「アップルを意識しすぎず冷静に」吉岡オーディオ事業本部長が語る「ウォークマン再生」
西田宗千佳さんのRandomTrackingにウォークマンビジネスの責任者でコーポレート・エクゼクティブSVP兼オーディオ事業本部長の吉岡浩氏へのインタビューが掲載されています。同氏が現職に就いた頃の状況やウォークマンA800シリーズの開発背景はど、大変興味深い内容になっています。注目すべきポイントはこんな感じでしょうか。
・冷静になって、基本に帰る(「ソニーとアップルではお互いに持っているものが違う」というのが基本)→・ソニーを求めるお客様はもっと広い
・音質を良くするのは当たり前の話
・初期のS600購入者のうち、3割から4割がダイレクトレコーディング・ケーブルを買っていた=パソコンを使わなくてもいい商品を求めている方が多い
・操作の快適さを求める声が大きくなっているのは事実→(新プラットフォームの導入の)狙いは、ユーザーインターフェイスの高度化→開発の基盤から見直し
・短期的には、VMEを使ったスタミナ系の存続もあるが、今後の方向性としてはA800系プラットフォームへの統合を進めている
・現時点ではHDDを使うつもりはない。理由はフラッシュメモリの進化が著しく、よほどのことがない限りフラッシュメモリで対応可能だから
・ムービーをメインとしたウォークマンの商品作りはまだ行なわれていないが、市場で長編映像のニーズが高くなるならそれにみあう修正を加えていくだけ→、新プラットフォームはパワフルで容易に対応できる
・(音楽、映像ソフトについて)現時点では統合の予定はない。むしろ、現在の状況では統合がプラスになるとは思えない→ニーズそのものにばらつきがある。下手に統合するより、様々なルートに対応できる柔軟な環境を用意しておいた方がいい
・アップルのソフトは昨日今日出来たものではない。失敗の積み重ねの上にある。iTunesだって5年かかったんだ。それが『明日にはできる』なんて勘違いするな。一歩ずつやろう(元アップルでヘッドハントされたティム・シャーフ氏の口癖とか)
ダイレクトレコーディング・ケーブルに関するエピソードなどは非常に面白いですよね。また、今後はHDD搭載機を出さないとする判断も今ならうなずけるものがあります。何より、A800が好調というのは嬉しい限り。追い風にもなりますしね~。新プラットフォーム採用による、商品の幅の広がりにも期待したいです。この調子で、頑張ってください!>ソニー・ウォークマン部隊の皆さん
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