60万オーバーのスピーカーを軽々ドライブするDigiFi No.7特別付録のOlasonic USB/DAC付デジタルアンプ

先週末、6月9日(土)に東京・中央区on & onで開催されたStereo Sound主催の「DigiFi No.7 特別付録体験イベント」の15:30~の回に参加してきました。


当日はステレオサウンドDigiFiの武田編集長自らが「DigiFi No.7」特別付録のOlasonic USB/DAC付デジタルパワーアンプに組み合わせるスピーカーとUSBケーブルをとっかえひっかえ、オーディオ的に音がどのように変わるのかをデモしてくださいました。

■最大価格差8倍のスピーカー3機種聞き比べ

まずは、スピーカー3機種の聞き比べからスタート。スピーカーは3機種ともデンマークのディナウディオ(DYNAUDIO)製で主なスペックは以下の通り。


1.DM 2/6 84,000円(ペア) 2ウェイ
Sensitivity:86dB(2.83V/1m)
IEC Power Handing:>150W
Impedance(nominal):6Ω
Weight:5.6kg
Dimensions (W×H×D):170×292×240mm
DM2/6(Amazon)

2.Focus 160 273,000円(ペア)2ウェイ
Sensitivity:86 dB
IEC Power handling:> 200W
Impedance:4Ω
Frequency Response:40 Hz — 25 kHz (± 3 dB)
Weight:7.6 kg
Dimensions (W x H x D):202 x 350 x 294 mm

3.Focus 340 661,500円(ペア) 3ウェイ4スピーカー
Sensitivity:87 dB
IEC Power handling:> 250W
Impedance:4Ω
Frequency Response:32 Hz — 25 kHz (± 3 dB)
Weight:23.2 kg
Dimensions (W x H x D):221 x 1092 x 325 mm

ちなみに、アンプPC間に使用したUSBケーブルは一般的なデータ用。PCは基本出来にバッテリー駆動でした。最初のデモだけアダプターを外すのを忘れていたようですが以降はバッテリーのみでした。災害で停電になっても音楽を聞けることもアピールなさってました。PCのプレイヤーソフトは「Foobar2000」で音楽ファイルはすべてWAVとのことでした。

視聴音源は女性ボーカリスト「ハーベストガーデン(藤原聡子さんという方のソロユニットだそうです)」の「昨日より若く」というアルバムに収録されている「風をあつめて」(言わずとしれた「はっぴいえんど」のカバー)。ハープの演奏とボーカルのみのシンプルな楽曲。なお、スピーカー交換時に音量は変えないで行われました。

個人的には「DM 2/6」でも十分良い音に聞こえたんですが、Focusシリーズぐらいの高級スピーカーになると全然表現力が違いますね。藤原さんの透明感があるけど力強い歌声もすごいけど、全体的な音の立体感、解像感、残響感が半端無かったです。Focus 160ぐらいのスピーカーが鳴らせる環境が欲しい…。

というか、こんな高級なスピーカーをも軽々とドライブさせる付録のアンプを褒めないといけないな…。

【追記】ハーベストガーデンのオフィシャルサイトで最新アルバム「昨日より若く」の全曲試聴が可能です。

■USBケーブルを変更しての聞き比べ

次にUSBケーブルを変えてどうなるかをデモ。使ったケーブルは以下の3種類。


1.Zonotone
なんと8/17発売の「HiVi 9月号」の特別付録になるケーブルだそうです。「DigiFi No.7」と合わせて買えばPCオーディオがすぐに始められるというナイスなプロモーション。(ちなみにHi-Viのページでこのケーブルについての情報は見つけられませんでした。ま、そのうちアナウンスあるのでしょう)
【追記】7月号のアナウンスページに9月号の付録について記述を発見>月刊HiVi(ハイヴィ)7月号は6/16(土)発売

2.Kripton 「UC-HR0.5」(0.5m) 39,900円
信号線と電源線が分かれているのが特長。通常のケーブルに比べ、ジッター成分が少なく、電圧マージンも取れ、ノイズ耐性に優れたケーブルとか。
KRIPTON UC-HR0.5(Amazon)

3.Acoustic Revive 「USB-1.0SP」 39,900円
信号線と電源線が見た目から変えてしまった(二股に分かれている)。ノイズの差や歌い出しの声の感じが変わる。電源(線)を違うパソコンからとるというのもあるかもしれない。
ACOUSTICREVIVE USB1.0SPS(Amazon)

スピーカーには聞き比べの2番目のディナウディオ「Focus 160」を使用。音源は、2010年の大貫妙子と坂本龍一の共作「UTAU」収録の「Tango」。教授のピアノをバックに大貫さんが歌うシンプルな構成。もう一つの音源は石橋英子「キャラペイス」収録の「Coda」。個人的にはいずれも初耳初聴。

正直、ケーブルごときで音が変わるのかと半信半疑だったんですよね。2と3なんで1本4万ですよ。ぶっちゃけ、変わってくれなくてどうする。変わらなかったら詐欺だろぐらいの勢いだったですが、全然変わりました。いやーびっくり。

え、大貫さんってホントはこんな声質だったの?みたいなぐらい。サ行を発音する時の少しだけザラっとした感じが高級ケーブルだとよくわかりました。大貫さんのボーカルと教授のピアノしかないのに、録音した場所の広さが伝わってくる。まろやかなんだけど芳醇、という表現が正しいのかわかりませんが、そんな感じ。石橋さんの「Coda」はバンドサウンドだけど、ドラムスの音が明らかに変わります。バスドラのキックの音からして全然変わってました。あとハイハットの表情も。なのでグルーブ感が全然変わるんです。


武田編集長も、OlasonicのDAC/USBデジタルアンプが、そうした音楽のデリケートなところを引き出してくれるし、USBケーブル1本変えるだけで音楽の表情が様変わりするので、オーディオ的にも楽しめるのではないかと解説していました。なるほど~。

また、ケーブルとは別に、USBバスパワーを強化するアイテムとして、AurorasoundのUSBバスパワー機器用外部安定化電源「BusPowerPro」を紹介してくれました。ノイズの非常に少ない安定した電源をPCのバスパワーに代わってUSB機器に供給し、潜在的な性能の発揮と音質の向上を実現するというもの。電源が安定供給できれば音も良くなるって事らしいです。すごいこだわり。実際の音は、高いケーブルの音を聞いたあとなので、はっきりとした効果は感じられませんでしたが、PC環境に左右されないというところに意味があるようです。ちなみに価格は10,500円と今回比較に使われたスピーカーやケーブルよりはリーズナブルな方。これぐらいなら自分も手が出せそうな気はします。

ということで、Olasonic USB/DAC付デジタルアンプにちょいとよさげなUSBケーブルを組み合わせれば、ペアで50万以上もする高級スピーカーを意図もたやすくドライブさせることができるのだということを今回のデモを通じて実感したと同時にオーディオの世界の奥深さを少しだけ垣間見たような気がします。

■スクープ?オプションのボックスキット発売

ケーブルデモのあと、ステレオサウンドの木村部長がスマホのリモコンアプリ(iOS版のRemoteやAndroid版のRemote for iTunes)を使ったワイヤレスコントロールのデモを披露。PCが手元に無い場合でもスマホをリモコン代わりにして手軽に操作できることをアピールしていました。


また、一連のデモ終了後に、別のUSB/DAC付デジタルアンプが登場。裸のまま出荷されるアンプの基板を保護し、見栄えを良くする専用のボックスキットだそうです。スモークアクリルパネル2枚を4隅のビスで固定するシンプルな造り。また、試作段階で基板をわざと見せるため、もう少しアクリルの透明度を上げるようなことをおっしゃってました。


ちなみに、「DigiFi No.7」発売後にステレオサウンドのオンラインショップで2,000円ほどで発売予定らしいです。また、この手のボックスを自作したいというユーザーのために、基板の寸法図も公開予定とか。いたれりつくせりです。それもこれも、たくさんに人にPCオーディオの素晴らしさを知ってもらうきっかけ作りの一環。素晴らしいではありませんか。

自分自身もOlasonic製品を通じてPCオーディオの楽しさ、素晴らしさを知った一人だし、こうしたイベントレポートやレビューが当サイト読者の皆様のPCオーディオに触れるきっかけになれば幸いです。ということで、楽しいイベントの開催ありがとうございました!>武田編集長さま&木村部長さま&東和電子川崎さま