ソニー中鉢社長が出演した「経済羅針盤」についての覚え書き

ソニーの中鉢社長が生出演した今朝のNHK「経済羅針盤」について、非常にざっくりとした覚え書きをば。ご覧になれなかった方のためになれば幸いです。

ソニー復活はテレビから
cyubachi.jpg家庭のリビングの中心は今も昔もテレビ。ソニーのテレビを茶の間においていただくために、最高品質の画像と音声をお届けするのがソニー技術者のプライドであり誇り。価格競争は激しいが、品質、信頼性に加速度をもって応えていきたい。サムスンとの合弁会社のつくるパネルは価格的にも競争力があるがパネルだけでテレビはできない。部品技術やトリニトロン時代から培ってきた回路技術を合わせた総合力で価格と品質のバランスを追求したのがソニーパネルということらしいです。

不採算の15事業の縮小・撤退について
具体的な内容は発表できるものはないが、粛々と進めているとして、いずれ順次発表できるとしていました。

成長戦略について
2007年度の営業利益4%は高い目標であるが実現可能。そこに至る道筋は作成しているので粛々と進めることで達成したいとのこと。

現場との対話を重視する理由
より深く広い現場との対話、コミュニケーションが復活のカギ。一宮のテレビ工場を訪問時には、モノが十分にある時代、お客様にソニーを選んでもらう必要があると力説。苦しいときもあれば楽しいときもある。自分で現場に足を運んで、社員の表情、モノの置き方、整理整頓の状況、靴の脱ぎ方一つから、いち早く見抜いて問題を解決していく。今すぐやらなければいけないことは社員全員の心のV字回復とか。

ヒット商品が出ない理由
冒頭、ウォークマンAをデザインした森澤氏のインタビューや渋谷の50時間ダンスイベントの映像を紹介。世界のソニー、技術のソニーという根強いブランドを裏切り続けたらソニーの存続はない。ゼロベースで原点に立ち戻って、技術を仕込み、お客様の声を聞き、驚き、感動を提供していきたい。技術が優れていても顧客が求めるモノでなければ売れない。お客様の潜在的なニーズに応えるだけでなく、もう半歩先の期待を上回る製品を出していかなければ納得してもらえないメーカーだとしていました。

ソニーらしさ
HDで繋がる商品群を作れるのは強み。今までに見たことのない綺麗な映像・音声の感動を時間と空間を超えて分かち合う商品群を期待する。かまわずに技術を追求していく商品を出していくソニーらしさの悪い面のエネルギーを消費者視点で出していけばヒット商品に繋がるとハイビジョンハンディカムの好調を例に説明。自由闊達さというソニーのDNAを活かしながら顧客目線で商品を作っていくことですね、と最後にアナウンサーがまとめていました。

以下、雑感。


社長就任時の記者会見やインタビューから何一つ変わらない一貫した、顧客視点、現場との対話がカギという中鉢社長のメッセージが印象的でした。時折見せる笑顔にかつてのカリスマトップにはない親近感を覚えました。元々地味が印象もあったのですが、意外に熱弁を振るう方なんですね。実直さは一般ピープルの自分にも伝わりましたよ。ただ、ウォークマンAにスポットを当てすぎていたのが心配でした。あのソフトがお客様目線でつくられているとはとうてい思えないんですよね…。

関連して、タイミング良くソニーパネルにまつわる話題について投稿いただきました。いただいたのは日経ビジネス最新号の「再編促す年末テレビ商戦 焦るソニー、シャープと松下が大画面で激突」という記事についてで、2ちゃんねる経由とのこと。以下、その抜粋です。感謝です>hogeさん。

ソニーの「稲沢産」とは何?ブラビアの売り場からはソニーの焦りも透けて見える。その象徴が、値札の横に張られた「愛知県稲沢産モデル」と書かれたビラだ。薄型テレビの”産地”をブランド化する取り組みは、シャープの「亀山産」が元祖である。液晶パネルからテレビまでを一貫生産している三重県の亀山工場をブランド化し、「国産だから高品質」というイメージを打ち出した。一方、ソニーはパネルを韓国サムスン電子との合弁工場から調達し、稲沢工場でテレビに組み立てている。一貫生産ではないにもかかわらず、「シャープの物真似」とも思われかねない産地表示作戦に打って出たのは、なんとしてでも”韓国製”との印象を払拭したいという、ソニーの崖っぷちの状況を示している。

hogeさんは、「シャープの二番煎じにもかかわらず、魚介類の産地偽装と変わらないやり方の偽装がとても寂しい」とおっしゃってます。

経済羅針盤での中鉢社長のコメントにもあるとおり、ソニーパネルはあくまで液晶テレビのデバイスのひとつだとすれば、国内の工場で最終完成品として送り出すことになり、「稲沢産モデル」という呼び方もあるのかもしれませんが、さすがにちょっと厳しいかなあという印象ですね。社長がお客様目線をアピールする裏側で、販売の現場が暴走しているとでも言いましょうか。ウォークマンにも近いモノを感じますが、中鉢社長はマーケティング担当者ともコミュニケーションが必要なのかもしれませんね…。