経営トップ刷新だけでソニーは本当に生まれ変われるのか

今回のソニーのトップ入れ替え人事ですが、記者発表に詰めかけた報道陣の多さが象徴するように、日本中のありとあらゆるメディアがニュースとして取り上げていましたね。IT系のメディアで、アップルとソニーネタがアクセスを稼げるなんて話もありますし、言葉は悪いですがやはり「腐ってもソニー」なんでしょうか。大手マスメディアの報道や株式市場でも概ね評価されているようです。

そんなまわりの評価とは裏腹に、自分の中では今回の人事程度で本当にソニーが復活できるのだろうかという想いがあります。現在の経営者の舵取りの失敗は、ヘッドクオーターがカンパニーを統率できなかったということであり、言葉を換えればカンパニーの暴走を防げなかったとも言えるのではないかと感じるのです。


ソニーは、21世紀当初、意志決定を迅速にするために10あったカンパニーを5つに統合し、カンパニーのトップが単独で決済できる投資の上限額を10億円から100億に引き上げたと聞いています。経営はスピードが命みたいなことがまことしやかに語られましたが、それにしても100億という額は桁外れです。全体を見ればソニーというひとつの会社でも、実際は5つの社内ベンチャーを互いに競わせていたともとれます。しかし、本社の決済無しに100億の金を投資できる組織がこの約5年間でどんな製品をヒットさせたというのでしょうか。

また、これからはネットワークだとばかりに様々なネットワークサービスを生み出しましたが、気がつけば無くなっているサービスがどれだけあるか…。残っていても風前の灯火となっているものが大半のような気がしています。そして、それらのサービスの多くは大規模なシステム構築を必要としていて、そこにはすでに莫大な投資が行われているはずです。そして、莫大な投資に見合うだけの収益をどのサービスもあげていないと思うんです。

何が言いたいかというと、カンパニーの上層部にいる偉い人たちにも大いに責任があるのではないかということです。ソニーという会社はよく言われているようにベンチャー気質があるため、普通の会社なら更迭となるケースでも、比較的楽に一から出直せる人事が行われていると聞きます。そこがソニーの良いところらしいのですが、これからもそのままでよいのでしょうか。某カンパニーを例にとれば、究極の製品を作ると豪語しておいてユーザーを置き去りにした偉い人や、パソコン新章を高らかに宣言したものの市場から厳しい現実を突きつけられたさらに偉い人の舵取りにだって問題があるはずなんです。結果的にそういう偉い人を束ねるもっともっと偉い人たちの能力が問われ、今回のようなトップ人事が行われたのでしょうが、フツーの偉い人たちが変わらなければ結局根本的に何も変わらないのではないかと漠然と思うんですよね…。

部外者でつまらないソニーファンの戯れ言なので結論と呼べるものなどありませんが、一つだけ確信を持って言えることがあるとすれば、明日のソニーはストリンガー氏や中鉢氏が作るのではなく、現場の第一線で働く社員の皆さんが作るのだということ。上司が無能なら、経営トップに直談判するぐらいの勢いで突き進んで欲しいっす。身勝手なソニーファンの想いですが、ソニー社員の皆さんへのエールということでとらえていただければ幸いです。

(素っ頓狂なことをいってるかもしれませんが、アホな1ソニーファンの空想と言うことでお許しを…>ソニー関係者の皆様)