昨日、山下達郎さんの7年ぶりのニューアルバム「SONORITE」が発売になりました。いや~、いいっすね~。Amazonでもトップテン圏内を維持するなど、セールスも好調なようです。先々月ぐらいからFM東京系列の「サンデー・ソング・ブック」を(NetJukeで録音してPodcasting風に)聞いていたので、ニューアルバムのコンセプト、収録曲、レコーディングのちょっとした裏話は達郎さん本人の語りで知っていたのですが、今日、書店で見かけたサンレコ(Sound Recording Magagin)10月号で達郎さんがフューチャーされていたので買ってきました(表紙も歌入れしている達郎さんです)。
内容は達郎さんとエンジニアの中村辰也さんへのインタビューで構成されているのですが、やはり必見は達郎さんインタビュー。なんと、今回のレコーディングは長年愛用していたという、ソニーのレコーダー「PCM-3348」をDigidesignの「Pro Tools」に替えてレコーディングに望んだのだとか。「アレンジのかなりの部分を決めるのって機材なんですよ」と言う達郎さん。かつて「Pocket Music」でデジタルレコーディングに果敢にチャレンジした達郎さんですが、今回は当時とは比べものにならないぐらい変化なのだとか。そのため、音づくりも相当大変だったみたいです。
そういったご苦労はご本人や業界関係者、そして一部のオーディオマニアぐらいにしかわからないことなのかもしれないけど、できあがったアルバムのクオリティは素晴らしいの一言。達郎サウンドの代名詞とも言える、テレキャス(だよね?)のカッティングが印象的な「MIDAS TOUCH」から始まり、KinKi Kidsに提供した「KISSからはじまるミステリー」のセルフカバーへと続く流れが個人的にはものすごく気に入ってます。この「KISS~」、なんとケツメイシのRYO氏がラップで参加している話題曲。若い人たちへのアピールも忘れないあたり、達郎さんの懐の深さを垣間見ることができます。その他、すでにシングルとして発表された曲が多数収録されていますが、どれも粒ぞろいで飽きのこない曲ばかり。夜にヘッドホンで聞いて欲しいというだけあって、大人の音楽って感じです。
それはそうと、サンレコのインタビューで、先述のソニーのレコーダーを使い続ける選択肢はなかったのか、という問いに対して達郎さんが、
だって、SONYが昨年いっぱいでサポートを終了してしまったもんだから。今後はヘッドの交換もできないし、テープももう作らないと言っている。ひどいよね。
と答えていました。別にソニーに限った話ではないのですが、昔から使い慣れた機材を、長く大事に使っていきたいと思っても、それができなくなってしまうという事態が起きているのですね。ソニーの業務用機器ってプロの現場での信頼が厚いだけに残念な話です。
それと、サンレコ10月号には「音楽流通の現状」と題した特集も組まれていて、アマチュアミュージシャンがビジネスとしてCDショップに作品を置いてもらったり音楽配信サービスで楽曲配信をするにはをどうすればよいのかなどを詳しく紹介していました。iTMSで作品を配信できるのか、なんて記事もあったりします。他の記事でおもしろかったのがナイル・ロジャースのインタビュー、というかCHICの「おしゃれフリーク」誕生秘話。あの大ヒット曲が生まれた背景にはそんなことがあったのね、って感じです。興味のある方は是非~。