新ウォークマンA誕生秘話・インタビュー<中編> - ウォークマンは“動画再生機能”を加速させるのか?
AV&ホームシアターNews、前編に続き、ウォークマンA800シリーズの誕生秘話の中編が公開されました。木野内氏がウォークマンA800シリーズの動画機能の魅力を、吉岡氏が今後のオーディオ機器の動画対応についてのビジョンを語っています。
【木野内氏】
・アップルのiPod用に作成されたビデオキャストもすべてでは無いがそのほとんどに対応している。ユーザーの利便性を優先するなら、すでに多くのコンテンツが存在するiPod用の動画にも対応する必要があると考えた
・使い勝手を考えると「おでかけ・スゴ録」機能は対応したかった。A800が対応しているのは「AVC Baseline Profile」。スゴ録の「AVC Main Profile」は画質が良いが再生には専用の回路が必要になり本体のサイズアップにつながるため今回は見送った
(これに対し、インタビュアーのケースイさんは、ソニーのレコーダーがBaseline Profileに対応すればA800シリーズでも「おでかけ・スゴ録」が使えるようになるはずとして、“今後同社が掲げる“ソニー・ユナイテッド”の商品戦略の実現に期待したい”とコメントしています)
【吉岡氏】
・A800の動画再生機能にユーザーがどう反応するか、どう使ってもらえるのか、その様子をうかがいたい
・今後コンテンツを充実させるには、コンテンツホルダーやサービスプロバイダーの協力が不可欠要素
・A800は、まず一番に音楽を楽しむためのオーディオ機器。“良い音が楽しめるプレーヤー”という本質がぶれないように開発(PDA機能やゲーム機能も盛り込んでしまうと何を楽しむための製品なのかがわからなくなる)
・A800シリーズは予想に反して8GBモデルの売れ行きが好調で驚いている。動画に限らず、音楽をより高音質で記録したいというユーザーにも共通していると思う。そのため、大容量モデルの開発に早急に取り組んでいる
・これからは大容量モデルにおいてもフラッシュメモリータイプが主流
また、ITmedia +D LifeStyleにも吉岡氏のインタビューが掲載されています。こちらはウォークマンを中心にソニーのオーディオビジネス全般に関わるお話し。
・着任から数カ月の間はコネクトの立て直しに注力した。コネクトは当初、ひとつのエコシステムを作り上げるという目標を掲げたが、「オーディオ」という本来の事業に回帰させることにした
・まずは「ウォークマン」というブランドを活かしていこうと決めた。名前が古いという意見もあったが、結果としては使うことでソニエリケータイのヒットに結びついた。その経験からもウォークマンという資産は継承していこうと思った
・「ソニーの強さとは何か」を原点に返って考えてた。オーディオのものづくりを進めていく上で、失ってはいけないのはなによりも「音質」。それを忘れてはいけない
・ソニーのオーディオがイコール高音質という言葉でつながるイメージを持ってもらうことが大切
・PCレスの提案は今後強化したい部分。ウォークマン用のダイレクトエンコーディングケーブルは予想を上回る売れ行き
・ウォークマンとしては音楽を楽しむ専用機、スタンドアロンのデバイスとしての存在感を高めていきたい
・音質の追求も大切だが、「どこでも聴ける」、「曲を探す手間がかからない」といった利便性の追求も今後は強く求められるのではないか
・絶対に忘れてはいけない部分である「高音質」をベースに「感覚的なよさ」を加味し、さまざまなユーザーへ最適な製品を展開していくことが目標
高音質と快適な操作性、利便性。それらがスタンドアロンで実現できれば、ウォークマンケータイや21世紀のウォークマンを標榜するPSPなどにも喰われることは無いということなんでしょうか。ノンPC製品ではネットジュークとの連携強化もさることながら、ウォークマン単体でネットワークサービスへ対応なども視野に入っているのかもしれませんね。とりあえずはA800が売れて、ユーザーからのたくさんの要望を吸い上げた上で、次にしっかりと繋げてくれることを期待したいです。
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