軽さや薄さ、ワンセグチューナーが何かと話題の新型PSP「PSP-2000」ですが、忘れちゃいけない新機能に「PSP on TV」があります。オプションのAVケーブルで、普段はPSPの液晶に映る画面(映像)をテレビに映すという単純明快な機能。一部のケーブルがゲーム画面出力に対応していないものの、XMB対応のHomeなどのシステム画面、静止画、音楽ファイル、Webブラウザなどは言うに及ばず、UMD Video、ロケフリ、ワンセグといった動画も、ケーブル一本で手軽にテレビに出力できるのです。同様のことができる製品としてはiPodやワンセグケータイなどもありますが、PSPほどの自由度はありません。
ケーブルの種類は、映像出力が黄色い端子のAVケーブル、同S端子のSビデオケーブル、同D端子のD端子ケーブル、同RGBが3本のコンポーネントAVケーブルの4種類で、つなぎたいテレビの仕様にあわせてケーブルを選択することになります。クオリティの違いについては自分がここで説明するまでもないので割愛しますが、AVケーブルとS端子ケーブルはゲーム画面の出力に対応していませんので購入の際はその点に注意が必要かと。ちなみに、自分が購入したのはD端子ケーブル。これはD端子入力(D1~D5)のあるテレビで使えます。ケーブル長は約2.5mで、想像していたよりも太かったです。本体に接続する端子はPSP-2000専用の独自仕様なので、初代PSP(PSP-1000)では使えません。
ということで、早速テレビにつないでみます。我が家のリビングにあるWEGAはD端子がふさがっていたので、寝室のBRAVIA(20インチ)のコンポーネント端子につないでみました。つなぐ前にPSPの設定メニューから「外部ディスプレイ設定」を確認。「テレビタイプ」は16:9、「コンポーネント/D端子出力」はプログレッシブを選択、というかこれがデフォになってました。映像を出力の切りかえは同メニューの「映像出力切りかえ」を選択して決定ボタンを押す方法と、本体のディスプレイボタン(PSPロゴのすぐ右にあるボタンです)を長押しする方法があります。PSPの画面に切りかえたことを表すアイコンが出るまでがちょっと長いので、テレビにPSPの画面が映るまで押しっぱなしにするのがコツみたいでした。
我が家のBRAVIAは解像度が1366×768なのですが、PSPのホーム画面は自動的にフルスクリーンモードで表示されました。画像ではわかりにくいかもしれませんが、PSPの画面がアップスケールされて過不足無くそのまんま表示されています。少々眠たい画にはなりますが、20インチのテレビということもあって、さほど気になりません。所詮はホーム画面ですもんね。ということで、個別の機能でどうなるかを次々に試してみました。
まずは、ワンセグ。ワンセグ自体の仕様が仕様だし、PSP-2000の液晶でもつらいと感じたこともありますが、まあ、そんなもんだよね、ぐらいの印象。そもそもが、地デジが見られるBRAVIAにつなぐ意味がありません。とはいえ、アナログテレビが現役とか、チューナーを内蔵しないモニター専用テレビなどを使っている人には意味のあるつなぎ方と言えそうです。もちろん、番組表やデータ放送の表示も可能です。
【参考】データ放送にも対応した新PSPのワンセグを検証-通信と併用でワンセグがほぼフル機能に(AV Watch)
次にUMD Video。手元にあるチャリチョコで試してみましたが、これはなかなかいけてますねー。当然フルスクリーンもOK。これも20インチクラスのテレビだからなんでしょうけど、WEGAで見るDVDと大差ない感じ。こんな形でUMD Videoの実力を実感するとは・・・。ちなみに、モードの切りかえはノーマルとノーマル(85%)の二つだけでした。
次はスゴ録のお出かけファイル。画像ははAVC Mainの768のものですが、384のもの含め、フルスクリーン表示が可能でした。ワンセグほどではないですが、全般的にジャギってる感じ。動きの多い映像だとつらいかもしれません。それでもまあ十分許容範囲というか、見られなくはありません。どうしても気になるならオリジナルに切り換えても良いですしね。
お次はロケフリ。BRAVIA側はフルスクリーンなんですが、四隅に余白ならぬ余黒が発生。画面はハイビジョンスゴ録の画なんですけど、ベースステーションのアナログ映像も同様に余黒が表示されちゃいます。PSP側で表示を切り換えても同じ。映像のクオリティはUMD Video未満ワンセグ以上といったところか。
最後がゲーム。ホーム画面の状態からPSP本体では表示されない余黒が発生。起動直後に表示されるPSPロゴ画面にも余黒が。ゲーム画面は、現在プレイ中のCCFF7なんですが、ご覧の通りフルスクリーンでは表示されません。BRAVIA側も勝手にズームモードに変わってました。これだと少々縦長で気持ちが悪いので、BRAVIA側のモードを色々と切り換えてみました。でも、どのモードもPSPと縦横比が一致せず、微妙な画角になってしまいます。強いて言えばワイドズーム(&字幕入り)がPSPの画面に一番近いでしょうか。どんな理由でこういう表示なるのかはわかりませんが、ゲーム画面もできるだけフルスクリーンで楽しみたいので、アップデートで対応してくれることに期待したいです。ちなみに、一番右下の画像はWebブラウザですが、こちらも余黒が発生しています。また、これ以外にもPS3のリモートプレイ画面を出力できるはずですが、今回は検証できなかったので割愛します。
以上のように、D端子とコンポーネントケーブルなら、あらゆるコンテンツをテレビに出力できるようになったのが新型PSPなのですが、今回色々検証してみてですね、なんかとてつもなくスゴイ事なんじゃなかろうかと自分は思い始めています。PSP単体でできることももちろんスゴイんですけど、ビデオアウトが可能になったことで、広義の意味での最強のロケーションフリー端末になってしまったんですよ、PSPが。これはさすがにクリエもできませんでした。ウォークマンやmyloにしても言わずもがなです。
ロケフリのクライアントでTVボックスがありますけど、映像のクオリティさえにしなければ、PSPとケーブルの組み合わせで十分その代わりになっちゃいます。もちろん、Wi-Fiの電波が届く範囲でという制限こそありますが、自宅にテレビが複数あっても、PSPとケーブルを持っていくだけでロケフリできちゃいます。TVボックスもさほどかさばるモノではありませんが、なにはなくとも電源が必要です。バッテリー駆動のPSPならそれがいらないと。ちなみに、ソニスタではTVボックスの値段が22,800円。対して新型PSPが19,800円、D端子ケーブルで2,800円ですから、両方足すと見事なぐらいにTVボックスの値段に近づきます。
もちろん、UMD Videoやお出かけスゴ録にしても同様のことが言えます。旅行先や出張先など、出先に(モニター)テレビさえあれば、ひとりでもみんなでもコンテンツを楽しめるんですから。さらに、出先でWi-Fiが使える環境なら、ロケフリやPS3のリモートプレイもできちゃうわけです。
てなことで、今更ながらPSPの持つパフォーマンスに驚いてしまいました。PS3がゲームにコミットする戦略に転換する一方で、PSPはゲーム以外の機能がこれまでにないほど充実してきました。久多良木さんの21世紀のウォークマンという発言は、ちょっと微妙というか、そういう範疇にすら収まらなくなってきたのが今のPSPなんじゃないでしょうか。
PSPも基本はゲーム機というスタンスは変わらないのかもしれませんが、これだけのことができるなら、クリエっぽいオトナ向けのPSPがあっても十分アピールできるのではないかと思います。個人的には思い切ったバリエーション展開に期待したいです。
そんなこんなで、個人的にはPSPが断然面白くなってきたと思うのですが、そんな風に感じているのは自分だけなのかなあ・・・?
(このエントリーをサイトにアップする前に、ソニスタがプレステのハード・ソフトの取り扱いを開始。タイミングが良くてびっくりです。今後はPSPと他のソニー製品との連携を強力にプッシュしてくれることでしょう。期待してます!>PlayStation(ソニスタ))