性能といえるのではないでしょうか。我が家のような、リビングと寝室が壁一枚で隣り合わせの間取りであれば間違いなく余裕でしょうね。
(参考までに、15日に会場に足を運んだ、ゆーじゅさんから「SPAさんの記事の中で電波の干渉について心配されていたので聞いてみたところ、10Mbps程度出れば問題なく再生出来る仕様なのであまり心配する必要はないのでは?とおっしゃっていました。遮蔽物も6本のアンテナで良好な電波を選択しながら繋いでいるので無線LANが使える環境であれば大丈夫では?とのことでした。」とのご報告もお知らせいただいています。ご丁寧にありがとうございました!>ゆーじゅさん)
さらに驚いたのは次に行ったデモ。なんと、送信機に強制的に電磁波を浴びせ、セクターアンテナがどういう動きをするかをお見せしようというのです。電磁波を送出する機器は大人の事情があって、白布で覆われ見えないようにしてありましたが、そこから伸びたポールから至近距離でロケフリ送信機めがけてノイズを浴びせかけるという反則技(<販促技かも?)。
ただ、ロケフリ自体は見たまんまのブラックボックス。本体カバーを外してアンテナを露出させたところで、どのアンテナが受信機とつながっているかわはわかりません。そこで用意されたのが、このデモのために開発したというアンテナと連動するLED付きの回路。これを送信機の上に装着して、実際に受信したアンテナがどれかを視覚的に見せてくれるというわけです。もう、そこまでやるかー。でも、すげーです。
従来のPK20と専用ロケフリモニターの組み合わせの後にHome HDで実演するという順番で、前者で試したときは障害によってモニターから出ていた画は瞬く間に消えてしまいました。その後のHome HDでは、障害波を放出後は最初の方は受信機側にまったく影響が出ずに、アンテナがこんなに優秀だったっけ?と関係者が驚く場面もありました。が、実は送出機器側のコンセントが抜けていて電源が全部落ちていたみたいなオチ(?)もあって、それが逆に場が和む要素になったりしました。とまあ、色々ありましたが、受信機側の障害が見て取れてからは、アンテナが切り替わる様子も確認できましたし、切り替わった後の受信側の再表示までの時間も非常に短かったように思いました。6本のセクターアンテナ搭載はダテじゃないということをこの実験を通じて証明してくれたということです。
下の画像はロケフリ Home HDの送受信機それぞれの背面です。すでにWebなどでも画像は出ていますが、従来のロケフリとは色々と違う点が見受けられます。受信機にD端子の切替スイッチ、送信機にワイヤレスチャンネル切替スイッチが用意されているのは、今回のロケフリが単体のシステムであることを象徴していますね。また、今回初めて受信機にUSB端子があることに気がついたのですが、質疑応答の時間に質問してみたら、これをファームのアップデートに使うらしいんです。それもポケットビットなどのUSBメモリー経由になるそうです。なるほどなあ。でもなんで送信機側になくて受信機側にあるんでしょうね。今気がついたので理由はわからずじまいですが・・・。
こちらはロケフリ Home HDに付属するリモコンですが、これまた立派なものが付きましたよー。ソニーのテレビに付属する一般的なリモコンに近く、サイズもそれなりです。送信側がソニー製ならそれらに付属するリモコンと同様の使い方が出来そうです。また、任意の機能を割り当てられるFキーが4つ用意され、活用の幅がさらに広がりました。この他、PK20から採用されている各種学習リモコン機能もあり、他社製品であってもバリバリ使えるのは従来どおり。ソニーでは実際にたくさんの他社製リモコンを入手して、設定をデータベース化しているようですよ。いやはや、ご苦労様です。
最後の質疑応答の時間では、色々な意見が飛び交ってました。後で気がついたのですが、このセミナーにはCNETのブログなどでご活躍中の渡辺聡さんやクロサカ タツヤさんが参加なさっておりました。セミナー開催前からやけに難しそうな話をしている人たちがいるなあと思っていたのですが、それが彼らだったとは・・・(実はこの時に初めて安倍総理退陣のニュースを知ったのでした)。ちゃんとご挨拶しておけば良かったと反省することしきりです。
ちなみに、渡辺さん達のSDCレポートは彼らのニュースクリップサイト「techviews.jp」で読むことができます。簡潔なレポートですが、一介のソニーファンとは視点が異なるところもあって大変興味深いです。なお、今回のイベントでブロガー招待枠が用意された意図や目的などについて、SMOJ御子柴課長さんが彼らのインタビューにこたえていらっしゃいました。ご参考まで・・・>Sony Dealer Convention2007+マーケッターインタビュー
質疑応答で自分がたずねたのは、先述のUSB端子の件以外に、Home HDを含む複数台のロケフリが混在した場合は問題ないのかということと、AVマウスのワイヤレス化は検討していないのかということ。前者はそれぞれのベースステーションが干渉しないようにワイヤレスチャンネルを設定してあげればまず問題ないでしょうとのことで、後者は技術的に不可能ではないので今後の検討課題としたいとのことでした。
このほかにも色々と突っ込んだ質問をすれば良かったんですが、撤収作業や次のセミナーの準備もあるのでやめました。個人的には、日本独自の大人の事情を鑑みつつも、ロケフリの世界に見事にハイビジョンを持ち込んだソニーの技術陣に拍手を送りたい。そんな気持ちになったロケフリセミナーでした。
次回はヘッドホンセミナー編の前編として、「パーソナルフィールドスピーカー」についてレポートしたいと思います。