ストレスフリーなソニーのBDレコーダーモノフェローズイベントレポート(前編)

敬老の日となった9/20に、ソニー本社で開催された「新発表3D対応ブルーレイディスクレコーダーモノフェローズイベント」に参加してきました。

当日は「パッと起動、パッと録画、パッと再生~ストレスフリー家電誕生編~」と題し、商品コンセプト誕生秘話(企画編)、商品デモ、開発秘話(開発苦労編)、質疑応答という流れで進行。参加者にはイベント終了後、実機が貸し出され、試用レポートと今回のイベントに関するレポートの掲載がノルマってことになってます。

てなことで、まずは「新発表3D対応ブルーレイディスクレコーダーモノフェローズイベント」のレポートをお届け。長くなりそうなので前編後編に分けます。なお、自分は来月(10月)に長期出張が控えていることもあり、貸し出しは11月以降にしていただいてます。

パッと起動、パッと録画、パッと再生~ストレスフリー家電誕生編~
■商品コンセプト誕生秘話(企画編)

パッと起動、パッと録画、パッと再生がキーワードのストレスフリー家電が誕生するまでの商品企画の流れを、朝青龍似のホームエンターテイメイント企画部の成田プロジェクトマネージャーがプレゼン。

成田氏の経歴は、PS2のGS LSI設計のエンジニアから「田村正和」のスゴ録企画を経て海外のDVDレコーダーの企画を担当。2009年6月からBDレコーダーの国内モデル企画担当だそうです。

 
商品企画に必要な事は皆のやる気を出させるストーリーづくり。ということで、初期のコンセプトを「起動が、はやい(速い)」「探すのが、うまい(巧い)」「録画が、し やすい(易い)」という3拍子そろった、“かしこい”BDレコーダーに…しようとしていたんですが、“易い”を“安い”ととられると営業的にややこしくなりそうなので、最後を「画像が、とても きれい(綺麗)」に差し替え、篠原涼子のCMでお馴染みの「アッタマいいね!」を継承、“簡単”を差異化する“賢い”から楽に使えるレコーダーを商品軸にして勝負することにしたそうです。3拍子の具体的な中身は以下の通り。

 
・起動が、はやい(速い):賢い瞬間起動、省エネ高速起動、ストレスフリーな動作スピード
・探すのが、うまい(巧い):パーフェクトW録、2番組同時長時間録画、簡単番組検索ボタン
・画像が、とても きれい(綺麗):おまかせ画質設定、長時間録画もおまかせ録画

さらにはやい、うまい、きれいを「パッと起動!パッと録画!パッと再生!」という営業的なキーワードに変更し、「パッと使えるカンタン・ブルーレイ」が誕生したそうです。

成田氏のプレゼン後、場所を移動して「パッと起動!」=0.5秒の瞬間起動の実力をマーケティング担当の佐藤氏が従来機との比較を交えて解説。デモの中身は是非動画で確認してみて下さい。

ちなみに、新旧ともにHDDは録画番組でパンパンの状態での比較です。新製品の起動はマジで速かったです。というか実際速いでしょ。瞬間起動モードは言うまでもないですが、標準起動モードでも十分速いんです。この速さを実現できた理由はこの後の開発苦労編で…。

さらに佐藤さんからは番組表関連の機能についても説明がありまして、番組表のフルHD表示に対応したことで見やすく一覧性がアップしたことや、チャンネル別一覧表示にも対応したこと、リモコンに一発録画ボタンを設けたことで、ボタン一押しで録画予約可能になったこと、MY番組表におまかせまる録で設定したキーワードが反映されるようになったことなどをデモを交えて解説してくださいました。

地道に使いやすくなっている印象。我が家では東芝RD-X5にチャンネル別番組表がありますが、意外に便利なんですよね。というか、番組表周りのプログラムとかって従来機でもバージョンアップ出来ないもんなんでしょうかね。PS3のように進化し続けるレコーダーがあるといいなあ…。

パッと起動、パッと録画、パッと再生~ストレスフリー家電誕生編~
■開発苦労編

プロジェクトリーダーの成田氏から“パッと”にこだわった、つまり“速い”にこだわった理由はレコーダーオーナーのアンケートで「電源を入れてから起動するまでが長い」という不満が圧倒的に多かったからとの前振りがあって、エンジニアの伊久氏が登場。

伊久氏は、2003年にデジタルDVDレコーダーのシステムのソフトウェア設計リーダーを務め、現在はBDレコーダーのシステムソフトウェアリーダー(システムアーキテクト)に従事なさっているとのこと。

 
デジタルレコーダーの起動が遅くなった理由は、起動時のソフトの読み込み量がVHSビデオレコーダー時代から爆発的に増えたため。なんとアナログ時代の1000倍。これにより起動時間が約40倍にもなってしまったとか。これはソニーに限った話しではなく、各社がそれぞれ高速起動のためのソリューションを模索してきたが、どれもがある程度通電をした状態からの復帰ということもあって、これまでは起動時間短縮とエコがトレードオフの関係になっていたそうです。

伊久氏自身、起動時間の長さを許せなかったし、起動時間の長さを納得する自分も許せなかったとか。エンジニア的には「瞬間起動よりも取り組むべきは通常起動時間の短縮である。」と考えたものの、企画の成田氏はむしろ「ストレスフリーを実現するための瞬間起動」を突き詰めなくてはということで、意見が真っ二つに分かれたのもの、最終的には両方、つまりは2つのパッと起動を目指すことで合意したそうです。

 
ということで、1つ目の通常起動時間短縮のために何をしたかというと、パソコンのようなサスペンドレジューム機能を実装したそうなんですが、組み込み商品の場合はそれだけですむような簡単な話しでは無かったとのこと。実際、ハードとシステムOSを全てを入れ変えたりしても20秒程度しか短縮できないそうで、プログラムとプログラムの隙間に別のプログラムを詰め込んでいくような、パズルを解くかの如き地道な作業を延々と繰り返すことで、前モデル比85%減という驚異的な数値をたたき出したそうです。

従来機の通常起動モードで待機消費電力が約0.2W、起動時間が約40秒かかっていたものが、新製品の標準起動モードでは待機消費電力が変わらずに起動時間が約6秒になったとか。サスペンドレジュームで消費電力は増えた分を他で削ったことで待機消費電力を押さえたそうです。また、従来機の高速起動モードでは待機消費電力が約17Wで、起動時間が約9秒かかっていたものが、新製品の瞬間起動モードでは待機消費電力が約18Wと微増したが起動時間を0.5秒にすることができたそうです。

とはいえ、待機消費電力こそ1Wの違いだけど、長い目で見ると電力消費が増えてしまうのは明か。エンジニアとしてこのまま世に出すのは許せないということで、なんと、<ブラビア>が開発した学習機能をレコーダー用にアレンジして搭載することで解決したんだそうです。

この学習機能ですが、ユーザーのテレビ視聴時間帯を曜日ごとに集計し、独自の加算係数を盛り込んだ上で、ユーザーがテレビを見るであろうと予測される曜日の特定の時間帯を瞬間起動モードに切り替わるようにできるそうなんです。ということで、長い目で見た時の消費電力は前モデル比で最大70~95%も削減可能になるとか。瞬間起動は業界No.1を目指しつつ、エコだけは絶対に忘れないようにしようという伊久氏の思いが見事に結実したんですねい。いやー、素晴らしい…。

続いては同時動作の課題について。録画1で録画中にBD-ROM再生やチャンネル切り替えができないなど、従来機にあった制約は叩かれる原因でもあったということで、それを解決するために何をしたかをエンジニアの山内氏が解説してくださいました。

山内氏はかつてはClip-OnやBD1号機のデータベースまわりやBD規格を担当し、2005年のハイビジョンスゴ録の録画ソフトウェアリーダーを担当して以降、デジタル録画機の録画ソフトウェアリーダーを担当なさっているとか。

これまでのソニーのレコーダーは、「録画1」「録画2」という区別がわかりにくいだけでなく、録画中にできることとできないこともわかりにくかったんですよね。こうした録画ストレスを解消すれば結果的にレコーダーとしての基本性能を飛躍的に向上させることになるはずという認識はあったけど、その壁はことのほかぶ厚かったそうです…。

 
実際のところ、エンコーダーを2つ積めば問題はかなりの部分で解決するそうなんですけど、録画1/2の違いや同時動作上の制約撤廃のメリットがわかりにくく伝えにくいこともあり、自ずと重要度が低くなるのと、市場の価格競争が厳しいためコストに直結するエンコーダーを2基も搭載する必要性に疑問の声が上がり、開発初期~中期段階ではこの機能は落ちていた(棚上げされてた)そうなんです。

 
それでも録画チームはあきらめずに影で開発を継続しつつ、粘り強く説得を続けた結果、今回実現することになったそうです。特に触れられなかったですが、「意志の力で成就しない時には好機の到来を待つほかない」というゲーテの言葉(ゲゲゲの女房でも水木しげる先生が引用してましたね)や「新しいアイディアは上司に隠れて内緒で作れ(大曽根語録)」といった言葉がスライドに引用されていたのが印象的でした。

さらに、成田マネージャーから、同時動作機能の実現に当たっては、内部的にも色々なバトルがあったと説明がありました。コスト増になる部分を仕入れで調整するなど、録画ストレスの解消に向け関係者が一丸となることで、実現できた機能でもあるそうです。

なにはともあれ、アナログ時代のレコーダーでできたことが、デジタル時代のレコーダーでもできるようになったところもあでは来ましたね。開発担当の皆様にしてみれば大変なご苦労があったと思いますが、ようやくスタートラインにたったという気もしないでもないです。ここからが本当の勝負なんじゃないでしょうか。

そんなこんなで、長くなりましたので続きは次回。

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