VAIO Pシリーズ新製品開発秘話カミングアウトレポート(前編)

こちらのエントリーで取り上げた「VAIO New Urtra Mobile」絡みのシークレットイベントに申し込んでいたところ当選しましてですね、5/10に行ってきましたよ渋谷某所まで。某所も何も、噂のDOMMUNEとのコラボってことで、例のスタジオ(B1)が入ったビルのカフェ「CAFE SUPERCORE」の1Fと2Fでイベントが開催されました。

イベントには40名ほどのブロガーさん達が集まったらしいのです。会場スペースの関係で、2Fがタッチアンドトライスペース、1Fで3組に分かれて順番に新VAIO Pシリーズのプレゼンが行われました。これ以外にVAIOオフィシャルサイトで公開されていた「COMING-OUT BEATS」キャンペーンがDOMMUNEのスタジオにて、Ustream&Twitterでアーティストとカミングアウトワードをベースにリアルタイムで曲作りをしていくというイベントがパラレル進行したんですが、その辺の大まかな内容は大手メディアのレポートをご覧下さい(手抜き)。

ソニー、“VAIO Pシリーズ”のブロガー向け体験イベントを開催
ソニー、立ったままでも使える新ノート「VAIO P」発表会とユーザー招待イベント開催

ということで、ここからは当サイトをご覧の方が最も注目するであろうソニー関係者による新Pシリーズのプレゼン内容についてお伝えしたいと思います。プレゼンには、商品企画担当の伊藤氏、お馴染み設計開発総責任者の鈴木氏(すずいちさん)、デザイン担当の田中氏の3名が参加。カフェの1Fはただでさえ狭く、席の一番前だとソニー関係者と膝をつき合わせるぐらいの親密な距離感。そんな中でプレゼンは始まりました…てなことで、ここから先は持参したbliggieで撮影した動画から書き起こしたテキストにてお楽しみ下さい。長くなるので2回に分けて掲載しま~す。なお、担当者紹介等の前振りは省略してます。あと、一部聞き取れなくて?になってるところがありますがご了承下さい。

それと、テキスト読むの面倒という方へっとことでyoutubeに動画をアップしました。良かったらどうぞ~>プレゼン1プレゼン2

ソニーVAIO Pシリーズ新製品プレゼン

(伊藤)
VAIOなんですが、その時代時代にで小型PCのあり方を提案してきたと思います。1997年の505に始まり、C1、U、T、現在ではX、W、Pシリーズを出させていただいていまして、その中でPシリーズというのはVAIOの中で最も小さいPCという位置づけになっています。

このPシリーズに対する私たちが目指しているものは、今の時代、携帯電話やスマートフォンを皆さん持って、メールとかインターネットぐらいはもう出来るという時代の中で、あえてそれと一緒に持ち出すPCというのはどういうものであるべきか、というのを考えて開発しています。

その上で、外に持ち出すPCというところで考えると、大きさ・機能ともにより小さければ携帯性は良くなるんですけれども、やはりPCですから、きちんと操作しやすい、あとはパフォーマンスもPCとして十分なものを持っている、というところが必要だと考えています。

その上で、携帯(電話)・スマートフォンに無いものというものをキチンと提供しなければいけないということで、私たちがこのPシリーズで絶対に外せないものと考えているのが、まずストレスのない文字入力ができるということと、あとはキチンとPCとして情報表示能力があること。ここをここを取り入れるということを考えております。

その上で、Pシリーズで目指しているものというのが、小さく、軽く、そして美しいポケットスタイルPCということで、今回新しくなりましたが、ここの部分はしっかりと守っていく、ということでキチンと片手でしっかり持てるジャストキーボードサイズ。これを踏襲しています。休日の小さなカバンにも収まるサイズというのを抑えつつ、今回は新しいものを取り入れています。

より外に持ち出してもらいたい、というところで、私たちはこの新しいPシリーズに2つの「シンカ」というものをさせました。まず基本性能のところをより深く研ぎ澄ますという意味の「深化」をさせております。もう一つはやはり持ち出すものなので、より多くのシーンで使える、また自由なスタイルで使えるという意味での新しいバリューを提供する「進化」という2つを取り入れています。その2つの進化と外に持ち出したくなるデザインを特徴にしています。

深めて研ぎ澄ます「深化」ということろでいいますと、ここはですね、ホントに設計が非常に煮詰めて実現した部分でありますので、ここは設計のすずいち(鈴木)さんから裏話を含めて話しをしてもらいたいと思います。

(鈴木)
つかめるジャストキーボードサイズということろで、初代Pをリリースさせていただいて市場から大きな反響と好評をいただきまして、我々としてもこのコンセプトを受け入れていただけたんじゃないかというふうに考えていまして、かなり設計の初期の段階からこの大きさを変えないというようなことまで決まっていました。

新しいアーキテクチャー「Z560」とかを使っていますけれども、基本的にはアーキテクチャーは一緒で、サイズも一緒で、じゃあ我々設計として何を「シンカ」させて新しく作り直すんだと。やっぱり、この初代のモデルの不満なポイントをどうやって「シンカ」させていくかというところに注力してみました。

ひとつはバッテリーライフ。大きさも重さもキープしてですね、バッテリーライフが1.5倍というのはかなり設計苦労してまて…。ひとつには、新しいPのバッテリーのサイズが大きくなっています。だいたい5ミリから6ミリぐらい大きくなっているんですけれども、このサイズの大きくなったところからだけではですね、この1.5倍なんてところにはとうてい届かないところになっています。

そこでですね、サイズをキープしちゃいましたから、これバッテリーが大きくなれば当然他の部品を詰め込むところが狭くなっちゃうわけで…。設計として前のモデルも相当苦労して中に詰め込んだのがですね、これが6ミリぐらい詰まっちゃったことによって、中をかなり見直さないと入りきらないというところで…。それでもですね、ハードディスクをやめたことによって、薄いSSDだけを入れることによって生まれたスペースというのををうまく奥行き方向に工夫して中身を詰め込んでいます。

デバイスのシンカをしたりとか、電気回路の部分ですね。それからソフトウェアの(?)することにより、先ほどから申し上げているとおり、サイズキープ、重さキープをした上で、バッテリーライフを1.5倍というようなところを実現しています。これは非常に大変でした。

もう一つはパフォーマンスというところがですね、皆さんの不満として、反響としてありましたので、もう一つ上のCPUチップセットを搭載できるような設計をしています。CPUで言うとZ560という2.13GHzのCPUも搭載できるようにしていますし、チップセットで言うとUS15Xというグラフィックスの周波数が200メガから266メガにパワーアップしているものを搭載できるようになっています。消費電力的には少し上がっているんですけれども、その他の回路の部分で(?)今回搭載できるようになっています。

もう一つはSSD専用モデルになったことによってこの後に紹介する機能が搭載できるようになったというようなところがあります。

それから、ユーザビリティーの向上というところでは、type Pであった2つのボタンを見直しまして、3つ、アシストと解像度切り替えとネット、というようなところを搭載しています。特に解像度切り替えは、オリジナルの解像度であります1600×768というのをですね、このボタンを押すことによって、1280×600という解像度に切り替えて使うことが出来るようになっています。

これは、やっぱり字が小さすぎるというお客様もいらっしゃる反面ですね、この解像度だから初代Pは良いんだよとおっしゃるお客様もいらっしゃってですね…。社内でもアンケートを採ってみたところ、真っ二つにホントに50対50みたいな感じで分かれました。それらの両方の人の欲求に答えたいなという思いがありまして…(?)、その場その場で好きの方に切り替えて使って欲しいということで搭載しました。

(伊藤)
新しいスタイルを提案するという「進化」になりますが、今回、より外に持ち出すためにそのユーザーにより使い勝手が良くなるためのモバイルインテリジェンスというものを考えています。初代のPシリーズではGPS、PlaceEngineは搭載されていたんですけれども、さらに地磁気センターを入れることによって、より位置情報のところで自分の向いている方向までわかるようにしています。

また、加速度センサーを入れることで、タテ持ちしたり、ジェスチャー操作ができるようにしています。この加速度センサー、今回新しい使い方を提案していますが、元々入っているセンサーだったんですよね。

(鈴木)
初代のPでも他のVAIOでも、ハードディスクがショックを受けた時にヘッドを待避するセンサーとして載せていたんですよね。今回、SSD専用になったことで、今度はPCをぶん回して使っちゃおうという全く逆転の発想でこのセンサーを活用しています。本来ならばハードディスクをやめたら、このセンサーもやめたということになるのですが、また、ちょっと新しい使い方をしてみました。

(伊藤)
そのほか、照度センサーとかノイズキャンセリングヘッドホンでマイクの入力で処理をしたりということをしております。

特に今回注目していただきたいなと思っているのが、モバイルグリップスタイルが復活してまして、以前もVAIOのUというもので入れていたんですけれども、手持ちでも使えるというところを今回考えました。これを搭載するに当たって色々裏話があるんですけど、そこを是非、すずいちさんから…。

(鈴木)
先ほど、50対50で解像度の人気投票が分かれたという話しをしたんですけれども、私は細かい1600×768に一票を入れた1人なんですけれども、普段使っていてやっぱり文字が小さいなって、解像度が細かい方が良いなと思う時がありまして、そういう時に何をしたかというと、600gぐらいしかないので持ち上げてこう目に近づけるようにしてるんですね。そうした時にん今度は操作できないぞ、みたいな話しになってですね、そしたらもうここにポインティングがあったらいいじゃんというような話しで…。

ホントにそこから発想してプロトタイプを作って、この機能を実現したんですけれども、最初に液晶側にタッチパッドとボタンを付けますって言った時に、言葉だけ聞いた人間はですね、なんでそんな変なことすんの?というようなことを思うんですけれども、実際プロトタイプを触ってみてよというと、なるほどね~、みたいに変わってくるんですね。プロトタイプを作ったことで、かなり評判が良くて、いけるんじゃないかというようなところからこの機能を実現しています。

(伊藤)
口で言った時と触った時のギャップ感というのが結構面白くて、たぶん今回発表した時の反響もきっと同じような反応になるんじゃないかと思っているんですけれども、是非とも体感した人の声も広めていただけたらなあと思っています。

そのほか、実際にグリップで持てることによって、傾けて使えるとか、タテ持ちでも使えるというところまで今回実現しています。

(鈴木)
ハードディスクモデルがあるとこんなことやっちゃいけないんですけど、SSD専用にしたことによって、これができるようになるんですね。

(伊藤)
私どもはロケーションサービス、位置情報系にも力を入れてまして、ここをもっともっと皆さんに使ってもらえるようにしていきたいと考えています。その上で、地磁気センサーを入れてですね、初代のtype PでもIEにツールバーを入れてたんですが、今回はミニアプリのようなものを作ってまして、現在地周辺の天気なんかも確認できるようになっています。そういうものを使ってもっと楽しんでもらおうと思っています。

後編に続く)

Sony Style(ソニースタイル)

「VAIO Pシリーズ新製品開発秘話カミングアウトレポート(前編)」への1件のフィードバック

  1. 隙のないレポート、お疲れ様です。こういうのが
    読みたかったのです。後編も楽しみにしています。

コメントは停止中です。