ソニー、中期経営方針を発表~カンパニー制は廃止

ソニーグループ 中期経営方針(2005年度~2007年度)(Sony Japanのプレスリリース)

ソニーは2005年度~2007年度の中期経営方針を正式に発表しました。エレクトロニクス、ゲーム、エンタテインメントの三つをコア事業と位置づけ、競争力向上と経営体質強化に向け以下の施策を実行。とりわけ、エレクトロニクス事業の復活を最優先課題として、機構改革を実施、構造改革と成長戦略を推進することにより、2007年度に連結営業利益率5%(エレクトロニクス4%)、連結売上高8兆円以上のグループ企業になることを目指すとしています。

・改革の重点項目はエレクトロニクス事業の組織の大幅改組で、重要分野の意思決定権限をエレクトロニクスCEOに集中。
・現行のカンパニー制は廃止し、各事業本部が相互に連携しながら、それぞれの事業領域に集中できる体制を確立。
・商品戦略、技術、資材調達、生産、販売・マーケティングの重要領域においては、横断的な連携の仕組みを強化し、製品分野を超えた意思決定の迅速化、全体最適化を図る。
・共通ソフトウェアの開発、設計や商品開発での重複の排除、研究開発投資の効率化を実現。
・構造改革により2007年度末までに2,000億円のコスト削減を実現。
・不採算事業・非戦略事業の収束、モデル数の削減、製造拠点の統廃合などを軸に推進し、全世界で1万人のグループ人員を削減。
・保有する不動産や株式、非戦略資産等を見直し、2007年度末までに1,200億円相当を売却。

また、成長戦略においては、エレクトロニクス事業のリソースをHD関連商品群、モバイル商品群、およびこれらの商品の差異化につながる先端半導体、デバイスの開発・製品化に集中的に投入し、競争力強化と収益性向上を目指すほか、Cellプロセッサを活かした新しい技術、商品、アプリケーション開発を行うための組織をCEO直轄組織として新設するとしていました。

個人的に目にとまったのは以下の内容。

エレクトロニクス事業の成長戦略
2.インテリジェントにつながる製品群への集中

デジタルAV機器が通信・ネットワーク環境下で活用される中、新しいアプリケーションの提案が可能となります。具体的には、個人のコンテンツを個人で楽しむだけでなく、ネットワークを介してコンテンツを共有し、感動を共有すること、自動的に個人の嗜好に基づきコンテンツをアレンジすることなど、様々な楽しみ方の用途が今後拡大していきます。これを新たな成長領域と捉え、ネットワークとの親和性を高め、「共感」=「感動を共有する」商品・アプリケーションを強化していきます。

グループ融合戦略
「モバイルエンタテインメント」の追求

携帯型オーディオ領域でのリーディングポジションを確立するとともに、今後音楽のみならず映像、ゲーム、書籍などのコンテンツがネットワーク上に展開していく中で、ウォークマン、携帯電話、プレイステーション・ポータブルなど操作性の高いモバイル機器とアプリケーションソフト、豊富なコンテンツを備えたサービスを開発し、ソニーグループの総合力を活かしたビジネスの立ち上げを目指していきます。

ソニーファンのひとりとして、有言実行を期待しております。なお、リリース内では「15の特定ビジネスカテゴリーを抽出し、収束、縮小、他社とのアライアンス、事業売却などを実行します」と書かれているだけで、具体的な事業名は出ていません。噂のロボット事業やQUALIAビジネスからの撤退についてはメディアの報道などで明らかになると思いますので、関連ニュースとして適宜追加していきたいと思います。

また、同時に発表された2005年度連結業績見通し修正で2005年度の営業利益が300億の黒字から一挙に200億円の赤字になることが明らかになりました。構造改革費用の増加原因の一つに、「日本を中心とした早期退職費用の追加」があげられていますが、ある意味、優秀な人材の流出が相当数行われたと見ることもできるわけで、今後の同社の業績回復が一筋縄ではないことも予想できますね…。


【関連リリース・ニュース】
人事 機構改革(Sony Japanのプレスリリース)
2005年度 連結業績見通し 修正のお知らせ(Sony Japanのプレスリリース)