エアボード改め、ロケーションフリーテレビ

ソニーがエアボードの名を捨てた背景

大河原克行さんの「パソコン業界、東奔西走」。先週ご紹介したソニーがNTT東日本と組んで行ったロケーションフリーテレビのデモについてのリポートです。先週取り上げたニュースでは特に記載がなく気がつかなかったのですが、大河原さんのリポートでソニーが「エアボード」という名称を使うことをやめたことを始めて知りました。「ロケーションフリーテレビという名称の方が、その用途をはっきりと示せる」のが理由とか。個人的には「エアボード」の方がテレビ以外の様々な機能を実装していることを表現しやすいとも思うのですが、「ロケーションフリーテレビ」という方が製品戦略上、コンセプトを明確に訴求しやすいということなんでしょうね。

名称の件以外では、ロケーションフリーテレビの今後について始めて言及したとのことで、ベースステーションを核にした様々なAV機器に映像が音声を配信していくという考え方が披露されたとか。CESでバイオやPSPをクライアントにするデモが行われてましたが、発表資料には携帯電話端末やカラー液晶を搭載PDAらしきもの、オーディオ機器、ラジオなどが描かれていたそうです。

このことからも、「ロケーションフリーテレビ」が他のソニー製品と比べて非常にオープンなスタンスをとっていることがわかりますが、その理由は製品自体が映像や音声ソースを持たないからなんでしょうね。テレビ以外のソースもベースステーションで中継するのが基本なので、いわゆる著作権絡みの諸問題を意識しなくてすむからなんでしょうね。実際、出先でテレビを見るなら他にもたくさん手段はあるわけですし、ロケーションフリーテレビの最大の売りはテレビのリアルタイム視聴でなく、他のソースを出先でも手軽に視聴できるという点にあるのでしょうから。


ただ、一番のネックは無線LAN環境をユーザーが手軽に利用できるかということとと、自宅にあるテレビ・ビデオを出先で視聴するというライフスタイルを求めている人がどれだけいるのかということ。ビジネスマンが会社にいながら、休み時間にビデオを見るというのは常識的に考えても許される行為ではないだろうし、外回りが多いビジネスマンにしても常にオンラインという状況を維持できないでしょう。

自分も昨年発売のモデルで実際にエアボードユーザーになり、毎日便利に使っていますが、実際に使う場所は自宅内に限られています。新製品はモニターが小型化されて持ち歩きやすくなっているようですが、仮に自分が新製品を入手できたとしても外にまで持ち出して使ってみたいとは思いません。出先なら、持ち歩くデバイスはやはりできるだけ小さく、環境に依存せずに自分の都合で見たいものです。そうなると、やはり常にソースはローカルで持っていたい。だから、スゴ録やらPSXにクリエやPSP、ケータイ向けのメモステ書き出し機能を望んでいるわけです。

ただ、外で使おうとは思わなくても自宅内だけでも今までとは違うテレビライフを楽しめることは確かです。ダイニングで、キッチンで、トイレで、(制約こそありますが)風呂で、布団に入ったまま、などなど、様々な場所でテレビを楽しむことができます。そこにはマナーもへったくれもありません。自宅という開放感あるスペースで自分の好きなようにテレビを楽しむ。ある意味、これほどの贅沢はないかもしれません。

そして、このような新しいテレビの楽しみ方を自宅でめいいっぱい享受しているうちに、いつのまにか、まわりの無線LANインフラが整っているなんてこともあるのかもしれません。携帯電話のアンテナのように、中継技術も進歩して電車で高速に移動中でも映像を楽しめるようになるのかもしれません。バッテリ性能も改善されて、無線LANに繋ぎっぱなしでも半日ぐらいは平気でもつようになるのかもしれません。自分は、そういう環境が月額100円ぐらいの利用料で使えるようにななって始めて外でも使ってみようかなと考えています。

先週末にNTTが発表した触れるだけで高速通信できるというレッドタクトンという名の新技術もロケーションフリーテレビの今後を大きく左右する技術になりそうです。

なんだか言ってることが支離滅裂になってしまいましたが、PSPやバイオでロケーションフリーテレビを楽しめる環境を提供することで、ソニーが提案する新しいテレビライフを実体験してもらうことはものすごく大事なことだと思います。ただ、ベースステーションの単体販売、あるいはハイブリッドレコーダーなどにベースステーションが持つ機能を内蔵しなければいけないと思うので、まずはそれをいかに安価に提供できるか、そこに普及拡大のカギがあるような気がします…。

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