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2006年4月22日

ステレオイヤーレシーバー「MDR-EX90SL」レビュー~広がりのある音場再生に感動

ここ最近、一番お便りを頂戴することが多かったソニーのステレオイヤーレシーバー「MDR-EX90SL」ですが、昨日無事ソニスタより到着しましたので製品のフォトレビューを交えつつ、個人的な感想をお届けします。

ex90sl_01.jpg「MDR-EX90SL」のメーカー希望小売価格は税込12,390円ですが、ソニスタやアマゾンと言ったオンラインショップや、一部販売が始まった店頭でも10,000円を切る価格で入手できます。主な仕様は、

●密閉型音響構造による、すぐれた低音再現力
●削り出しアルミニウム筐体による、低音域でのスムーズなレスポンス、クリアな中高音
●直径13.5mmドライバーユニットによる、広帯域再生、広ダイナミックレンジの実現
●独自の形状(特許申請中)が実現した、外れにくく快適な装着性
●手作業による精緻な音質調整がたどり着いた、理想的な音質特性
●コードの絡みや断線を防ぐロングブッシング

などで、本体以外に延長コード(金メッキステレオミニジャック→金メッキL型ステレオミニプラグ、1m)、イヤーピース(S/M/L)各2個、インナーケース、キャリングケースが付属します。箱の外装は右上の画像を参照ください。

ex90sl_02.jpg

上が本体の外観です。直径13.5mmのダイナミック型ドライバーユニットからアルミ削り出しのハウジングを経由してアルミキャップまでの一連のつながりが非常に美しく感じました。カナルタイプの高級イヤホンと比べても全く引けを取らない質感で、非常に丁寧に作られている印象です。装着時にはハウジング部のSONYロゴが正面に来るようにプリントされており、さりげなく自己主張しているのがにくいっす。コードについては最近のソニー製品と同じく、細くからまりにくいマット仕上げになっています。フロントハウジングには右用か左用が把握しやすいように大きめに「R/L」表示がプリントされているので間違うことはないでしょう。そもそも製品の設計上反対に装着すると違和感があるのですぐにわかります。

装着感については素晴らしいの一言。大量の耳型を集めて研究したというのは伊達じゃないと思いました。一番下にある画像に実際に自分の耳に装着してみた時の画像があるのでご覧ください(福耳じゃないって言うなあ!)。ちなみに、同居人にも試してもらいましたがノーマルなイヤーピースで難なくフィットしていました。

肝心の音質についてですが、結論から言ってこのクラスの製品では最高レベルのクオリティです。個人的な主観ですので万人がそう感じるとは限りませんが、少なくとも自分の中ではNo.1の称号をあげたいぐらいの出来です。まず、とにかく音がクリア。もちろん、ソースに左右されますが高音から低音まで実にバランス良く音が鳴ってくれます。ソニー特有のドンシャリ感はなく、低音でも非常に粒が揃った音が鳴ります。ダブのような低音ブリブリでモコモコしたベースの音でもスケール感のあるはっきりとした音が聞こえるのです。そして、特に楽しめるのが楽器の定位のはっきりした楽曲。たとえばギター2本が左右に録音されているような楽曲だと顕著なのですが、非常に奥行き感のある音を楽しめるのです。

個人的にこのヘッドホンの一番面白いところはココだと思ってます。これって普通のスタジオモニターヘッドホンでは出せない音場なんじゃないかと。音質はクリアでピュアなんだけど、音場が今まで使ってきたイヤホンと全然違うのです。同じソースを2chのステレオで聞いても空気を伝わって耳に入ってくる音が明らかに違います。エンジニアがもしもこのイヤホンを使ってミックスダウンするなら出てくる音が変わってしまうのではないかと言えるぐらいです。

iconiconわかりやすく言うと、イヤーピースから耳の中に出てくる音の外周からも音が聞こえてくる感じとでも言いましょうか。適度なサラウンド感が生まれているように感じるのです。なので、このヘッドホン、モニターイヤホンと言いつつも実は非常にエフェクティブな効果を生む構造を持っているのはないかと思いました。

実はwaizさんからご報告があった通り、EX90SLは音がよい反面、音漏れがものすごいです。通勤、通学時に常用したい方にとっては残念なぐらい音漏れするのですが、よくよく考えてみるとこの音漏れ自体がこのイヤホン独特の音像を造り出しているのではないかなどと思ってみたりしたぐらいです。フロントハウジングから見えるレジスターのあたりから音が出ているような気がしてなりません。

ということで、非常に素直な音が出ると一般的に言われるEX90SLは、実はユニークな音場を生み出す面白いイヤホンなのだというのが自分なりの結論です。同クラスのShure E2cやB&OのA8と聞き比べるとそれがよくわかると思うのですが、実際に購入した方の感想はいかがでしょうか。

ちなみに、同居人に予備知識無しに使ってもらったら、音がクリアで非常によいとの評価でした。E2cもA8もQUALIAインナーイヤーフォンも聞き比べさせてのですが、一番音がよかったとのこと。(青春アミーゴで亀梨くんの声がクリアに聞こえると喜んでました)

ex90sl_03.jpg

ところで、EX90SLのもう一つ素晴らしいところとして、付属のキャリングケースの出来の良さがあげられます。QUALIAインナーイヤーフォン付属のモノと比べてはいけないのでしょうが、必要十分な作りだしイヤホン巻き取り用のインナーケースも良くできており、競合製品に付属のモノよりも満足度は高かったです。

ex90sl_04.jpg

ちなみに、ウォークマンA608なら最低でもATRAC3 Plusの256kbpsで聞きたいと思わせる音質ですが、iPodのAAC128kbpsでも音場の広がりに関しては十分性能を体感できると思います。また、NetJukeでダイレクトにCDを聞きましたが、ボリュームあげても音が破綻することなく安定した鳴りで再生できました。エージングによる音の変化も楽しみですが、購入直後にこれだけ安定した音が楽しめることの方がある意味驚きかもしれません。手持ちのQUALIAインナーイヤーフォンは値段が倍もする割に自分の満足できる音ではなかったのですが、EX90SLに関しては本当に大満足。

なお、音漏れについて書いておきますが、ウォークマンA608でAVSLを有効にするとボリュームが最大16に制限されますけど、この状態でもかなり音漏れします。車中での使用には注意が必要ですね。ただ、音漏れのことを差し引いてもEX90SLの価格性能費は特筆すべきものがあると思うし、なによりリスニングが他の製品と比べて楽しいのです。圧縮音源でもイヤホンにここまでの表現力があれば十分楽しめるんだなあと感じさせてくれる優れた逸品だと思います。

ところで、本エントリーの執筆前にいつもお世話になっているかつぽんさんが同製品のインプレをお便りで伝えてくださいましたので最後にご紹介しておきます。

MDR-EX90SL、ソニ☆モバさんのアフィリエイト経由で2本購入させて頂きました。自分のBlogでも書きましたが、今後のエージングでどう変化するかは定かでないですが、初期状態で出てくる音はSONY党員には物足りないぐらいのフラット感で、SONY謹製だから・・・と舐めてかかると怪我します(爆)QUALIAヘッドホンよりもMDR-E888よりもさらにフラットです。それからJAZZを256KのAtrac3Plusで聞くとソースの方が負けますので、出来ればCDウォークマンで聞かれた方がよりポテンシャルは感じられるはずです。waizさんが心配なさってた音漏れは・・・確かにオープンイヤーよりちょっとマシかな?という程度かもしれません。ただ遮音性は維持されてると思います。コードが、特にこれからの季節布巻きじゃないことは残念ですが、まるでQUALIAかと思うような外観&ケースなど、とにかく所有欲満たされますし、これで\10000なら絶対に買って損はないと感じました。

まずは当サイト経由で2本もご購入いただきありがとうございます。アフェリエイト収入はサイト運営費に役立たせていただきます。さて、かつぽんさんがおっしゃるように、確かに遮音性能もそれなりにありますね。音漏れはするけど周りの音は聞こえにくいという、ある意味はた迷惑な仕様ではありますが、それを割引いても満足度の高い製品であることは間違いないです。利用シーンによっては注意して使う必要がありますが、それでも外に持ち出して使ってみたいと思わせるだけの魅力は持っていますよ。

最後に総論ですが、ウォークマンユーザーのみならず、あらゆるポータブルオーディオ製品ユーザーにお勧めできるソニー入魂の製品に仕上がっていますよ~。5点満点の評価なら、音漏れ面で-0.5点の4.5点って感じです。ちなみに、製造国は中国(右上画像参照)。モノづくりの原点回帰という意味では国産であって欲しかったけど、品質的には全く問題なしでした。ということで、ソニーファンなら絶対1本は持っておいてソン無しですよん!

【追記】エントリー直後、TAKEさんからもお便りをいただきましたのでご紹介。

昨晩よりEX90を使用し音楽を聴いております。個人的には非常に気に入りました。EXQ1に比べても遜色がないような気がします(当耳比)。音漏れはそんなに気になりません。EXQ1と同じくらいのレベルかと。普段からEXQ1でも電車の中などで周りの人たちの会話が聞こえるくらいの音量で聞いておりますが、それでもしっかり聞けているので(私としては)十分満足です。若干EXQ1より低音が弱いかなとは思いますが気になる感じは受けません。こうなると「EXQ1って高かったのかな?」とも思いますが、所有する喜びや紡ぎ出される音について不満があるわけではありませんし、その技術がEX90にも活かされているのだと考えております。これからは外出用にEX90、自宅等でのリスニング用にEXQ1などと使い分ける予定です。

いつもいつもお便りありがとうございます、TAKEさん。お気に入りのご様子で何よりです。EXQ1は生産完了間際に日本製に変わるなどしましたので音質も微妙に変化したのかもしれませんが、少なくとも自分の持っているモノで言えば正直EX90SLの方に軍配を上げちゃいます。あれで2万はやっぱり高すぎですよね…。いずれにしても、使い分けができるならそれに超したことはありませんね。良い音楽をいい音で。ソニーのヘッドホンでお互いそんなライフスタイルを楽しんでいきましょう!

【参考】
MDR-EX90SLicon(ソニスタ)
MDR-EX90SL(アマゾン)

投稿者 SPA : 2006年4月22日 11:19 : カテゴリー オーディオ一般 , 携帯AVプレイヤー