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2007年9月20日

Sony Dealer Convention 2007 視察レポート(13)~その他もろもろ編

今までは、SDC2007の視察を実際にSPAがとった行動に則してご紹介してきたわけですが、今回は少々おもむきを変えて、ウォークマンS710シリーズiconに対しての個人的な感想とSDCのセミナー終了後に担当さんをとっつかまえて聞き出したヘッドホン新製品についてご報告します。「その他もろもろ」というタイトルが象徴しておりますが、いいかげん記憶も薄れてきたので、かなーり手抜きです。すいません!

なお、このレポートの最後に、今回の日本でのSシリーズ発表後にいただいた読者の方からのご意見を載せています。ソニーの関係者におかれましては、是非、そちらにも目を通してくださいと、ここでお願いしておきます。

ウォークマンSシリーズ新製品について

まずはウォークマンSですが、パーソナルオーディオ編で書いたとおり、コンベンション会場では撮影するだけでもう一杯一杯でしたので、今週頭の連休最終日に銀座ソニービルで改めて実機に触ってきました。なので写真が入り乱れてしまいますが、その点はご了承を。

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欧米での先行発表でのATRAC非対応宣言(?)は衝撃でしたが、SDC開催直前に日本で正式発表された新Sシリーズは、ATRACを捨てず、しかも付加価値としてノイキャン搭載やPCM対応してきたことは、当サイトをご覧の皆様であれば周知の事実でございます。本来ならば、Sシリーズの詳細よりも前に、なぜ、今回ソニーが日本市場向けの製品に限って、従来通りATRACを採用したのかを突っ込まなくてはならないところなのではありますが、何分にも時間が無く、その場では確認できませんでした。

ただ、人づてで聞いた話ですと、「ウォークマンは日本生まれの日本育ち。日本のユーザーを苦しめるようなことはできない」というようなことみたいです。いずれそのうち、大手メディアがSシリーズのレビューと絡めて開発者インタビューを載せるものと勝手に思ってますので、その段階で公式な見解が明らかになるのではないか思います(他力本願モード再び)。

ということで、まずは個人的な新Sシリーズの実物を見た&触った感想。先行発表されていましたし、欧米のオフィシャルサイトで外観や作りはすでに確認できていたわけですが、実際に手にしてみるとこれがまた随分と違いました。「小振りで意外に軽い」というのが第一印象。実際の重さはA800とあまりかわらないし、厚みはA800よりもあるんですが、縦が短いのと、Rがかったボディのせいなんでしょうね。持った感じもとてもしっくり来ました。

欧米モデルとの外観の違いは、ノイキャン搭載による本体のヘッドホンコネクタ部分。S710はA800よりも筐体に厚みがあるので、ノイキャンもなんなく収まったんだろうなあと思っていたのですが、実際はコネクタの部分が少し盛り上がっており、すんなりと収まったわけではないんだなと推測されます。とはいえ、ノイキャンのON/OFFスイッチが設けられただけでなく、5極対応の専用ヘッドホンのコネクタ部分が短くなったり、ヘッドホンコードのバランスが調整されたりと、旧Sシリーズでユーザーから指摘されていた点などが改善されているのには驚きました。(コードについてお知らせ感謝でした!>現さん)

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また、FMチューナー搭載や専用ケーブルによるダイレクト録音への対応などもあり、A800と比べてホームのメニュー構造にも変更が加えられています。画像をご覧いただければおわかりの通り、ホームに「FM」と「録音」メニューが追加されています。録音は、ATRACのビットレートを変更できるんですね。また、ノイキャンも効きを調整できる設定項目が追加されるなど、旧SシリーズのみならずA800をも超える使い勝手の良さを実現しているように思えます。細かいところですが、ホールドスイッチもA800より使いやすくなっていたような気がします。

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旧Sシリーズと比べて非常にレスポンスが良いです。チップ構成がA800と同じなんでしょうから当たり前ですね。十字キーや再生、オプション、バックなどのボタンのサイズや配置がA800とは違いますし、クリック感も異なるので最初は少々とまどいましたが、これも慣れが解決してくれるんでしょうね。同時発表の周辺グッズもバリエーション豊かですし、デザインにさえこだわらなければ、出先で使うには現段階で最強のウォークマンかもしれません。

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iconicon最初は自分もスルー気味だったのですが、実物を見てグラグラ来ています。ソニービルで実物を見た日の夜にメール登録までしちゃいました。でも、旧Sはグループ送りができたりと、新Sに無いメリットもあるんですよね。それ以前に他に欲しいものもたくさんあるしー、ということで実際に買うかどうかはわかりませんが、これからウォークマンを買おうという人にはコストパフォーマンスの面でも自信を持ってオススメできそうです。

(蛇足ですが、今回のS710Fシリーズは初期ロットオススメみたいな話を聞いています。理由はよくわかりません。またたくさんあるカラバリの中では特に赤いのが良いらしいです。3倍速くはないけど塗装はかなりこだわってるみたいです。)

Bluetoothヘッドホンの新製品について

パーソナルオーディオコーナーで完全スルーしてしまった、EX700を除くヘッドホンの新製品ですが、セミナー終了後にAVペリフェラルコーナーの前で担当者を捕まえるというゲリラ行為でお話を聞くことができました。コンベンション本会場の再入場はできませんが、こちらのコーナーはホテルのロビーと隣接していて部屋の前を自由に行き来できたのです。差し障りがあるといけないので、担当さんの名前は伏せますが、以前D777の開発者インタビューでお世話になった方ということだけ言っておきます(って、バレバレか)。

ゲームモードが用意されたWi-Fiヘッドホンや有線タイプのヘッドホン新製品についても説明していただいたのですが、モバイル向きではなかったので軽くスルーして、期待のBluetoothヘッドホンラインナップについて聞いてみたところ、少し前にネタとして取り上げたディスコンになったヘッドホンと据え置き型のアダプターが、SCMS-Tに対応して10月にリニューアル発売されるということでした。これにより、既発売のBT22を含め、ソニーのBluetoothヘッドホンは全てワンセグ音声に対応すると、そういうことでした。

また、これ以外にも、携帯電話の平型プラグに対応した新しいノイキャンヘッドホンが発売されるとのこと。ちなみに、先述のウォークマン同様、従来品で不満が多かったケーブルの長さなどが改善されているようです。てことは従来品のケーブルの長さも今は変わってるんですかね・・・確認し忘れましたのでわからないんですけど。さらに、新しいHDMIケーブルについても説明してくれそうになったのですが、正直興味がなかったので、丁寧にお断りしました。

話をお聞きした範囲だと、真の意味でのBluetooth対応新製品は無かったようですが、今後についてどうなんですか?とお尋ねしたところ、一言、「期待していてください!」と言われました。何やら意味深な発言ですが、それ以上のことは教えてもらえませんでした。気になるけど、こればかりは正式発表待つしかありません。とはいえ、AVペリフェラルではEX700のようなプレスリリースが出る商品は比較的まれなようなので、気がつくとe-Catalogだけに載ってる可能性もありますから、今後はそちらも注意深く見ていく必要がありそうですね。

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個人的にはBluetooth内蔵のウォークマンとそれに対応したノイキャンにも対応したBluetoothヘッドホン。そんな組み合わせに期待したいところなんですが、やっぱ一般受けしないんですかね。

ということで、ここまでがウォークマンSとヘッドホンに関する手抜きなレポートです。ひっぱった割に期待はずれでごめんなさい!。

それでは最後に、今回のウォークマン新Sシリーズの日本正式発表があった後に、とらいでんと+さんとSSDさんからいただいたソニーのオーディオ戦略に対するご意見を載せておきます。(ソニー関係者必読です!)

(from とらいでんと+さん) Sシリーズは機能特化の意味合いがあるので、地味な進化に感じますね。注目したいのはHDDレスで転送可能なミニコンポが出たことでしょうか。実際のところ、パソコンないのにiPod買う人もいるそうですから。人によっては、なんで曲を入れるのにパソコンがいるんだ、ということもあるでしょう。需要は確実にありますね。アップルにはできないことの一つであるはずです。ATRACをサポートする、しない、いずれにしても、ウォークマンのますますの発展を願いたいですね。
・・・正直言えば、限界まで音質を追求したSが欲しいんですけどね。SACDクラスまで補完可能なDSEEなど・・。
(form SSDさん)
Rollyに続いてWALKMAN,NETJUKEと新製品が発表されましたので個人的な感想とそこから見えてくる今後のSONYの戦略について書いてみたいと思います。

まず、WALKMANですが個人的にはがっかりです。この製品がまさに今のSONYの現状を表していると言っていいと思います。WMA DRM 10に対応しないというのは大きなマイナスポイントだと思います。またSonic Stage不要の転送に対応しないのもマズい点です。全世界で共通の戦略を描けないというのはこれから巻き返していく上で大きな不安を抱えているとしかいいようがありません。またここまで海外と仕様が違うとSONYの国内と国外のポータブルオーディオチームの間に深刻な対立が生じているのでは?とも勘ぐりたくなります。この点が是正されない限り将来はないでしょう。

次にNETJUKEですが今回発表された製品の中では1番、好感が持てました。相変わらず転送先のデバイスによって対応できるフォーマットが違うなど難点はありますが、DLNAへの対応、前機種からのムーブなど見るべき点も多く着実な進化が見られます。国内各社のコンポが機能面で大きく劣る中、こうした進化を見せてくれているのは評価できます。

そしてRollyですが、評価にもっとも苦しむ製品です。たしかにコンセプトはおもしろいし、実際に見てみると購買欲をそそる製品なのですが、いかんせん価格設定が高すぎると思います。1GBのフラッシュメモリを省いて低価格化した方がよかったのではという気もします。おそらく屋外での使用はされないであろう事からこの製品にフラッシュメモリは不必要だと感じました。そもそもBluetooth搭載であるのだから純粋にスピーカとして使用するべき製品であると思います。

さてこれらの製品から見えてくる戦略ですが、おおよそ次のようなものだと思います。

1. WM陣営への転換
海外で発表されたWALKMANからわかるようにSONYとしては今後、ATRACによる独自戦略を捨てWM DRMを中心とする陣営への転換を図るということが見て取れます。個人的にはこの方針には大賛成です。iPodを擁するAppleが唯一押さえられていないのがインターネットストリーミングの分野でありWMA及びWMVはこの分野において圧倒的な地位を占めています。実際多くのインターネットラジオや動画配信サイト、国内の音楽レーベルのサイトで使用されているのはWMAとWMVです。これはもともとWMA,WMVがストリーミングに最適化されていること、DRMの埋め込みが可能である事が評価されてのことだと思います。これはiPodに対しての大きなアドバンテージになると思います。また後述する今後の製品開発にも大きな影響がるでしょう。

2. DLNA,Bluetoothへの注力
RollyそしてNETJUKEとDLNAスピーカーから推測できるのはSONYはニアフィールド(1m圏内)の音声転送としてBluetoothを、ホームエリアにはDLNAを進めていこうと考えているのではということです。今回BluetoothがWALKMAN,NETJUKEともに標準搭載されなかったのは来年の高速版Bluetooth(Ver3.0?)の策定を待ったからではないかと思います。

3. GOES OPEN
既報の通り海外版WALKMANにおいてはSonicStageを廃しD&Dによる簡単な転送への移行がなされました。あまり注目されていませんがこれは大きな転換といえます。転送の仕組みが簡略化されることでよりNETJUKE,そしてPS3との親和性が高まることが予想できるからです。AppleのiTunesの囲い込み戦略に大敗北を喫してしまった以上この改革は必要不可欠であると言えます。

以上の戦略から今後の製品には大きな変化が必要だと思います。

まず望まれるのは動画におけるWMVのサポートの追加です。ストリーミング配信される映像やビデオポッドキャストへの対応を考える上で必須といえます。併せてWMA PRO,WMA Losslessへの対応も必要でしょう。AALフォーマットのユーザーの救済のためにも早急な対応が望まれます。

またNETJUKEにおいてもWMAでのリッピングやAnyMusicからmora winへの移行が必要だと思います。さらに言うならNapstarへの対応も急務でしょう。NETJUKEにおいてはよりPCソリューションとの親和性を高めることも必要だと思います。NETJUKEからPCへの転送や接続したあらゆるデバイスにすべてのフォーマットを転送できるようにすることができればPCとPCレスといったあまりにもくだらない壁を打ち崩すことができより魅力が高まると思います。

RollyやDLNAスピーカーによるワイヤレスミュージックへの訴求もより進めて行く必要があると思います。特に高速版Bluetoothについてはワイヤレスでのシンクが可能になるだけに他社に先駆けて対応を果たすべきです。

そして今SONYに求められる最大の革新はWi-FiやBluetoothによるストリーミングによる容量を気にしないDAVPソリューションの構築です。ストリーミングに優れたWM系フォーマットの採用はこのためにあるといっても過言ではありません。HDDポータブルプレーヤーの開発力に劣る以上、容量の問題を解決するためにはこの手段をとるしかありません。エリアの問題を解決するならば場合によっては3GやPHSといった無線WAN事業者と協力することも必要でしょう。また転送の簡略化によって必要となるプレーヤー側でのインテリジェント機能(プレイリストの作成やシャッフル等)の強化によって手持ちのライブラリから最適な楽曲を提供する機能の強化も必要になるでしょう。(このことはストリーミング配信にも言えます。)

個人的にはこれらの事項を満たす製品に1番近いのはPSPとPS3であろうと思います。WMVに対応するのは困難ではないと思いますし(DRMは厳しいかもしれませんが)アップデートで機能を強化できる数少ない製品であるだけに期待がふくらみます。

SSDさんに至ってはRollyをも含めたソニーのトータルな戦略についてにまで言及なさってます。すごいですよねー。本来なら、これだけでひとつのエントリーにしたいぐらいです。ただ、ここに載せる方が、関係者の目に止まりやすいかなあということで、あえてこちらに掲載させていただきました。ちなみに、自分も意見を求められているのですが、いやもうぶっちゃけ何も言うことございません。言えるほど自分、今回の新製品群への理解がまだ足りません。レポートでは新ネットジュークiconを完全にスルーしちゃってますし・・・。

ということで、ご紹介が大変遅れましたが、貴重なご意見、感謝感謝でございます!こういうご意見もあるということが、ソニーのウォークマンチームのみならず、オーディオビジネス関係者全てに伝わることを祈りつつ、今回のその他もろもろ編を終わります。

投稿者 SPA : 2007年9月20日 15:19 : カテゴリー SDC2007 , Walkman , オーディオ一般