Olasonic NANOCOMPOシリーズ第2弾 CDトランスポート「NANO-CD1」を速攻で試す

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Olasonicブランドの超小型ハイエンドオーディオコンポNANOCOMPOシリーズ第2弾、世界最小サイズの据え置き型CDトランスポート「NANO-CD1」の5月下旬発売が正式発表されました。同シリーズ初、そしておそらくは唯一の光メディア再生機って事になります。そんなCDトランスポートですが、東和電子さんのご厚意で現物を日曜日の午後から試用させていただけたので速攻でインプレをば。

■パッケージと中身

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筐体の基本デザインとサイズに合わせるが如く、パッケージのそれも共通化。ホワイトベースにグレー単色印刷のシンプルな作り。

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中身は「NANO-CD1」本体と、AC電源アダプター、RCA同軸ケーブル、リモコン。おそらくはこれに取説がプラスされるのでしょうが、貸出機には入っておりませんでした。単純に東和電子さんの入れ忘れでしょうけど…。

■NANO-CD1の基本スペックと主な特長

製品発表時のリリースと重複しますが、CDトランスポート「NANO-CD1」の特長は以下のような感じ。

1.世界最小サイズの据え置き型CD再生機
149×33×149mmは、ほぼCDジャケット3枚分の大きさ。家庭の生活スペースの中で自由な設置が可能。重量は1,200g(本体のみ)。
2.新開発CD専用ドライブメカ採用
ドライブメカはCDに特化した機能とし、高音質再生と安定性の向上を実現。
3.スロットインチャッキング方式により横縦自由な設置が可能
縦置き使用にあわせてフルドットLCDディスプレイの表示切り替えが可能
4.デジタル出力専用のCDトランスポート
出力は、同軸デジタル、光デジタルの2系統。USB-DAコンバーターなど、デジタル入力端子を装備したオーディオ機器との接続が可能。
5.アップサンプリング機能により、44.1/88.2/96kHzのサンプリング周波数切替が可能
背面スイッチ切替により、CDオリジナルの44/1kHzに対し、88.2kHz/96kHzへのアップサンプリングによる音質向上と音の変化を楽しめる。
6.高剛性アルミダイキャストシャーシー採用
筐体はアルミダイキャストによるシームレス構造とし、シンプルなデザインと上質な仕上げを実現。

ちなみに、再生可能メディアは、CD/CD-R/CD-RW、ハイブリッドSACDのCD層。再生時の消費電力は約5W。希望小売価格は税込63,000円。値段からして、DSDやSACDの再生にも対応して欲しかったところではありますが…。

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今回のNANOCOMPOシリーズは、筐体の厚みこそCDジャケット3枚分ですが、今回のCDトランスポートを世に送る気が無いのであれば、フットプリントはもっと小さく出来たでしょう。逆に言えば、NANOCOMPOは、オーディオ好きな方の最も多い手持ちの資産にあたる12cmCDの再生ありきでトータルな設計・デザインが行われたということなんでしょうね。

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背面パネルこそビビッドな赤ですが、基本的には見えてこないところですし、ホワイトベースの筐体デザインは無駄を省いたシンプルなもの。プリメインアンプのUA1含め、自己主張は一切ありません。この辺のモノづくりの考え方は昨年10月のシリーズ発表会のレポートでも書きましたが、共通サイズにすることでコスト減を狙い、その分パーツにお金をかけるという東和電子のポリシーを具現化しているから。

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前置きはこの辺にして、製品の細部を見ていきましょう。まずは正面ですが、上方にCDを挿入する溝(約4mm)があり、その下に各種ボタン、パーツが配置されています。電源ボタンはUA1と同じサイズ&位置。その右にボタンが四つ。左から、停止・イジェクト、曲戻し、再生・一時停止、曲送り。そして、送りボタンの右に各種情報を表示するLCDディスプレイがあります。早送りと早戻し、曲のリピート設定は付属の専用リモコン(UA1付属のものと同じです)でのみ行えるようです。

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背面はUA1と比べるとかなりシンプル。出力2系統、アップサンプリング切替スイッチ、電源コネクタのみ。出力を同軸にするか光にするかは環境や好みに合わせれば良いってな具合。我が家の場合で言えば、UA1がメインアンプとして考えると、ハイレゾ音源が再生可能なPS3やApple TVは光にまわして、CDトランスポートをコアキシャルにするのが面倒が無い感じか。ちなみに、標準で付属する同軸ケーブルは短いタイプで色もホワイトと、UA1に最も最適化されたものが用意されていますので、むしろ使わないともったいないかも。

■使ってみよう

使ってみようも何も、基本はごくごく一般的なオーディオなので、電源入れて、CD入れればOK(基本自動再生)な訳ですけれども、ここしばらくはPCオーディオに慣れていたこともあって、そうした一連の操作が逆に新鮮。音楽が聴きたいな~と思ってから、電源入れて実際に音が出てくるまでが速いのが良いですね。最近はPCも起動は速いけど、アプリ立ち上げて音を出すまで何度もクリックしないといけないしねえ…。常時起動のスマホやタブレットもアプリ立ち上げて検索してってなると意外に時間かかるもんなあ…。

ちなみに、このCD1は再生モードがリピートしかなく、プログラム再生も無ければ、曲指定再生も出来ないので、CDアルバムをほぼほぼリニアで再生するしかない仕様となっています。こと音楽コンテンツに関しては大半のものがデジタルでノンリニアにアクセスできる世の中にあって、アルバム収録順にガチで音楽に向き合うしかないという。これって正にレコード時代の音楽への接し方そのもの。忘れかけていた何かを思い出させてくれるような…。

あ、あと、UA1との電源連動やCDのレジューム機能なども全くありません。また、リモコン経由では早送り・戻しこそできますが、曲指定はできません。このご時世でこの割り切りっぷりはある意味すごいです。

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NANOCOMPOシリーズは縦置きにも対応しています。CD1のLCDディスプレイを縦置き表示(に対応させるには電源ボタンを長押しすればOK…とメディアのレビューに書いてありました。最初は。センサーが入っていて、縦置きにした時に自動的に表示が変わるのかと思っていたんですが違いました。ま、取説が入ってなかったので…。

ドライブの音について。無音では無いですが、かなり静かです。振動もほとんどありません。置く場所にもよりますが、数十センチ先の机上でもある程度の音量(10時ぐらい)で再生中は、ほとんど気になりません。UA1と重ねた横置きでも、縦置きでも差はありませんでした。

あと、ディスクエラーが気になりました。サンプル機だからという事もあるのかもしれませんが、結構な確率で発生するんですよね。同じディスクでも再生できたり出来なかったりしますし、読み取り時間もかなりばらつきがあります。この辺のトラブルはある意味光メディア系機器の宿命でもありますが、高価な商品だけに信頼性とロングライフはしっかりと保証して欲しいところ。発売までにブラッシュアップお願いします、東和電子様。

■LCDディスプレイの表示について

電源オン・オフ時のアニメがかわいいです。Olasonicと言えば卵型スピーカー、ということで卵がころころ転がってOlasonicのOになるんですよね。動画にしてみましたのでどうぞ。

電源投入後のLCDは必要最低限の情報しか表示しません。CD読み取り時にCDが回転するアニメが表示され、読み取り後は曲番号と再生関連のステイタス、サンプリング数程度しか表示されません。こちらも動画にしてみましたので良かったらどうぞ。

CD挿入時やイジェクト時の音が確認できた方が良いかと思いあえて消音はしておりません。近所のマンション工事の音が入ってしまってましたがご了承を。ちなみに、縦置き用モードでも基本的な表示内容は同じでした。

■音についての感想

NANO-UA1と自作スピーカーの組み合わせでしか試せないため、そういう前提での感想になりますことご了承ください。

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全体的にはまろやかで暖かみのあるサウンドが楽しめています。ソースは新旧、Pat MethenyからPerfumeまで、ジャンルもジャズからテクノまで、録音レベルが全然違うものなど、様々試しましたが、オリジナルを破綻無く艶やかに再生してくれます。

なんとなくですが、録音レベルの低い昔の作品の方が耳になじむというか、聞きやすいと感じました。80年後半から90年代にかけてのCDが特に。楽器の音色含め、昔は音悪いなあと思って聞いてたのに、NANOCOMPO通して再生したら変なアクが抜けて聞きやすくなったというか…。これもある種の耳エイジングなのでしょうか…。

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アップサンプリングの効果ですが、心持ち解像感が上がったような感じではあるのですが、正直よくわかりませんでした。高級なスピーカーで色々と聞き比べればわかるのかもしれませんが、なにせ自作の小型なヤツなんで…。この辺のテクニカルなことについては後日東和電子さんに取材してみたいと思います。

■最後に

結論というほどのことでもないですが、NANO-UA1を買うつもりで、CDライブラリーが山のようにあって、金銭的にも余裕がある人は一緒に購入すべきでしょう。ピュアなハイレゾでは無いですが、PCレスで手軽にCDの高音質再生が楽しめますので~。UA1だけ買ってPS3をオーディオプレイヤーにするという手もありますが消費電力がねえ…。UA1とCD1の組み合わせで普通に使う分には10W程度。省電力でも高音質。素晴らしいと思います。

ということで、日曜午後に受け取ってから、慌ただしく試用を続けてきましたが、UA1含めてそろそろ返却しないといけなくなりましたので、NANOCOMPOシリーズレビューはこの辺でいったん終わりにしたいと思います。

ともあれ、まもなく発売される「NANO-UA1」が飛ぶように売れることを心より願ってます。